表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不器用な怪異たちシリーズ  作者: 瀬戸 陽子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/32

【本編】Ep.11 かすかな声

体調を崩したなぎのそばで、座敷童子は初めて“できること”を探します。

静かな夜に生まれた、かすかな声のお話。

1. かすかな声


夜の気配がゆっくり降りてきて、なぎの寝息だけが部屋の静けさを揺らしていた。


座敷童子は枕元にそっと座る。昨日より輪郭が濃く、白い袖が月明かりを淡く返す。


座敷童子:

「……なぎ……」


輪郭を帯びたかすかな声が、夜気に触れて震えた。


なぎ:

「……ん……?」


寝返りを打つ気配。眉がわずかに動く。


座敷童子:

「……きこえた……?」


返事はない。けれど呼吸が少し変わり、胸がふわっと温かくなる。


2. なぎの体調


翌日。なぎの顔色は少し悪く、額に汗がにじんでいた。


なぎは布団を握る指に力が入らず、しばらく目を閉じたまま、浅い呼吸が続いていた。


なぎ:

「……寒い……」


座敷童子はそっと近づく。姿が薄くなったり濃くなったり、迷うように揺れる。


座敷童子:

「……なぎ……?」


なぎがふと顔を上げる。なぎのぼんやりとした目が合いかけた瞬間、座敷童子はドキリとして薄くなる。


3. 小さな手でできること


夜。

なぎは布団にくるまり、熱に浮かされている。


座敷童子は部屋の隅でそわそわし、迷いながらも台所へふわりと移動する。


椅子に登り、タオルを引っ張り、蛇口をひねる。

水がタオルに染みる音が、夜の静けさに小さく響いた。


枕元に戻り、そっとタオルを額に置く。ずれた瞬間、なぎが目を開きかける。


そのままタオルを不器用に直す。


座敷童子:

「……あ……ずれた……」


なぎ:

「……ん……?」

「……ひんやり……」


胸がぽっと温かくなる。布の擦れる音が、静かな夜に溶けていく。


4. 夜のひそひそ話


なぎが落ち着いたあと。部屋の隅で、布の擦れる音がそっと響く。


呪いの人形:

「……がんばったね…」


座敷童子:

「うん」


呪いの人形:

「…でも、見られること怖くないの?追い出されるかも…」


座敷童子:

「なぎが、苦しそうだった」


人形は大きく息を吐く。


呪いの人形:

「…ほんとうにあなたって…

…でも、それでいいのかも…」


座敷童子:

「……よかった……?」


ふわりと空気が揺れる。月明かりの中に、神様の影が立ち上がった。


神様:

「心配じゃった。なぎの気配が弱っておったからな。

…だが、もう大丈夫じゃろ。お主が冷やしてやったのじゃからな」


座敷童子は袖をぎゅっと握る。


座敷童子:

「うん!」


5. 小さな願いの夜


なぎが眠りについたあと。座敷童子はそっと呟く。


座敷童子:

「なぎ、早く元気になってね……」


小さな決意が混じり、白い袖が静かに揺れた。


次話:【本編】Ep.12 はじめての返事

2026/2/02 20:00に更新します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ