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Gypsophila  作者: 蠢爾
9/15

その出来事があってから、アオイをさらに尊敬するようになった。


アオイは、どんなときでも、隣にいると安心できて、

何があっても、常に変わらぬ優しさを持ち続けてる、


そういう、何処かに確固たる落ち着きを持つひとだったんだ。


だから色々なひとに愛されてたし、頼られてた。

でも、時々その重圧に苦しんでた。


そういう時は決まって、

ふたりでミルクティーを飲みながら無言の時間を共有してた。


アオイはいつもミルクティーに角砂糖をひとつだけ入れるんだよ。

で、溶けるのをかき混ぜながら見てるの。猫舌だから、その時間が冷ますために丁度いいんだって。

正直、それじゃまだ熱いと思うんだけど。


何も話さないままミルクティーを飲んで、話しはじめたらゆっくり聞く、

それが、ふたりの恒例行事だった。

どっちが辛くなった時も、同じだった。


不思議だけど、アオイとの無言は苦しくなかったんだ。

無言って、大抵気まずくなるものなのに。


多分それは、

その時間が、無言であって無言じゃなかったからなのかもしれない。

言葉を交わさなくても、不安にはならなかった。


片方が泣いたときは、もう片方が黙って優しく受け止めてた。

そういう関係性だったんだ。すごく温かくて、居心地のいい関係性だったよ。



それにアオイは、

鈴が鳴るような笑い声と、

昼下がりの陽の光と夜明けの月の光を混ぜたみたいな笑顔を持つ、

すごく綺麗なひとだった。


生きることに疲れ始めていたぼくの終わりのない暗い道に

ひかりを注ぎ続けてくれるひとだった。


綺麗で、透明で、

目を放したらふわりと消えてしまいそうなひとだった。


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