15 ここで”お前”は終わるのか
「使い終わったら捨てりゃいい。古くなったら新しいものを手に入れればいい。そんな道具扱いを、てめぇは自分の妹に押し付けんのかよ!!」
怒りに、血が燃えていた。
「黙れ失せろがきぃ!」
思いっ切り、肺を膨らませる。
「俺は十五だ!がきじゃねえ!おいシャナ!今の破壊魔法って奴でこいつは倒せんのか!?俺も加勢する!連携してこいつぶっ倒すぞ!」
恐怖を叫びでごまかして、微かに震える足で、俺は立っていた。
殺気を滾らせる、シャナの兄を睨みながら。
「要らない。貴方では私の剣になれない。さっきは伏せたから良かったけど、無防備の肉体で私の魔法を真面に受ければ、骨諸共消し飛ぶわ」
少女らしさを漂わせながらも辛辣な口調で、シャナは拒む。
それでも、シャナは無理をしている。
破壊魔法は独特の、強烈な覇気を纏っている。おそらく、一発一発が渾身の一撃なのだろう。それを一身に受けてもまるで気にしない、シャナの兄。持久力面では相手が上だ。
このまま続ければ、シャナの敗北の色は濃い。
例えシャナが俺から希望を奪った人間でも、俺がされたことと同じ苦しみを味あわせなければならないとは、思えなかった。
「貴方は無力なの。身体を張ってもせいぜい、肉壁にしかなれない」
「それなら俺は、あんたの肉壁にでもなってやる」
「……は?」
後ろに振り向いた。初めてその顔と、向かい合った。俺の返答に、シャナはしばらく瞬きを繰り返していた。よく見ると超可愛い、なんて気がしなくもない。
そして、その場にしゃがみ込んでいる。急激な魔力の消耗によるものだろう。残量は五割を切ったかもしれない。
腰に下げられた、魔法を宿す短剣はまだ、抜かれていなかった。
「俺、あんまり魔法の才能ないけど、あんたが凄え天才なんだなってことは分かった」
シャナ。
俺とお前の違いは、才能の差じゃない。
助けてくれる人が、いるか、いないかだ。
路地裏で死に掛けた時、俺は死に掛けた。
誰も助けに来てくれなかったからだ。
「でも、人を頼れよ!意地張るなよ!そんな強え癖して、勿体ねえんだよ!自分を守ろうとしねえところが!人の背中で守られる人間が下で、守る人間が上だなんて、誰が決めた!助けを求めろよ!その背中でいつか誰かを、守るために!」
そして、今、お前の目の前にいるんだぞ。
役立たずの、無力な英雄が。
「なあ!」
やけに静かな夜の闇。
「ここでお前は、終わるのか!!」
シャナの目に熱く、光が差した。




