第2話 新しい力
ハイサイ!nankul naisaです。
読んでいただきありがとうございます。
翌朝、目が覚めると体の重さはほとんど消えていた。いつもよりかなり調子が良かった。
影真は冷蔵庫の前に立ち、揺らぎに手を伸ばした。
◇◆◇
第一層。
見慣れた岩肌と苔の明かり。湿った空気が肺に入る。
今日の目的はひよこモンスターを倒すことではない。
《魔石吸収》を試すことだ。
影真はポーチから極小魔石を一つ取り出した。換金せず手元に残しておいたものだ。
手のひらに乗せ、じっと見る。
選択の間では、触れた瞬間に自然と吸い込まれていった。同じようにやればいいはずだ。
試しに右手で握り込む。
――何も起きない。
「……」
左手に持ち替えて握る。
――やはり何も起きない。
力を抜いて乗せてみる。
――起きない。
両手で包んでみる。
――起きない。
「なんでだ?」
思わず声に出た。
◇◆◇
しばらく試しても反応はなかった。
影真は岩壁に背を預け、顎に手を置き考える。
選択の間のとき、自分は何を考えていたか。
――特に何も。ただ手を伸ばした。
いや、待て。あのとき何かを感じていたはずだ。光球を前にして、直感的に何かを。
強くなりたい。
それだけだった。
影真は魔石を手のひらに乗せ直す。強くなりたい、と意識しながら。
――すっ、と。
魔石が指先に吸い込まれた。
「……これは、いい」
体の内側に何かが広がる感覚。温かくも冷たくもない、ただ満ちていくような感触だった。
◇◆◇
もう一つ取り出す。同じように強くなりたいと意識しながら触れると、すっと消えた。
三つ目も消えた。四つ目も。
影真はひよこモンスターを狩りながら、倒すたびに極小魔石を吸収していった。換金はしない。今日は全部試す。
五つ、六つ、七つ。
吸収するたびに、体の奥でじわりと何かが蓄積されていく感覚がある。だが目に見えた変化はまだない。
八つ、九つ。
そして十個目を吸収した瞬間、どっと疲労感が増した。
「……これで限界みたいだ、ここまでにしておこう」
これ以上は探索に支障が出る。ダンジョンの中で無理をするのは得策ではない。
◇◆◇
探索を切り上げ、出口へ向かう。
足取りは普段より少し重かった。戦闘の疲れとは別の、芯からくる疲労感だ。
「……明日には、筋肉痛みたいに治ってくれてたらいいけど」
冷蔵庫の前に戻り、揺らぎをくぐる。台所の光が目に入る。
影真はメモ帳を取り出し、今日気づいたことを書き留めた。
強くなりたいと望むと吸収される。一日の限界はおそらく十個前後。体力を消費する。効果はまだ不明。
誰かに見せるためではない。自分の頭を整理するためだけの記録だった。
その夜、影真はいつもより早くに深いに眠りについた。
最後までお付き合いありがとうございました。
ゆる~く更新出来たらと思ってます。




