第2話 楽しい遊園地
芽央家。
芹香の家にまで、自家用車で迎えに来た綾人。
ほぼ強制的に初デートに行くことになりそうだ。
でも、綾人は、カッコいい。
内心、嫌ではない。
でもゲームの方が好きだ。
「もちろん。俺をカッコいいとは思ってるワケか」
「か、カッコいいと思います…」
「でも、スマホのゲームの方が大好きなんだろ」
「は、はい。ゲーム大好きです!」
芹香は、思わず笑顔があふれる。
「…じゃあ、行くぞ」
綾人が、自家用車内に引っ張る。
やっぱり、初デートが確実のものとなった。
ラガン伝説。
目が悪くなった世界の人々が、視力を取り戻していく物語。
メガネフクロウに導かれて、冒険がはじまる。
ソード使い。ロッド使い。
2つの職業から1つを選び、視力=戦闘力を上げるゲーム。
いつか、眼鏡が必要なくなる時まで、戦いは続く。
第2話 楽しい遊園地
目金井遊園地。入り口。武器防具屋。
「入り口に、武器防具屋…?」
何故、遊園地の中にファンタジー要素があるのか。
「ここは、ゲーム好きが喜ぶように、ラガン伝説コラボのコスチュームが売ってるんだぞ」
「す、すごくいいじゃないですか」
「喜べ。芹香」
「喜びますよ…!」
ほぼ遊園地に行ったことがない芹香。
ラガン伝説コラボで、装備コスチュームが買えるなんて、夢すぎる。
芹香は、自身のロッド使いの杖とローブを見つける。
「レンタル買います!」
レンタルなら、千円だ。安い。
試着室で着替える。
眼鏡を一旦外す。
ロッド使い、芹香の登場だ。
向かい合って、綾人が、ソード使いのコスチュームを着ている。
「似合ってるじゃないか。芹香」
「ありがとうございます」
「俺は、どうだ」
「あ、ちょっと待ってください」
着替えるため、眼鏡を外していた芹香は、眼鏡をあわててかける。
ピントがあって、綾人が見える。
絵になる人というのか。
カッコいい、ソード使いだ。
「似合ってますよ」
「そうか。そうか」
満足そうに、綾人はうなづく。
綾人は、眼鏡をつけたままだ。
ジッと。眼鏡越しに見つめてくる。
「楽しんでるじゃないか」
「は、はい。楽しいです」
何だか、すごく楽しくなってきた。
好きなゲーム。お気に入りのコスチューム。
これは、熱いだろう。
もちろん、初デートという点を芹香は忘れている。
コラボカフェ。
ここでは、ロッド使いのメロンアイスを食べた。
「美味しいです」
綾人は、ソード使いのベリーアイスを食べた。
「美味しいな」
眼鏡同士で、目線が合う。
綾人は、王子系とは思えないほどの、優しい眼差しをしていた。
顔が熱くなる。
アイスを食べた後。綾人が聞いた。
「後は?」
「ラガン伝説のコラボカフェで満足です」
芹香は、笑顔だ。
「そうか。じゃあ、帰ろうか」
眼鏡に手をかける綾人。
「今日は、全部、俺がおごるぞ」
不敵に笑う。
服のレンタル料金から、アイスまで全部、おごってくれた。良い人だ。綾人。さすが、カネ持ち。
カッコいいし、優しい。
ゲームコラボも楽しかった。
「俺に夢中になったか」
「え…と。何でしたっけ?」
「じゃあ、交際は、継続で行こうな」
目を、ジッと見つめて、確認してくる。
こんな感じの男の子と、交際。
交際って、何?
芹香は、ど忘れして遊びに来ただけだと思っていた。




