猛禽のデューデリジェンス
第二幕:
(数分後、優子のガラホから、氷のような長文が投下される)
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ゆうこ:
夜分に失礼。優子の娘のアカネです。母の端末を没収し、私のスマートフォンから直接このグループの「病み」を、かき出しにきました。
マツエさん、セツコさん。今すぐその薄汚いマウンティングを止めなさい。
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マツエ:
な、何よアカネちゃん! エリート商社パーソンだからって、上から目線で……!
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ゆうこ(アカネ):
冷静に、しっかりと聞いてください!
私はマルタニで何千億のインフラ投資の地獄を見てきたの。
あなたたちの脳を麻痺させている【正常性バイアス】という名の毒、私が一瞬で解毒してあげるわ。
昨夜、その投資会社の財務諸表と土地登記をすべて理工学の数式で解体しました。
この会社、ただの山林をグループ間で転売し合い、書類上の価値を『七十二倍』に水増ししています。
世界基準のISO認定の取得もなく、外部の監査法人からも「これ以上嘘の書類には加担できない」とチェックを放棄されている、完全なガバナンスの死体よ。
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セツコ:
ガバナンス?
ISOって?
嘘! 真之介くんがそんなことするはずない……!
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ゆうこ(アカネ):
あの営業の、アキラも、真之介も、会社が資金ショート寸前であることを100%知っています。
知っていながら、あなたたちの歪んだ『推し活』の心理に寄生して、金をむしり取っているのよ。
あなたたちが毎月受け取っているその二万円は、成田の利益じゃない。
後から入ってきた、別の哀れな老人の三百万円をそのまま回しているだけの【ねずみ講】。
成田の現地には、一円の家賃を生み出す建物なんて、何一つ存在しないわ!
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マツエ:
うるさい!
あんた、半年前の離婚で男に捨てられたからって、私たちが若い男の子に愛されてるのが面白くないんでしょ!
ただの【嫉妬】よ!
ひがみよ! アキラくんの優しさは本物よ!
マツエの、虚栄心剥き出しの言葉が画面を汚す。
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優子はガラホのキーを叩こうとしたが、涙で指が滑る。
アカネが、ガラホをガシッと掴んだ。
その目は、冷徹なハンターのそれだった。
「お母さん、もういい。嘘のボタンを押すのは止めなさい。ここからは、私たちの戦いよ」




