第9話 芹香、考え中
目金井遊園地。
芹香と綾人は、5回目のデートも目金井遊園地にしようということで、やってきた。
ラガン伝説は、まだまだコラボ中。
お洋服レンタル。コラボカフェ。
限定グッズ販売。フォトスポット。
色々ある。
「今度は、普通に乗り物に乗ろうぜ」
ソード使いの綾人が言う。
「私は、メリーゴーランドが一番好きなのですが」
ロッド使いの芹香。
何度も袖を通したコスチューム。
綾人は、レンタルじゃなくて、買い取ると言っていた。
芹香も思い入れがある。
おカネ持ちの綾人が、買ってくれるというから、買ってもらってしまおう。
買取がいくらかはわからない。
とにかく、綾人がプレゼントしてくれると言うのだから、ありがたくいただくのだ。
乗り物は、メリーゴーランドに乗る。
くるくるまわる、回転木馬。
上に、上がって。下に、下がって。
「あー、楽しいでーす」
芹香としては、超楽しかった。
「確かに、楽しいな」
綾人は、うなづく。
たまに乗る。それが良いのだ。
第9話 芹香、考え中
結婚。迷い込んだ、綾人ワールド。
そして、ふと、考える。
綾人のことだ。
王子系の眼鏡男子。
今まで意識したことがないが、カッコいいとは思う男の子。
いつ知っただろう。
女子に人気がある男の子。
女子の話題の中心にいたカッコいい男の子。
異次元の人だ。
キラキラの女の娘だけが似合う。
芹香は、ゲーム大好きなだけで、何の取り柄もない。
似合うワケない。
「ゲーム大好きが、芹香の取り柄だろ」
綾人は、眼鏡越しに見つめてくる。
3ヶ月前に意識しはじめた、女の娘。
ゲーム大好き。真面目。簡単に、恋に落ちない。
きっと、ファンタジーが好きで夢見がち。
勇者や魔法使いに憧れている。
可愛い女の娘。
「私のどこがいいのでしょう」
綾人は、優しいのだろうか。
すぐ交際とか言う。すぐ見つめてくる。
でも、カッコいい。普通じゃない。
女の娘の“特別”になる男の子。
芹香は、ゲームさえできれば、他にいらない。
我がままは、言わない。
綾人は、周りの女の娘たちが、いらない。
北大路さんが、迷惑。
「俺は、芹香とゲームの話で盛り上がりたい」
「ゲームの話ですか」
ゲームの話は、楽しい。
「あの、恋に落ちる女の娘って、どんなことを考えているんですか?」
でも、恋の話を聞く。
「…キスしたいとか。ハグしたいとか。考えてるんだろう」
頭の中が男の子でいっぱい。
キスしたい。ハグしたい。
「それは、ないですね」
芹香は、言うが、少しだけある。憧れの心。
「キス…してみるか?」
真剣な眼差しの綾人。
「い、いいえ。いらないです」
断わった。
「ラガン伝説、ひとまず、サービス終了はしないらしいぞ」
綾人が話題をゲームに戻した。
サービス終了。スマホゲームの強制的最終回。
マンガで言う打ち切り。
「何で、終了するんですか。楽しいのに」
「知らないな。大人の事情だろ」
不意に見つめ合う。
ゲームの話は、楽しく話せる。
これ以上は、望まない。ゲーム友達だ。
「俺とゲーム友達でいたいのか」
「はい」
芹香は、笑顔でうなづく。
「じゃあ、そうしよう。卒業後は結婚な」
「え、ええ…」
強引な綾人だが、芹香の面白いゲーム友達だ。




