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第48話 学校からの呼び出し

 夏休みだと言うのに、春陽は丸山教頭から呼び出しを受けることとなった。


 学校の会議室へ行くと、会議室の中には、京香先生と綾香の2人が丸山教頭の対面に立っていた。


 挨拶をした後に春陽は綾香の隣に立つ。


 会議室の机の上には数々の春陽の家にいる綾香の写真が置かれていた。



「これは諸星駿先生が桜ヶ丘高校へ送ってきた手紙の中に同封されていたものです」



 丸山教頭は糸目を鋭くして3人を見据える。



「先生方々が、特定の個人の生徒ばかりの面倒を見ているのいうのは風紀的にも、芳しくないですな」



 綾香は清楚な雰囲気でたたずんで、丸山教頭に微笑みかける。



「春陽君はまだ一人暮らしを始めたばかりです。ご両親からも、常に目を光らせてほしいと依頼を受けてのことですが、ご両親からの依頼でも放置しろと教頭先生は言われるのですね」



 桜ヶ丘高校は私立高校で、生徒の両親の意見が反映されやすい傾向を持っている。


 丸山教頭も両親からの依頼という言葉を無視するわけにはいかない。


 丸山教頭は胸ポケットに入れていた数枚の写真を会議室のテーブルの上に置く。


 その写真は全て綾香が、春陽の下着を干している写真だ。



「最近の先生は、生徒の見回りに行くのに、下着の洗濯までされるのですか?いささか、やり過ぎなのではないですか?変な噂が立ってもおかしくないですな」



 京香先生はその写真を見て無表情になっている。内心ではマズイと思っているに違いない。


 綾香は堂々として微笑みを崩さない。



「春陽君の母親である睦美さんから、直接、私に家事の手伝いの依頼がありました。睦美さんが春陽君の家に来れない時だけ例外的に協力しただけです」



 綾香はキッパリと丸山教頭に言い放つ。こう時は勢いも必要だ。



「おかしな目で見られているのは教頭先生のほうではないでしょうか?」


「春陽君のご両親に確認を取らせていただきますが、よろしいですな?」


「はい。ご両親からの依頼ですので、間違いありません。ご連絡を取って確かめてください」



 既に綾香と春陽の両親の間では、話は通じ合っている。学校側から問い詰められた時に、どう言い逃れするかも事前に決めていた。



「ご両親のご意向に沿うのも大切なことですが、世間の目もありますので、これからは、そのことも留意してもらえると、ありがたいですな」


「教頭先生の言われる通りですね。下着まで洗濯したのは私の落ち度でした。申し訳ありません。ご心配をかけることのないように、これからは注意いたします」



 綾香は背筋を伸ばして、深々と丸山教頭に対して、礼をする。


 丸山教頭はまだ疑いの目で3人を見ていた。



「これからは担任と言えど、女性の先生。春陽君も世間体を考えて、自力で一人暮らしできるようになってください」


「教頭先生には、ご心配をおかけしています。なるべく早く慣れて、先生方々の手を煩わなないようにしていきたいです」



 春陽も素直に丸山教頭へ頭を下げる。


 丸山教頭はもっと論争になるかと思っていたようだが、綾香も春陽も素直に頭を下げる姿を見て、追及するのを残念するしかなかった。



「今回の件は、学校内では無かったこととして、諸星駿先生からの告発に対して不問といたします。諸星先生も問題行動がありますから」



 丸山教頭の耳にも諸星駿先生のストーカー騒ぎのことは伝わっている。


 学校側としてはこれ以上、問題を大きくしたくないというのが本音だろう。


 京香先生、綾香、春陽の3人は、丸山教頭に深々と礼をして、会議室から外に出た。



「綾香があんなに堂々としているとは思わなかったわ」



 京香先生が綾香をたしなめる。



「私も睦美さんと事前に話し合っていたので、堂々としていられましたが、1人だけなら慌ててしまっていました。睦美さんに感謝です」


「ご両親が綾香の味方についているのは、強いわね。学校側ではご両親を無視することはできないですものね」



 京香先生がクスクスと笑う。



「あの下着を干している綾香の写真はマズかったわ。私も少し焦ったもの」


「そうですね。これからは春陽君には下着だけは自分で干してもらうようにお願いします」


「ああ、いつも綾香に下着を洗ってもらっていたんだね。今考えると、少し恥ずかしいよ。これからは自分で下着は干すよ」



 春陽は髪の毛を掻いて、照れ臭さを誤魔化す。


 2人はまだ学校での仕事が残っているという。靴置き場まで見送ってもらって、そこから春陽は1人でマンションに帰った。


 マンションに帰ると、家の前にブロンド美人が三角座りをして泣いている。


 ジョディ先生だ。嫌な予感しかしない。


 春陽がジョディ先生の近くに立つと、目から涙を流して、ジョディ先生が春陽を見つめる。



「ここで泣いていては目立ちます。家にの中へ入りましょう。」



 春陽は家の鍵を開けて、玄関を開けてジョディ先生を家に中へ招き入れる。


 ジョディ先生は元気がなく、春陽に言われた通りに、リビングのソファに座って、大人しくしている。


 春陽はそっと麦茶のカップとリビングのテーブルに置いて、ジョディ先生の様子を伺う。


 どうせ、和尚と痴話喧嘩したに違いないので、他愛もない話しだろうが、愚痴ぐらいは聞いてもいいだろう。



「どうしたんですか? 和尚と何かあったの?」



「オー春陽! 大問題でーす! 今までは浩平は朝まで私を抱いてくれていました! 最近では、疲れたと言って、朝まで私を抱いてくれません! 浮気の可能性がありまーす!」



 和尚、毎日のようにジョディ先生と朝までイチャついていたのか。それは疲れただろう。


 もう疲れたので、朝までは勘弁してほしいというのが和尚の本音だろう。


 たぶん、それをジョディ先生に言ったのだろうが、話が通じなかったに違いない。



「ジョディ先生! 高校生だって疲れるんです! 毎朝までイチャついてる高校生なんていませんよ! 和尚は頑張り過ぎたんです! だから疲れたんだと思います! 和尚に休憩を与えてあげてください」


「私の体に飽きたのではないのですか?」


「違います。本気で和尚は疲れきって、休みたいだけです。疲れが取れたら、以前のようにしてくれますから。それまで我慢してください」


「DVDで日本人男性は絶倫で、毎日しないとダメだと聞きましたが、それはウソなのですか?」



 なぜ、ジョディ先生の知識の源は全てDVDなんだよ。少しは和尚もDVDの本数を減らしたほうが良いと思う。


 ジョディ先生に悪影響にしかなっていない。



「DVDは全て、面白くて、おかしく話を作っているだけなので、信じてはダメです。あれはフィクションです」



 それを聞いてジョディ先生の心の中で、少しは整理がついたようだ。



「それでも浩平が私以外の女性を見るのはノーです。絶対に許しません」



 ジョディ先生はかなりの焼きもちで、独占欲が強いタイプらしい。


 和尚も大変だな。



「とにかく和尚に、今、ジョディ先生が俺の家に来ていることだけは連絡していいですか?」


「今日は春陽の家に泊りまーす。綾香や京香の意見も聞きたいでーす。大人の女性の情報交換も必要でーす」



 それを春陽の家でしようとするのは止めてほしい。それに綾香はウブで純粋なところがある。


 ジョディ先生のリアルな話を聞いて卒倒してしまうかもしれない。


 早く、和尚に連絡をして引き取ってもらおう。


 春陽はスマホを取り出して、和尚に連絡をする。


 和尚が出たので、ジョディ先生が春陽の家にいることを伝える。



『春陽殿、少しの間、ジョディ殿を春陽殿の家に住まわせてほしいのだが、拙僧も毎日は体が保たない。休息が必要。頼めないだろうか』


『そんなことをしたら、ジョディ先生が、和尚の浮気を本気にするからダメ。和尚と和尚のご両親からジョディ先生を納得させるのが良いと思う。俺を巻き込むな』



 ジョディ先生は猛牛のような性格だ。思い込んだら突っ走る。そんな性格を春陽は止めることができないことは理解している。



『とにかくジョディ先生は、今は大人しい。夜になるまでに引き取りにきてくれ。必ず、和尚がくるんだぞ。それでないとジョディ先生は喜ばないからな』


『わかり申した。拙僧が迎えにいくので、それまで春陽殿の家で、大人しく待っているように伝えてくだされ』



 スマホを切って、和尚が迎えにくることをジョディ先生に伝えると、本当に嬉しそうに笑顔の花が咲いた。


 本当にジョディ先生は和尚一筋に愛しているんだな。ジョディ先生の心に感心する。



「早く子供が欲しいでーす。5人は欲しいですから、今から浩平には頑張ってもらわないとダメでーす」


「ジョディ先生、和尚は、まだ高校生だから、妊娠騒ぎはマズ過ぎるよ。それは高校を卒業するまで待ってあげて」


「オー! 日本は色々と難しい国でーす! でも日本に住んでいますから、日本の流儀に従いまーす」



 それを聞いた春陽は少しだけ安堵した。


 和尚がくるまで、リビングのソファに座って、ジョディ先生の話をする。


 色々と、聞いてはならない、和尚とジョディ先生の間のことを聞いて、春陽は顔を真っ赤にする。


 ジョディ先生は春陽の反応が楽しいらしく、もっと2人の秘密を暴露していく。


 和尚、早く、迎えにきてくれ。頭の中がピンク色で染まりそうだ。

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