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植物マイスターが怪物と呼ばれるに至るまで  作者: 一味唐辛子
第一章 閑話休題─打ち上げ会─
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ステーキ美味しかった

「大丈夫?ネビロ?」

ネビロに肩を貸して、私はそう言った。

「くそ……まだふらつく」

店の裏にくると、ベンチがあった。

そこに二人で腰を下ろして、ネビロを落ち着かせる。

「災難だったね」

「あぁ、まじでな。」

ネビロの背中をさする。

触ってみて初めて気がついたが、ネビロは身体をかなり鍛えてるようだ。

「……ウィルフ、酔っ払いの戯言として聞き流してもらってもいいんだが、一つ質問いいか?」

「何?」

「……俺たちといて楽しいか?」

耳に入った時、一瞬体が硬直した。

こんなことを言われるなんて、想像もしていなかった。

「どうも俺には、ウィルフはいつも他人行儀でいる様に見えてしまう。」

言葉が詰まる。

ただでさえ、親友のシア以外の友達関係には慣れていないのだ。

ここは、思ってる事を率直に伝えるべきだ。

「……楽しくない訳じゃないよ。ただ、僕あんま友達いなかったから、慣れてないだけだよ。それに、ネビロは一応先輩だからさ。」

「……そっか」

微妙な空気感だ。

返答を間違えただろうか……ここは、相手に対しての真剣な質問で話題をそらそう。

神経な質問なら、話を逸らしていると悟られない……と思う。

「……僕もネビロに聞きたかった事があるんだ。」

「おぉ、何?」

「……父親が嫌いなの?」

初めてチームの皆でクエストに行った時、蝶々の魔物の鱗粉でネビロ錯乱して、口走った事を覚えている。

「……いつボロ出したっけ」

「初めて皆でクエスト受けた時にちょっとね。」

私も、両親に対して、前の世界でもいい思い出は無い。

その点では、シンパシーもある。

「……俺の親父は神父だったんだ。」

重苦しい口調で話し始める。

「とは言っても、とても信心深いとはいえない、ただそれに向いてたスキルだったからなっただけ神父。そんなでも、居た教会では一番偉くて、それなりに立場もあった。」

ネビロは、ぐらぐらする頭をグッと手で抑えながら続けた。

「俺が14歳の頃だった。教会に毎日通っていた信心深い信者が、ある日を境にぱたりと来なくなった。俺は父に尋ねた。なぜ来なくなったか。」

「……なんでだったんですか?」

「自殺だよ。」

「?!」

自殺、前の世界じゃ聞き馴染みのある言葉だったが、こっちに来てからは一度も聞いていなかった。

「自分で自分を殺すこと。自殺をするのは哲学者だけ、という言葉もあるくらい、一般人にとっては滅多にないことだ。」

「……理由はなんだったんですか?」

「そこが問題だった。俺はある日、教会に務めている他の人達の話を聞いてしまった。「シリアンが自殺した。遂に自殺しちまった。」「これでもうやつからのお布施は無くなる。次の相手を探さねば。」」

この2度目の人生で、初めて聞いた自殺という言葉。

凄く嫌な予感がする。

「父を問い詰めたよ。そうしたら、ヤツが信者からお布施と言って金を巻き上げて、自殺にまで追い込んだ事が分かった。」

「……」

「俺は家を飛び出したよ。そこから3ヶ月は母方の祖父母の家に転がり込んで、ここの訓練所に入るまでは痛苦の生活を送ってた。」

思っていたよりずっとヘビーな話が飛んできた。

空気がさらに暗くなる。

「……僕もあまり両親は好きじゃない。もう両方死んじゃってるけど。」

「そうなのか?ウィルフの話も聞かせてよ。」

「うーん、大人になったらね。ここはちょっと空気が暗すぎる。」

「確かに。」

私はベンチから立ち上がる。

ネビロに手を差し出す。

「ほら、戻ろう。酔いは覚めたでしょ?」

「……あぁ。」


「おお!ウィルフさんとネビロさんが戻ってきたッスよ!」

シャックが元気よさそうにはしゃぎながら言った。

「ほら!ネビロさんいつもの一発ギャグお願いしますよ!」

「えぇ〜しゃーなしだぞ?」

ネビロって飲み会じゃそういうキャラだったのか、と思った。

「いくぞ〜……はい!ひょっこりはん!」

「ギャハハ!!」

一同大爆笑。

というかひょっこりはんそのまんまだ。

まさか私以外にも転生者が?!

それとも、収斂進化と言うやつだろうか……

「ほらウィルフ!飲みな!」

「あーっ、炭酸きちーwアルコールより炭酸がきちーわw」

「まぁそれアルコール入ってないからね。てかウィルフそんな事言うキャラじゃないでしょ。」


どんちゃん騒ぎは朝まで続いた。





「……ウィルフ、起きてる?」

「んーっ、起きてる。」

もう夜が明けて、起きているのはネビロとオセさんだけになった。

「あ、僕お会計済ませてきますので、2人は他の人達起こしてあげて下さい。」

「あ、はい。」


「ほんじゃウィルフ、また……明日か。」

「うん。じゃあ皆さんまた明日ー。」

竜車に乗り込む私をみんなで見送ってくれた。


「いやー、遊び人の真逆みたいなウィルフが朝帰りとは。」

シアは、朝ごはんの卵焼きみたいな料理を頬張りながら、そう言った。

「……なんか最近お前と話してる時ずっとなんか食ってる気がする。」

「そりゃお前、この施設でやること、夜帰ってきて飯食って、風呂はいって寝て、朝ごはん食って出発だろ?俺もあんま変わんねぇけどよ。」

まぁ、忙しくはあるがこの生活も楽しい。



あー、ステーキ美味しかったな

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