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181話

「私、村野先輩と別れようと思うんです」


「えっそうなの?」


「はい」


先輩はそれほど驚いているようにはみえなかった

なんとなく予想していたのかもしれない。


私もこの決断をこんなにあっさりできるとは思っていなかった

決め手となったのは先日の一件だ。

彼女の私がいるのに別の子に声をかける失礼な態度や友達を悪くいったこと

そしてこれまでのあからさまな身体目当てなところを考えたら、村野先輩と付き合っている良さを感じなくなっていた。


寂しさと憧れがあった。

みんなが楽しそうにしている中、私はバイトして家事をする日常で何かを変えたいと思っていたところに村野先輩との出会いだった。

だから舞い上がっていたと言われればその通りで、恋愛経験がない私からしたら高校生活という時間がキラキラしていた。

そんな夢を見る時間も終わって現実をみるときがきたのかもしれないと思った。

そう考えるとあっさりと別れる決断をすることができた。


1人だったら気づけなかったのかもしれない。

松岡先輩と愛さんとバイト先で出会って、真紀ちゃんと黒崎さんと仲良くなれて私は前ほど寂しさを感じなくなっていた。

きっと感情は正論だけじゃ片付かないことがあるということもわかった。



「それで西村さんは一人で村野に会うの?」


先輩は少し考えて私に尋ねた


「そうですが。どうしてですか?」


「いや、これは俺の予想でしかないんだけど、村野はプライドが高いほうだと思う。だから後輩の西村さんに振られるって展開に逆キレしないかなと」


「それは大丈夫でしょ」


あり得ると思った。

先日の一件もそうだが、自分の都合が悪くなると圧を強くするところがある。

ノリと勢いという言葉でもいいが、客観的に見ると怖さがあるかも


「それならいいけど。何かあったらすぐ言いなよ」


「ありがとうございます」


やっぱりこれが本当のやさしさなんだろう

愛さんが先輩のことを大好きな理由が先輩と接しているとなんとなくわかる



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


バイトが終わって帰宅した俺は敬都と冬くんにメッセージを送る

【今日西村さんと話したんだけど、村野と別れようと思っているらしい。これ内緒な】


すぐに二人の既読がつく


【まぢか。西村さんの決断早かったね】


【まぁ先日の一件があれば妥当かも知れなけど】


村野と大村が3人に絡んで愛に黙らせれたことを言っているのだろう。

この1年でだいぶ慣れたけど、愛がキレたときの圧は外からみていても怖い。


【それで一応だけど3人で交互で様子をみておこうかなと思うんだけどどうかな?】


【それはいいけど、僕たちが後ろからついていくのは怖くない?】


確かにそれはそうだ。

3年生の俺たちが西村さんの後ろをついていったらストーカーと勘違いされる可能性すらある


【それなら真紀ちゃんと黒崎さんに言ってみたらどう?】


それは俺も考えた

でも先日の村野の態度をみていると女子であろうと手をだしてくるかもしれないと思った。


【先日の件もあるからどうかなと】


【確かにそれは心配だね】


【それなら西村さんたちを追うんじゃなくて、村野達を見張るのはどう?】


【敬都、お前天才かよ】


【中村くん、いいアイデアだね】


【最近みていたアニメで探偵系のあってたからね。僕も頭よくなっていたかもしれないな】


【じゃぁ3人で交互に村野の後をつけるでいい?】


【いいよ】


【なんで僕のことは無視?】


【明日は俺バイトなんだよな】


【僕も予定があるんだよね】


【無視したことはそのままでいくのね。OK。明日は僕がいくよ】


【じゃぁそんな感じでよろしく。なんかあったらすぐに連絡して】


【わかった】


メッセージを終えてベッドに横になる。

人の恋愛に首を突っ込むのは本来だったらしないほうがいいと思っている。

もし自分の立場だったら首を突っ込まれたくはない。

でも真紀の話を聞く限りでも村野と大村はクズだと思う。

自分はなんでもできる男じゃないけど、手の届くところにいる後輩ぐらい守れる先輩でいたい。


人は傷ついてからじゃ遅いんだ。

真紀の一件で嫌というほど思い知らされた。

頑張ればどうにかできるわけではないし、後悔は一生消えないだろう

あの時の真紀の涙は今でも脳裏に焼き付いている。

西村さんが傷つくかもしれない未来があるなら、少しでもそんな結末にならないように動いて村野を恨まれたとしても十分価値がある。


そんなことを考えていると愛から電話がかかってくる

今日はご飯を食べて早めに帰宅していた


「もしもし、みっちゃんなにしてた?」


「ベッドに横になっていたよ」


「私も少し勉強してから横になっているよ。みっちゃんあいたいよ~」


「さっきまで一緒だったよ」


「えーっ。私は1秒でも多くみっちゃんと一緒にいたいんだよ」


「俺も愛と一緒にいたいよ」


「へへへ。最近みっちゃんは言葉にしてくれる回数が増えているよね」


「まぁ最初に比べたらそうかもしれないね。そんな言われたら恥ずかしいけど」


「もっといってよ。嬉しいから」


「頑張る」


「みっちゃん何かあった?」


「どうして?」


急に愛に言われた言葉に少し動揺する


「なんとなく。私の勘」


「大丈夫だよ」


「なんかあったらいつでも言ってね。私がみっちゃんを守るから」


「ありがとう。でも俺も愛が守る側だと思うよ」


「そんなのどうでもいいの。私がみっちゃんを守るから」


「ありがとう」


「うん。じゃぁまた明日ね。おやすみ」


「おやすみ。好きだよ」


「へへへ。私もすき~。おやすみ」


電話を切って愛の言葉の余韻に浸っている自分がきもくて背筋を伸ばす。

別に愛に隠し事をしたいわけではなくて、なんとなくだけど、この問題は愛だったらすぐに解決させてしまうのかもしれないけど、それはきっと西村さんのためにはならないような気がする。

だからもう少し落ち着いたらちゃんと話そう。

多分怒られるだろうな。





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