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300時間のシンデレラ  作者: 小塚彩霧
40/50

第40話 相談

 隼人さんの部屋と自分の部屋とでの二重生活をし始めてからしばらく経った。久々に自分の部屋で一人、積んであったゲームをしていると、ワタナベからメッセが来た。


『今、どこにいる?ちょっと電話してもいい?』

『ん?今?家にいるよ。何?』

『家?実家にいるの?』

『ううん。自分の部屋だよ。久々にテレビゲームしてた』

『電話していい?』

『いいよ。ゲーム片付けるから、5分後ね』

『おけ』


 ゲームを片付け、お茶をコップに注ぐ。それとチョコレートを少し。ベッドにもたれて、オーディオプレイヤーでお気に入りの音楽を小さめの音で再生する。ちょうどその頃に電話が鳴った。

 あれから五分。律儀だな、そう思いながら電話に出た。


「もしもし?」

「アスカ?」

「うん。何よ、急に?電話なんて珍しいね。」

「いや、ちょっと相談だよ。」


 相談。そんなに切羽詰まった話なの?私なんかで役に立てるのか、と思いながら、とりあえず話を聞くことにした。


(どうしよう。ほんとに重い相談だったら答えられないかも。……聞くだけでも、気分が晴れるといいんだけど。)


「どうしたの?」

「いや、あのさ、この前の飲み会の時に考えたんだけどさ。」

「うん……。」

「やっぱ、ちゃんと彼女作ろうと思って。」

「うんうん、いいじゃん!で?好きな子とかできた?」

「あ、いや……。」

「あー、じゃあ、誰か紹介してほしいってこと?あんまり友達いないけど、伝手は聞いてみるよ?どんな子がタイプ?」

「タイプか……。」


 ワタナベが黙った。電話の向こうでなにやら考えているらしい。


「そうだな。俺のコト、イケメン扱いしないヤツがいいな。」

「ふふ。なにそれ。」

「イヤなんだよ。俺にイケメンのイメージ求められても。」

「だって、ワタナベ、イケメンだもん。」

「アスカも俺のコト、イケメンだと思ってる?」

「思ってるよぉ。」

「思ってても、イケメン扱いしないだろ?」

「そりゃ、入社して以来の仲だしねぇ。ドンくさいとこもだらしないとこも見てるわけで。そっちこそ、私を女扱いしてないでしょ?」

「はは。そういや、女扱いしたことなかったわ。」

「失礼なヤツだよね。そんなのイケメン扱いしてやる義理もないわ。」

「…ちゃんと、女扱いしてやれば良かったかな。」

「え!?気持ち悪っ!今更女扱いされたって。」

「はははっ、そりゃそうだ。」


 話が逸れてきたので、また話題を元に戻す。


「で?他は?どんなタイプの子がいいのよ?」

「どんなって……。」

「いろいろあるでしょ?見た目だけでも、背が高い子がいいとか、スレンダーな子がいいとか、ロングヘアーとか、色白とか。」

「見た目にはあんまりこだわりないけど……。」

「じゃあ、性格とか趣味とか。ほら、賑やかな子がいいとか、おとなしい子がいいとか、スポーツが好きとか、音楽が好きとか。」

「俺も無趣味なんだよなぁ……。」

「えー……。そんなの紹介する相手を探せないわよ……。片っ端から連れてくるってわけにいかないし。」


 ワタナベが、そうだなぁ、と少し間を開けた後、話し始めた。


「背は小さめで、華奢な感じ。髪はストレートのロングというかセミロングというか、染めてなくて、黒髪というかダークブラウン。」

「ふむふむ。」

「特別美人じゃないけど、たまに掛ける眼鏡も似合ってて、動きが小動物。」

「へぇ。なんか一昔前の少女漫画のヒロインみたいね。」

「甘いものとお菓子が好きで、しょっちゅうなんか食べてる。で、趣味はテレビゲーム。」

「……やけに具体的ね?」

「まぁ、イメージだよ。そんな、普通の子がいたらいいなっていう。」

「普通?普通かな?……好きな子がいるなら、その子に告白すればいいのに。私が知ってる人なの?」

「いや、違うよ。イメージ。そんな子、いたらソッコーで誘ってるわ。」

「そうよね……。そのイメージが普通なのかどうかわかんないし、そのイメージ通りの子はいないと思うけど、ちょっとでもかすりそうな人がいたら紹介するね。」

「ありがと。よろしく頼んます。」

「今度なんか奢れよー。」

「はいはい。」

「相談事はこれだけ?」

「うん。」

「にしても、アレだねー。イケメンが私みたいな地味子にそんな相談するだなんて、ヤキが回ったね。」

「うるせー。俺だって別にイケメンのつもりはないからな。」


 電話の向こうの声がちょっと元気になった気がする。喋ってスッキリしたのかな。


「はは。そういうワタナベ、好きだよ。イケメンぽくないとこが。」

「よく言う。そっちは徳永先輩とセックスしまくりなんだろ?」

「えっ!あっ!やだ!!私っ!」

「おいおい、そんなところで乙女になるなよ……。まだ、シてないの?」

「ばっ、バカ!セクハラ!」

「え?マジ?アスカ、処女なの?」

「わ、笑わないでよ?隼人さんが初めてだったの!まだ何回かしか、シてないから!」

「へぇ、よかったじゃん。初めてが好きな人で。徳永先輩も男冥利に尽きるってもんだよ。」

「は、恥ずかしいから、他に絶対漏らすんじゃないわよ!」

「わかったよ。これ以上からかったら、かわいそうだから切るわ。じゃあな。」

「うるさい!とっとと寝ろ!また明日ね!!」


 火照った顔と裏返った声をごまかしつつ、電話を切った。


アスカがやってたゲームは何だろう?

たぶんRPGとかです。

ネトゲーやソシャゲではないつもり。

(ちらほらソシャゲもしてるけど、パズル系か音ゲー系とか。)

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