177話
あの日から少しずつ先輩の様子が変わった気がする
先輩が変わったというよりは先輩から「今日家に誰かいるの?」と聞かれる回数が増えたと感じた。
実際に会っているときも
「今日はまどかの家は誰かいる?」
「今日はお母さんがいますね」
「そっか...」
あからさまに先輩の気分が下がっているのはわかった
ただそれでも数日後家に誰もいない日があったので先輩に連絡した
「今日は私一人でバイトもないので会いませんか?」
先輩はすぐに返事をくれた
「いく!!」
そういって家に来た先輩は少し話すと、まだ前回と同じように私の身体を求めた
この時から私はなんとなく気づいていた
先輩が家に誰もいないのか確認をとっていたのは二人きりだと私とすることができるから。
先輩に聞いたわけではないが、先輩は家に誰かがいると頑なに家にこようとはしなかった。
恋愛経験が乏しい私からしたら「これが普通なのかな」と思って特に考えていなかったが、家に誰もいないとわかってからのがっつき方と家にきてからすぐに身体を求めてくるところをみても馬鹿な私でも理解できた
ネットでも調べたが女性側は最初は痛いけどって書いていたけど先輩との行為は2回目以降も痛みのほうが強くて気持ちがいいというのを感じなかった。
私は行為が終わった後に先輩に尋ねてみた
「先輩ってエッチが好きなんですか?」
「どうしてそう思うの?」
「なんとなくですかね」
「嫌いな男っているのか?それに俺は初めてだから好きかどうかわからないけどまどかとするのは好きだよ」
「そうですか」
「何か不満があるのか?」
先輩がイラっとしたのがわかった
「私も恋愛経験がないので、これが普通なのかどうかもわからなくて」
「そうゆうことか。俺らなりのペースでいいんじゃないか」
先輩が着替えてトイレにいったときに
先輩の携帯に通知が届いた
普段は画面ロックがかかっていたみえれないが
動画をみている途中にトイレにいったから通知の内容が見えた
【今日は後輩とヤレたか?】
多分男友達からのメッセージだ
この文章だけで先輩を判断してはいけないとは思う
でもこのメッセージがくるってことはその前にそれ系の話をしてるのはわかる
先輩の性に対してのがっつきかた、そして私が初めてっていうところも含めて合点がいく。
「初めて」ってもっとロマン的なものだと思っていたけど
この時点で私は先輩に対する気持ちは下がっていた
バイトで先輩と愛さんの関係性に憧れて恋愛に興味をもって村野先輩と付き合った
でも付き合ってみるとあの二人みたいな感じではなくて
身体を求められるだけの関係...
どうして私はこんななのかな。
先輩はトイレから帰ってくると私に一度キスをして家に帰っていった
まだ弟が帰ってくるまで時間があるといったけど
「今日は帰るよ」
そういって先輩は早々に帰っていった
私の不安を募るばかりだった。
それから春休み中に私が家に一人になることがなかったことで先輩と会う機会はなかった。
最初は毎日していた連絡も数が減り、一日に一通程度になっていた。
そして高校が始まった。
入学式の日に久しぶりに顔を合わせて村野先輩は素っ気なくて2人でいたときの優しさは学校では感じれなかった。
放課後に先輩からメッセージが届く
「まどか、入学おめでとう。今日久しぶりに遊びにいかないか?」
さっきの素っ気なさが嘘みたいないつもみたいなメッセージが届く
私はちょっと嬉しくなって
「ありがとうございます。喜んで」
そういって放課後に久しぶりに先輩と会う約束をした。
私は少し舞い上がっていた
そして久しぶりにあった先輩の第一声は
「まどか、今日は家に誰かいるの?」
私の中の嬉しい気持ちは一気に覚めてしまった
「今日は入学式が終わって親は仕事にいって弟は夕方まで帰ってきません」
「そっか。いっていいか?」
「はい」
2回目うちにきたときからなんとなく気づいていたけど、見て見ぬふりをしていたし
どこかで先輩は私のことが好きで私を求めてくれていると信じたかったのかもしれない
世の中の普通がどうゆうものかはわからない
この年ぐらいのカップルの普通は会うたんびに身体の関係になることなのかもしれな
い
それでも私が求める「幸せ」はこんな感じではないのはわかっている。
そういって少し俯きながら前を歩く先輩を追いかけた
家につくとすぐにキスをされて身体を求められた
最初から覚悟を決めていた私はそれに耐えた
そして今回も気持ちよさよりも痛みのほうが強かった
私の身体っておかしいのかな?
先輩は行為が終わるとまたすぐに帰宅した
友達との約束があるらしい。
その日の夜、お母さんが買ってきてくれたケーキを3人で食べて心が少し温かくなった。
「西村さんって村野と付き合っているの?」
「えっ」
先輩から急に村野先輩の名前を出されて少し固まってしまう
「昨日一緒に歩いているところをみたから」
「そうなんですね。付き合ってます」
少し俯きながら西村さんは返事をした
この表情を見られたくないと思ったから
「そっかそっか。おめでとう」
「あ、ありがとうございます」
「もし西村さんが村野に俺のことを話していないならここで一緒に働いているのは内緒にしておくほうがいいと思う」
「どうしてですか?」
「まぁいろいろあったのと村野は嫉妬深いかもしれないだろ?」
「わかりました」
先輩はなんとなく空気を察してくれたのかそれ以上踏み込んではこなかった
「先輩は愛さんに愛されていていいですよね」
気づけが先輩に妬みっぽく言葉を投げていた
「西村さんは違うの?」
先輩は優しく返事をしてくれる
「私はたまにわからない時があります。っていうより愛さんの先輩に対する好き好きが異常なだけかもしれませんが」
「確かに愛はほかの人とは違うから比較対象外にしておくほうがいいと思うよ」
「それは惚気ですか?」
「西村さんも当事者になったらわかるよ。愛はみんなが思っているよりポンコツだからね」
心の中で惚気ごちそうさまです。
って思っていると
「呼んだ?」
「えっ」
突然私の目の前に愛さんが現れた
この人何物なの?
「私の話していなかった?」
「うん。していたけどいつの間にお店に入ってきたの?音鳴った?」
先輩が私のほうをみる
私は首を横に振る
愛さんの不思議現象が一つ増えたのだった
そうしているうちに先輩との入れ替わりの時間がきて
愛さんはバイトを上がり終わるのを待ってくれていて3人で一緒に帰った
「それでさっきは何を話していたの?」
「愛さんが先輩のこと大好きですよねって話です」
「それは当たり前だよ。運命共同体」
「ありがとう」
「どうしてこんなに自然に二人の世界を作るんですか?」
素朴な疑問をなげかける
これはこの二人の才能なんじゃないかと思う
「西村さんも彼氏ができたんだって。同じクラスの村野って男子。愛わかる?」
「う~ん。わからない」
「えっ。同じクラスですよね?」
私は驚きの表情をする
だって同じクラスの男子がわからないって普通ないでしょ。
「顔をみればわかると思うよ」
「みっちゃんの周辺以外眼中にないからな」
「先輩...愛さんっていろいろとすごいですね」
やっぱりこの人は私が思っているよりもすごい人なのかなと思った
「そうでしょ?俺もずっと同じこと思っているよ」
「悪口言っている?」
「愛はすごいなって話だよ」
「へへへ。ほめてくれるみっちゃんにはこれをあげよう。西村さんもどうぞ」
そして先輩は愛さんに甘いし、愛さんは褒められるとデレデレするし
「ありがとう」
「ありがとうございます」
「でも西村さんは中学3年生の春休みからバイト始めたんだよね?すごいよね」
「全然すごくないですよ。ただうちは両親が離婚して母親一人で私と弟を育てていて。自分のお金ぐらい稼ごうと思っただけです。それに母は夜勤もあるので家の家事も母と分担していて、こんな風にコンビニだと賞味期限が近い商品なんかは安くしてもらえたり、もらえたりするので私としては得している部分も大きいんです」
「まさか西村さんがバイトと家事をこなすスーパーJKだったとは」
「なんですかそれ。うちはこれが普通です。弟には我慢させてばかりかもしれませんが」
愛さんが急に私の頭をよしよしした
「愛さん急にどうしたんですか?」
「頑張っている西村さんにちょっとしたご褒美を。みっちゃんによしよしされたら私も嬉しいから」
私は先輩のほうをみる
先輩はちょっと恥ずかしそうな表情をする
でも嬉しいのは本当かもしれない
「ありがとうございます」
「何かあったら私たちを頼っていいからね」
その言葉に少し救われたと同時にこのままではダメだなと思った。




