↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
175/191

175話

「まどか、いつもごめんね」


「大丈夫だよ。私としてはお母さんのほうが心配だよ。一人で夜も働いてくれて家のこともやってくれて」


「それは当たり前のことなのよ。あの人と離れるって決めた時にこうなることは覚悟していたことだから」


「それはわかるけど、お母さんが倒れるほうが大変だからね」


「わかってる」


3年ぐらい前にうちの両親は離婚した。

理由は詳しくは知らない。

仲のよかったお母さんとお父さんが徐々にギクシャクしてきて、気づいた時には修復

不可能な関係になっていた。

小学生だった私は何もわからないままお父さんがいなくなって、お母さんと弟の健と3人の暮らしが始まった。

看護師をしているお母さんは女手一つで私たちのことを育てないといけないから夜勤も頻繁に入っていた。

最初は寂しくて泣きそうになっていたけど、私以上に泣いている健をみていると、自分が泣いている場合ではないと思って零れそうな涙をこらえてお母さんの負担を減らそうと思った。

成績は悪くなかったのもあったのと高校になると今まで以上にお金がかかると思って学校に申請してからコンビニのバイトを始めた

お母さんからは反対されたけど、少しでも家族の役に立ちたいと思って始めた。


ただ、始めたときのモチベーションでずっといれるわけもなく

楽しそうに遊んでいる同級生や楽しそうなSNSをみていると、時々「なんで自分は他の子と違うんだろ」と思うこともあった。

それでも家に帰ると働いて私以上に疲れているお母さんの顔をみたり、もっと甘えたい年頃のはずなのに頑張っている健をみると、その考えは心の奥の奥にしまいこんでなんとか表では普通のふりをしてやってきた


高校はなんとか合格できた。

お母さんも喜んでくれた。

私も嬉しかったが、この時には勉強・家事・バイトとの掛け持ちで心はすり減っていたんだと思う。

中学が終わり春休みに入ると店長から新しいバイさんを紹介された


「松岡瑞樹です。よろしくお願いします」


「あっ」


「えっ」


偶然なのはわかっているが、少し縁を感じてしまった。

新しいバイトさんは半年前ぐらいにいつも通っている美容室に職場体験にきていた先輩だった。

文化祭の時も話しかけたが、隣にめちゃくちゃ可愛い彼女さんがいてちょっと切なくなった。だってタイプだったもん。

でもこうやって再会できたのは素直にうれしかった


「先輩、覚えていますか?」


「西村さん?」


「そうです。まさかここに先輩がくるあんて予想外すぎです」


「母さんの知り合いがここの店長さんで、話もらってバイトさせてもらうようになったんだ」


やっぱり松岡先輩は物腰も優しいし話しやすい。

顔もタイプだったのにな...あの先輩には勝ち目を感じれない

だって美人すぎるでしょ


「そうなんですね。一緒に働く人が先輩で嬉しいです」


「俺も知っている人がいて安心しているよ。バイトは人生初だからね」


「彼女さんは一緒じゃないんですか?」


「さすがにバイトは俺1人だよ」


「ここでイチャイチャされたらどうしようかなと思いました」


「いやバイト先でそんなことしないから」


「どうですかね」


私が意地悪を言うと。先輩も笑って答えてくれる

こんな男の人と付き合えたら楽しいんだろうなと素直に思った。

先輩は器用な人で教えたことはすぐにできるようになったし、3日ぐらいで仕事も覚えていった。

まぁ器用以上にちゃんとメモしたり、わからないことがあったらすぐに質問してくるとか性格的に真面目なんだろうなと思った。

先輩の仕事の出来はいいとして....



「みっちゃん、今日もきたよ」


「愛さんまた来たんですか?」


「西村さんもこんにちは。みっちゃんに手出しちゃダメだよ?」


「出しませんよ。まずこんなに彼女さんが大好きムーブ出している彼氏さんをとろうなんて考える女はいないと思いますよ」


「みっちゃんかっこいいからわからないじゃん」


「大丈夫です」


この嶋野愛先輩はとにかく先輩に対する愛がすごすぎる

初日にもきたけど、それから先輩の出勤日は毎日ここにきている

先輩も嫌そうな顔をせずに対応しているのがすごすぎる

私だったら疲れそうとすら思ってしまう

昨日先輩に尋ねてみた


「先輩、愛さん毎日来そうですね」


「あぁ...確かに。あの感じは毎日くるかもね。家に帰れば会えるのにね」


「えっもう同棲しているんですか?」


「半分正解で半分不正解って感じ。いろいろあって愛はうちの隣のアパートに住んでいて、晩御飯とかは基本うちで食べているんだよ」


「なんですか、そのラブコメ展開は」


「確かにそうだよね。まぁいろいろあった結果かな」


この二人だけが知っているような関係が羨ましいと思う反面ずるいなと嫉妬してしまう

「でも愛さんの先輩に対する愛情表現はすごいですね」


「俺もそう思う。でも嫌ではないからな」


「先輩ってMなんですか?」


「そうじゃないけど、好きな人に愛されて嫌な気持ちはしなくない?」


「そんなストレートに言われたぐうの音も出ません」


「ははは。まぁそのうち西村さんにもわかる日がくるさ。愛の魅力も含めてね」


「楽しみにしておきます」


という会話を先輩と交わしたわけだが、翌日も愛さんはお店に来店した

この二人の感じにも3日あれば慣れてくる


それにしても「西村さんにもわかる日がくるさ」か...


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。