表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不器用な怪異たちシリーズ  作者: 瀬戸 陽子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
41/46

怪異相談室⑩ ほほえみ:大勢の人に見られて恥ずかしい

世界中の視線を浴び続けた“ほほえみ”が、

ほんの少しだけ疲れてしまった夜。

止まっていた時間が、少しだけ動き出す相談室。

相談:大勢の人に見られて恥ずかしい。


ぼんやりと四角い輪郭を持つ白い光が、ふわりと浮かんでいる。

どこから見ても目が合うような気がする。


座敷童子:

「……え?絵?人の顔?」


口裂け女:

「幽霊さんの知り合い?」


幽霊:

ゆらりと指♡(違うらしい)


神様:

付喪神(つくもがみ)じゃな。長く大切にされ、長く“見られた”ものほど魂は濃くなる」


呪いの人形:

「…”もの”なのに魂が宿るの?」


皆、一斉に呪いの人形を見る。


九尾:

「お主が言うか。

それにしても“ほほえみ”か。

注目されるのは当然であろう」


呪いの人形:

「…どのくらい注目されてるの?」


白い光、ふるふる震える。


九尾:

「世界中からだ」


座敷童子:

「すごーい!」


幽霊:

指♡!(驚き)


口裂け女:

「観光名所だよね~。

 フラッシュ、視線、考察、陰謀論……くちゅん!」


白い光、さらに縮む。


神様:

「……あの微笑みじゃな」


九尾:

「数百年、見られ続けている、あれか」


ほほえみ:

「言わないで……」


口裂け女:

「四六時中“何を考えてるの?”って言われるの、つらいよね」


ほほえみ:

「……そうなの。

誰も“今の私”を見てくれないの。

昔の私だけを永遠に見られてる気がして…」


呪いの人形:

「…分かる…かも…」


神様:

「お主は曖昧であるがゆえに永遠なのじゃ」


九尾:

「だが本人は“永遠の考察対象”は嫌、と」


呪いの人形:

「…つまり“世界遺産級の注目をどうにかしたい”?」


ほほえみ:

「もっと……普通に笑ってただけなのに……」


ほほえみは小さく首を振った。


座敷童子:

「え、あれ普通なの!?」


口裂け女:

「普通なのにすごいって、逆に才能」


幽霊:

指♡指♡(かわいい、綺麗)


座敷童子:

「じゃあ、たまに怒ってみたら?」


口裂け女:

「キレ顔も見たい~」


ほほえみ:

「やだっ!!」


座敷童子:

「じゃあ真顔は?」


呪いの人形:

「…存在意義が…」



数日後——


“ほほえまない”絵画、爆誕。


・考察不能

・意味なし

・深読み不可


ほほえみ:

「……あれ~?……」


呪いの人形:

「…ただの“ちょっと優しい顔”扱いされてる…」


口裂け女:

「逆に寂しくない?」


ほほえみ:

……しゅん。

「……ちょっとだけ……」


神様:

「ふむ……お主はの、

“見られることで完成する”存在なのじゃ」


九尾:

「芸術品とは因果なものだな」


幽霊、そっと鏡を差し出す。


ほほえみ、自分を見る。


ほんの少しだけ、

本当に、ほんの少しだけ、柔らかく変わる。

止まっていた時間が、ほんの一瞬だけ動いたように。

次話:

2026/6/1 20:00に更新します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ