↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『ダンジョン物語』  作者: nankul naisa
プロローグ
PR
8/20

08 選択の間

ハイサイ!nankul naisaです。

読んでいただきありがとうございます。プロローグ最終話です。


 戦いを終えた影真は、ボスの魔石を静かに袋へ収めてから大きく息を吐いた。


 ◇◆◇


 その瞬間、広間全体が低く唸るように震え出した。壁の苔が淡く光り、足元の石畳に複雑な紋様が浮かび上がっていく。影真が息を呑む間に、巨大な扉や苔むした壁が音もなく崩れ、別の景色へと変貌していった。


 暗く湿った戦いの場は消え去り、代わりに広がったのは荘厳な静寂を湛えた空間だった。床は磨かれた黒曜石のように光を映し、天井には無数の星のような光点が瞬いている。先ほどまでの血と汗の匂いが跡形もなく消え、ただ心の奥を静めるような気配が漂う。


 そこは「選択の間」。ダンジョンが試練を突破した者に与える、次なる力への門出だった。影真は思わず息を整え、胸の鼓動を静めながら歩みを進めていった。


 ◇◆◇


 円形の中心に入ると、足元の石床が淡く輝きだす。

 その光はゆっくりと螺旋を描き、部屋の中央に座するよう影真を誘っていた。


「……試されてるのか」

 彼は促されるまま中央に腰を下ろす。

 瞼を閉じると、不思議な静寂が辺りを満たし、感覚が1つずつ削ぎ落とされていった。

 音も、匂いも、体温さえも希薄になる。まるで世界から切り離されたような感覚。


 完全にゼロへと沈み込んだその瞬間、目の前に淡い光が灯った。

 やがてそれは複数の光球となり、静かに浮遊する。青、赤、緑、白、紫――数を数えることすらできないほど、多彩な光が影真の前に並んでいた。


 ◇◆◇


 声なき声が響く。

『選べ。この中の一つが、汝に力を与える』


 影真は眉をひそめる。

「……選べ、って言われても……」

 直感以外に頼れるものは何もなかった。


 光の球たちはただ静かに揺らぎ、彼を待っている。

 影真は深呼吸し、無意識のまま左手を伸ばした。

 意識ではなく、本能に引かれて。


 触れた瞬間、ひときわ強く輝いた光球が胸へと吸い込まれた。

 心臓の奥に火を灯されたような感覚。熱く、だが不思議と心地よい。


 ◇◆◇


 瞼を開けると、部屋は元の静けさに戻っていた。

 ただ胸の奥に残る確かな違和感――いや、力。


「……これは」


 影真が腰の袋から極小魔石を1つ取り出すと、それは触れた瞬間に淡い光となり、指先から吸い込まれていった。

 跡形もなく消えた魔石の余韻が、確かに体の内側に力として宿っている。


「……魔石を、取り込める……?」

 呆然と呟いた後、影真は小さく笑った。

「悪くない報酬だな」


 新たな力を得て、彼のダンジョン探索は新たな段階へと踏み出していく。






最後までお付き合いありがとうございました。

ゆる~く更新出来たらと思ってます。これで1年前に書いていた分は出しました。

ここから新しく作っていくので出来次第ゆる~く投稿したいと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。