Ⅲ
それはそうと、
不老不死で何より辛いのは、大切なひととほんの少ししか共に生きられないことなんだよ。
この身体があれば、遠くの未来を生きることはできるかもしれないし、
新しい学びや楽しみもあるかもしれない。
でも、その未来に大切な人の笑顔はないんだ。
ぼくを抱きしめてくれるぬくもりも、繋ぎとめてくれる手も、励ましてくれる声も、
そこには、無い。
新たな出会いがあっても、
待っているのは、失う悲しみと、使い古されたお札なんだ。
勿論、長い人生の中で多くの幸せと喜びをもらったし、それは消えることのない宝物だよ。
でも、それと同じくらいの悲しみが心に残ってる。
不老不死なんて馬鹿げたものをひとつ持っていると、
かえって自分の無力さや不甲斐なさを叩きつけられるんだ。
それでも一応、今は屍にならずにこうして謳って生きてる。
こうやって生きていけているのも、最初に言った彼女のおかげなんだ。
彼女は、生きるための光というか、救いをくれたんだよ。
本当に、恩人でしかない。
日を重ねるごとに感謝が増していくよ。
居てくれてよかったなって。出会えて幸せだったなって。
よく、失ってから有難さに気づくとか、
生きてるうちにもっとありがとうって言っておけばよかったとか言うけどさ、
もはや仕方ないよね。
だって、感謝とか好きの気持ちとか、日ごとに増していくんだもん。
生きながらその想いを空に見せるしかないよね。
でも時々、ああしておけばよかったなって思いつつも、
後悔の気持ちなく笑って別れられるときもあったりするし。不思議だよねぇ。
別れ方って、その人との関係性が浮き彫りになるんだなってつくづく思うよ。
…なんて、偉そうに言ってるけど、
最初の方は誰かを亡くすたびに、結構ショック受けてたんだ。
でも、毎回ショック受けてたら生きていけないくらい、
別れの多い人生を約束されてるからさ、こう思うしかなかったんだよ。
そうそう、歌っていうものを始めたのも、彼女がきっかけだったんだ。
それまで、ぼくのなかの表現の媒体は踊りだったからね。
だから彼女は、本当にぼくの世界を変えてくれた人なんだ。
…あーもう話してたら涙出てきちゃった。
泣くなんていつぶりだろう。
本当に頭が上がらないよ、アオイには。
今もぼくが泣いてるの見て、空から笑ってるかもしれないね。
これからする話、覚えてるかな。




