閑話休題・1
「ねーねー、この間話してたバグが多い個体見つけたよお。うちの子が近くにいたから観察のために向かわせといたあ」
暗い空間で間の抜けた声が響いた。
「ああ、ウパラ・コール。娘を見つけてくれてありがとう。他の娘達にも情報を共有しておきますね。」
「ジェットよりも早く見つけられて超ラッキーって感じ〜!今回の勝負はボクの勝ちだねえ、何作ろうかなあ」
「なんだその面白そうな話は。私は聞いてないぞ。」
「やあ、バロック・コール。君が別のプロジェクトのためにしばらく席を外した時の出来事でね。私とウパラ・コールがアンバー・コールの愛娘を早く見つけた方にみんなが創造した素材を優遇するという話で遊んでいたんだよ。」
「そうそうそんな感じ〜!バロックは知らないかもだけどアンバーが作った世界を体験するために自分に近くて空っぽの個体を作ろうとしててさあ。ところがどっこい!うちらの子達の平均を遥かに超える強い自我が生まれちゃってえ、それを守るための防壁が形成されててあの子の中に入れないらしいんだよねえ。面白くなあい?」
「アンバー・コールが失敗したと言うことなのか!?」
「確かに平均値を大幅に超過していますが、面白そうなので依代にすることをやめました。あの子がどのような旅をして、どのような感情を育て、どのような個体になるのか。それに興味が湧いてしまいましてね。最低限の情報を付与したのちに世に放ちました。後から思い出したのですが、あの子の潜在意識に入れないので目覚めても経過観察ができないと。なので手の空いている人を集めて探してくれたら助かるとの話をしたところ、皆が手伝ってくれて軽くお祭り騒ぎになってしまったのです。」
「最近文明が滅んだり世界が破裂したりとか全く無くてみんな退屈してたでしょお?」
「管理する側としては平穏が一番なのですが……。目立った出来事が無いと疫病を振り撒いてみたり戦争を唆したりする方が出てくるのでアンバー・コールの提案で私とウパラ・コールが競争する形になりましてね」
「それでボクが勝ったってワケ」
「そのような形になりますね」
「次面白そうなことをやる時はちゃんと僕を呼んでくれよ。……僕も退屈でしょうがないんだ」
バロック・コールは呆れたような声で呟いた。




