二年半後、案の定の崩壊
第四幕:
それから、二年半という、冷徹な『構造の必然』が時間を刻んだ。
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令和八年九月一日 [新聞の報道]
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川崎の下町、テレビの画面には、地検特捜部の突入映像と共に、速報のテロップが赤く光っていた。
『こまった大家さん、約二千八百八十一億円の債務超過で行政処分。事実上の破綻 [新聞の報道]。
東京・大阪地検が一斉捜索』
テレビ画面の中、アキラと真之介が、特捜部の係官に両脇を抱えられ、うつむいたまま連行されていく。
近所に住む、堺屋太一ファンの老婆・マツエ。
実家の窓、アルミサッシをガラッと開けて、冷たい声で嗤った。
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マツエ:
「…やっぱり、アカネちゃんが、正しかったのね、
泥舟が、ついに、ひっくり返ったわね [新聞の報道]。
二千八百億。
人間っていうのはさ、『自分だけは大丈夫』なんていう正常性バイアスの麻薬を打たれると、どれだけ足元が腐ってても気づかないのよ。
ババアたちもさ、寂しさを若い男の笑顔で埋めたかっただけの、おめでたい連中だったのよ。
でも、あのアカネちゃん……大したものね。
二年半前に北総線の車内で、あの子たちのために静かに復讐の爪を研いでいたんだもの。
お母さんにアドバイスしたあの『ガラホ』の優しさが、最後の最後でこのババアたちの嘘を全部引き裂いたのよ。本物の知性ってのはさ、こういう時に大切な人を守るためにあるのよ!」
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その頃、アカネの母、優子はテレビを消し、パタン、とガラホを閉じた。




