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183/191

183話

先輩が私にもう一度なぐりかかろうとしたときに私は目を閉じた

拳は私には届かなかった。

ゆっくりと目を開けると男の子が立っていた

その後ろ姿は私が毎日追い回している姿と同じだった


「結城...」


私は突然の出来事で言葉を失っていた


「なにお前」


先輩も急に現れた男の子に動揺していた


「お姉ちゃんをたたかないで」


「お姉ちゃん?お前こいつの弟か」


「そうだよ。どうしてお姉ちゃんをいじめるの?」


「お前みたいなガキには関係ないことだろ。だからどけ」


「どけない」


結城は震えながらも私の前を動こうとしない


「結城!!いいからそこをどけて。私は大丈夫だから」


「僕は大丈夫だよ。お姉ちゃんを守るから」


「兄弟愛とか見せつけなんよ、うぜぇな」


「先輩!!なんでもするから結城には手を出さないで」


「さっきまでの威勢はどうした?そんなに弟が大事か」


「当たり前です。お願いします。やめてください」


私は頭を下げる


「地べたに頭つけろよ」


「わかりました」


「お姉ちゃん!!」


私は言われたとおりに地面に頭をつけるために下げる

下げる途中勇気の泣きそうな顔が目に入る

ごめんね。こんなお姉ちゃんで


「西村さん顔をあげて」


「えっ」


下げかけていた頭がそのこえで止まる


「もう大丈夫」


「あなたは...」


「瑞樹の友達って覚えていて」


「中村???なんでお前がここにいるんだ?」


「瑞樹に言われていたからだよ。本当に君って予想通りの動きしかしないんだろうね。あと性格もクズすぎて聞いてて恥ずかしくなったよ」


そうだ、中村さんだ。

瑞樹先輩の隣にいたから顔は覚えている

でもいつもと様子が違って見えた

そして私は気づく。中村先輩は後ろに組んだ手で「いけ」というメッセージを送っていた

私は結城の手を取りその場を急いで離れた


「おい」


「まだ話は終わっていないよ」


「だからさっきからなんだよお前」


「逆に西村さんに手を出した君をこのままいかせると思っているの?」


「じゃぁ俺と喧嘩するの?」


「全く。僕みたいな陰キャの前になったらすぐに喧嘩に持っていこうとするのはなんんなの?その威勢を嶋野さんの前でもみせてみてよ。この前の昼休みも完全にビビっていたよね。」


「俺のこと挑発して何がしたいの?」


「挑発?何をいっているの?あっそうそう。このまま僕のことを殴るのは自由だけど。向こうから鏡さんが動画を撮っているから殴った証拠は残るから気を付けてね」


「はったりかましてんじゃねーよ」


村野は後ろのほうの鏡さんをみつける


「チッ。それならお前を殴ったあと、鏡のところで動画を消させるだけだ」


「はぁ。やっぱり陰キャもどきってきついわ。陽キャの前では縮こまって、自分より下の奴の前では強くなる。ださいな」


「なんだその目は」


「軽蔑している目だよ。君がクズでごみで同級生って思われるだけで恥ずかしい」


「お前調子にのんなよ」


「うっ」


予想以上に顔面にグーはいたい。

どうして僕はいつもこんな役回りなんだろ。

前にゲーセンで木村に殴られた時もこんな感じだったな。

でも今回は違う

あの小さな少年が僕に勇気をくれた


最初は本当に驚いた

西村さんが殴られそうになった時に急に子供が飛び出してきたことにもだけど、それ以上に前に公園で会った男の子だったことだ。

それが西村さんの弟なんて、どんな偶然だよ。


「もしお母さんとお姉ちゃんが泣いていたら僕が誰よりも守ってあげるよ。だって僕は男の子だもん。男の子は女の子を守ってあげるんだよ」


あの子は有言実行した

自分のお姉ちゃんが危ないときにちゃんと守った。

あんな小さな子が勇気を出して立ち向かったんだ。

僕がこの程度で倒れるわけにはいかないよね

それに木村と違って陰キャ育ちの村野のパンチは強くはない


「今の一発で倒れないことだけは褒めてやるよ」


そう言ってもう一発殴る

僕は倒れない

口の中がキレて血の味が広がる

殴られたときに見えた鏡さんの表情は泣きそうになっていた

また悲しそうな顔をさせてしまった

僕は倒れそうになる足を支えて立ち上がる


「パンチが弱いんじゃない?」


「黙れ!!」


そしてもう一発殴られた

流石に顔面に3発がきいた。頭がくらくらしてきた

でもまだ倒れれない


「なんで倒れないんだよ」


「だから君のパンチが弱いんじゃない?」


こんなときに口が滑るのは瑞樹のせいかな。

今度こそ文句いってやるからな

流石の4発目は意識が軽く飛んだ


「中村!!!!!!!」


鏡さんの声が聞こえる


「来ちゃダメだよ...」


声が出ない

身体が動かない

よくボクシングで殴られた選手が動けなくなるような感じだ


「はぁはぁ...やっと倒れやがった。うっ」


村野の変な声とともに意識が飛びそうになる


「中村!!」


「中村!!」


鏡さんの声が聞こえる


「鏡さん...」


「中村!!!!!」


「村野は?」


「もう大丈夫」


「もう大丈夫なんだね」


そういって僕は意識が途切れた

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