174話
「先輩たち目立ちすぎですよ」
「俺が目立ちたいわけじゃないんだけど。俺の周りが変に目立っているんだよ」
「まぁそれはそうかもしれませんが。真ん中に先輩がいるから一番目立っているといっても過言ではないですよ」
「妹からもそんな言われた。全然本位ではないんだけど」
「妹さんまだ見つけれてないです」
「みつけたら声かけてやって」
「わかりました。あっお客さんきた。いらっしゃいませ~」
「いらっしゃいませ」
俺は春休みに母さんの知り合いに頼まれたコンビニのバイトを春休み終わっても週に1~2回程度勤務で続けることにした。
自分の遊ぶお金ぐらい自分で稼ぎたい気持ちと、思ったよりコンビニのバイトは社会勉強になるから続けて損はないかもしれないと思った。
今隣で元気に接客しているのは俺たちの2つ下で真紀と同学年になる後輩の「西村まどか」さんだ。2年の職場体験のとき俺と敬都がいかせてもらった美容室B&Cのお客さんだった女の子だ。
コンビニに面接にきたときに驚きの再開を果たした。
そして先日俺たちのクラスメイト村野と一緒に歩いているところをみかけたところだった
忙しい時間が終わってゆっくりしたタイミングで俺は昨日のことを聞いてみる
「西村さんって村野と付き合っているの?」
「えっ」
急に村野の名前を出されて驚いたのか西村さんが驚いた表情をする
「昨日一緒に歩いているところをみたから」
「そうなんですね。付き合ってます」
少し俯きながら西村さんは返事する
恥ずかしがっているようだ
「そっかそっか。おめでとう」
「あ、ありがとうございます」
「もし西村さんが村野に俺のことを話していないならここで一緒に働いているのは内緒にしておくほうがいいと思う」
「どうしてですか?」
「まぁいろいろあったのと村野は嫉妬深いかもしれないだろ?」
「わかりました」
歯切れが悪そうに聞こえるような気がしたが二人の関係にあまり踏み込むのも野暮だと思うからふれなかった
村野は冬くんのときにひと悶着あって、あれから俺たちは言葉を交わすことがない。
まぁ俺たちのバックにいる愛とさくらさんと桐生さんの存在があるからこその距離感なのはわかっているけが。
多分後ろ盾がなかったら俺と敬都にもっと突っかかってきているのは間違いない。
あいつらは基本陽キャと陰キャの間ぐらいの立ち位置だけど陰キャの俺たちみたいな存在を見下している節があるから
「先輩は愛さんに愛されていていいですよね」
「西村さんは違うの?」
「私はたまにわからない時があります。っていうより愛さんの先輩に対する好き好きが異常なだけかもしれませんが」
「確かに愛はほかの人とは違うから比較対象外にしておくほうがいいと思うよ」
「それは惚気ですか?」
「西村さんも当事者になったらわかるよ。愛はみんなが思っているよりポンコツだからね」
「呼んだ?」
「えっ」
西村さんと話していることに夢中になっていたかもしれないけど、コンビニの入り口の音鳴ったっけ?って思うぐらい音もなく目の前に俺の彼女は現れた
「私の話していなかった?」
「うん。していたけどいつの間にお店に入ってきたの?音鳴った?」
俺は西村さんのほうをみる
西村さんは首を横に振る
俺と西村さんの中の不思議現象が一つ増えたのだった
そうしているうちに先輩との入れ替わりの時間がきて
俺と西村さんはバイトを上がり終わるのを待ってくれていた愛も含めて3人で一緒に帰った
「それでさっきは何を話していたの?」
「愛さんが先輩のこと大好きですよねって話です」
「それは当たり前だよ。運命共同体」
「ありがとう」
「どうしてこんなに自然に二人の世界を作るんですか?」
最近みんなに言われるな
俺が悪いのかな...
「西村さんも彼氏ができたんだって。同じクラスの村野って男子。愛わかる?」
「う~ん。わからない」
「えっ。同じクラスですよね?」
西村さんが驚きの表情をする
それはそうだろう。
もう1年も同じクラスにいるはずなのに。
「顔をみればわかると思うよ」
「みっちゃんの周辺以外眼中にないからな」
「先輩...愛さんっていろいろとすごいですね」
「そうでしょ?俺もずっと同じこと思っているよ」
「悪口言っている?」
「愛はすごいなって話だよ」
「へへへ。ほめてくれるみっちゃんにはこれをあげよう。西村さんもどうぞ」
そういって愛はさっきコンビニで買っていったお菓子をわけてくれた
「ありがとう」
「ありがとうございます」
「でも西村さんは中学3年生の春休みからバイト始めたんだよね?すごいよね」
「全然すごくないですよ。ただうちは両親が離婚して母親一人で私と弟を育てていて。自分のお金ぐらい稼ごうと思っただけです。それに母は夜勤もあるので家の家事も母と分担していて、こんな風にコンビニだと賞味期限が近い商品なんかは安くしてもらえたり、もらえたりするので私としては得している部分も大きいんです」
昔のコンビニは週未期限が近い商品は廃棄商品になって持って帰ることも多かったらしいけど最近はそうゆうお店は少ないらしい。
俺たちが働いている店舗は店長の意向で安く買えるようにしてくれている。
店長曰く「捨てるよりましだよね」という方針らしい
どこのコンビニも割引シールとか貼っていることが増えたし。
「まさか西村さんがバイトと家事をこなすスーパーJKだったとは」
「なんですかそれ。うちはこれが普通です。弟には我慢させてばかりかもしれませんが」
すると愛が西村さんの頭をよしよししてあげる
「愛さん急にどうしたんですか?」
「頑張っている西村さんにちょっとしたご褒美を。みっちゃんによしよしされたら私も嬉しいから」
西村さんが俺のほうをみる
少しいたたまれない気持ちになる
愛はよしよしされるとすごい喜ぶ。
でもそれはほかの人も同じように喜ぶかは別の話
「ありがとうございます」
西村さんも恥ずかしそうにしているが、いやそうではない
むしろ喜んでいるようにも見える
「何かあったら私たちを頼っていいからね」
愛がそんなことをいってやるのは珍しいと思ったが
西村さんは嬉しそうに返事をした
「どうして西村さんにあんなこといったの?」
俺は愛と二人になった帰り道に尋ねてみた
「なんとなく表では平気な素振りをしているけど頑張りすぎているような気がしたから」
「そっか」
愛のなんとなくはいつも的外れではない
行動は的外れなことが多いけど
「みっちゃん、今失礼なこと考えたでしょ?」
「カンガエテイマセン」
「ははは。なんで片言なの?_」
「愛は可愛いなって思って」
「全然返事になっていないけど許す」
そして俺たちは手を繋いで家に帰った




