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28 ソファーの上で目覚めて
グレイ。
弱くても、強く夢を抱いて生きて。
その瞬間に、道は貴方の前に現れる。
いつか私が、お母さんがいなくなっても、貴方は強く、生き続けるの。
何かの物音に、目を覚ました。
「う……ふぁー」
目覚めの欠伸をどでかく一発かまして、身体を半分起こす。
「かあ…さん…」
人影が滲み出てきて、段々とはっきり見え始める。
「あら、グレイ。おはよう」
寝間着姿で微笑む女の人、エレナ・グリュースさん。
武器屋のおっちゃんのお嫁さんだ。
「エレナさん…あっ、おはようっす!」
そっか。俺、おっちゃんの家のソファーで寝てたのか。
「良く眠れたかしら」
「ちょっと寝ぼけてるけど大丈夫。エレナさん、朝早いなあ」
ぼうっと呟きながら、俺は部屋を見回す。
母さん。今頃どうしているのだろうか。
俺、結局どうすればいいんだろう。
村に帰ればいいのか?
破壊魔法とやらを継いで、でも、俺がしなければいけないことなんてないし、そもそも俺に成し遂げられることなんて、たかが知れている。
「そうそう。今日大事なお客さんが来るのよ」
「お客さんって、どんな?」
俺はエレナさんの方に向き直った。
「この国で一番名の知れた、冒険者の人よ」




