第200話 C級に昇格してた
マリスと別れ、俺は一人に戻った。
それでもやることは変わらないが。
「とりあえず今日はもう休んでおけ。なんなら暫く休んでもいいぞ」
「俺はすぐにでも動けるぞ」
「お前はタフだな――だが駄目だ。お前は休むことも覚えろ」
「私は宿に戻るよ……」
そう言い残して、マリスはその場を離れた。
これで今後は顔を合わせることもないか。
いや、よく考えたら宿は一緒だから、顔を合わせることぐらいはあるか。
まぁ、それは仕方ないな。
「――リョウガ。暫く休んで構わないが、明日の朝だけ顔を出せるか?」
マリスが立ち去ってから、ギルドマスターが俺にそんなことを聞いてきた。
「別に構わないが」
「そうか。なら朝は直接俺の部屋まで来てくれ」
直接――前に一度入ったことがあるから場所はわかる。
わざわざ部屋まで呼ぶってことは、他の奴には聞かれたくない話でもあるのか。
「わかった」
とりあえず了承した。
その後は受付嬢から報酬を受け取ろうとカウンターへ向かったんだが。
「こちらが今回の報酬です。それと、冒険者証をお借りしてもよろしいですか?」
「別に構わないが、何かあるのか?」
「はい。これまでの実績に加えて、今回の依頼での功績も評価されまして、今日からC級冒険者として活動していただくことになりました。凄いですよ! この短期間でC級昇格なんて!」
受付嬢が興奮気味に話していたが、そうか、ぐらいの感想しか出てこない。
まぁ、受けられる仕事が増えるならいいか。
俺はC級に書き換えられた冒険者証を受け取り、掲示板に貼られている依頼を眺めてみる。
魔草採取に魔物退治か。
C級になってもそこまで代わり映えはないな。
急ぎの依頼もないようだ。
だったらマスターの言うように今日は休みにしてもいいんだろうが――
「これを頼む」
「はい――って、リョウガさん! 依頼を受けるつもりですか?」
「問題あるか?」
「えっと、マスターから休むように言われていたような?」
「そうだな。だから運動がてら受けるだけだ」
「……これ、ヤバコングの討伐依頼ですよ。運動がてらで受ける内容でもないのですが」
心配されたが、休めと言われたからといって従う義務はない。
「十分に気をつけてくださいね」
「あぁ」
そして俺は町を出て、ヤバコングのいる山へ向かった。
「やべぇ! マジでこいつはヤベェ!」
「た、助け――」
俺と同じように依頼を受けていた冒険者がいたが、ヤバコングに叩き潰されていた。
相変わらず冒険者がよく死ぬな。
こいつらは自分の力量も知らずにここまで来てるんだろうか?
「いやだぁああ! お願い助けて~~~~!」
今度は上から悲鳴が聞こえてきた。
見上げてみると、巨大なハチに掴まれた女が悲鳴を上げながら連れ去られていく。
ヤバコング以外にも随分と物騒な魔物がいる山らしい。
ご愁傷さまだな。
さて――俺は俺でヤバコングを片付けるか。
休めと言われたんだ。
今日はこの程度で済ませておこう――。




