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『ダンジョン物語』  作者: nankul naisa
第一章
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第3話 新しい力 2

ハイサイ!nankul naisaです。

読んでいただきありがとうございます。


 三日目の探索。


 《魔石吸収》の感覚は昨日よりも掴めてきた。強くなりたいと意識して触れる。それだけでいい。


 ひよこモンスターを狩りながら、倒すたびに吸収していく。今日も十個を目安にするつもりだった。


 ◇◆◇


 六個目を吸収しようと魔石を手のひらに乗せた瞬間、腹が盛大に鳴った。


「……そういえば、今日は朝飯を食べてないな」


 無意識に腹減ったな、と思いながらそのまま吸収する。


 すると胃のあたりにじわりと温かさが広がった。


「……ん?」


 空腹感が、薄れている。完全ではないが、おにぎりを一つ食べたくらいの感覚だ。


 影真はしばらく自分の腹に手を当てたまま、動けなかった。


「……マジか?もっといろんな可能性があるのか」


 ◇◆◇


 もう一度試す。今度は意識して腹を満たしたいと思いながら吸収すると、同じようにじわりと温かさが広がった。


 二個で、昼食を軽く済ませたくらいの感覚になった。


「……これはいい」


 自然と笑みがこぼれる、強くなりたいと望めば力になる。腹を満たしたいと望めばそうなる。


 この能力は、本能が望んだことに応えるのかもしれない。


 だがそれはまだ仮説だ。今日わかったのは、空腹を紛らわせられるということだけ。


 影真はメモ帳を頭の中で開き、新しい項目を追加した。


 ◇◆◇


 探索を終えて気分転換にギルドへ向かう。


 今日の換金分は少なかった。吸収に回した分が多く、袋の中身はいつもの半分以下だ。


 カウンターに袋を置くと、受付嬢が中を確認して小首を傾げた。


「今日は少ないですね。調子が悪かったですか?」


「いや、ちょっと色々試してたから」


「能力ですか?」


「まあな」


 影真は軽く頷いて、カウンターに肘をついた。


「……外を歩くのは気持ちいい」


 受付嬢は少し意外そうな顔をしてから、柔らかく笑った。


「ダンジョンばかりだと気が滅入りますよね。何かあればいつでも気軽に来てください」


「ありがとう、また来たくなったらくるよ」


「それでも全然いいですよ」


 少し間が空いた。静かで、悪くない間だった。ダンジョンの疲れが少し和らいだ気がした。


「……それじゃあ、また来る」


「ええ、待ってます」


 影真はカードを受け取り、軽く会釈して踵を返した。


 夕暮れの風が頬を撫でる。


 腹は魔石で少し満たした。体はじわりとした疲労感。でも、新しい発見に心は高揚感で溢れていた。


 明日は、どんな発見があるのか。それが今から楽しみだった。



最後までお付き合いありがとうございました。

ゆる~く更新出来たらと思ってます。

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