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無能だとクラスで馬鹿にされてた俺、実は最強の暗殺者、召喚された異世界で見事に無双してしまう~今更命乞いしても遅い、虐められてたのはただのフリだったんだからな~  作者: 空地 大乃
第四章 暗殺者の選択編

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第199話 俺は一人でいい

 ガラルドの町に戻った後は、その足でギルドに向かった。


 その間、俺とマリスが言葉を交わすことは一度もなかった。


「依頼達成か――正直、今回の依頼は割に合ってなかったな」

「事情は知ってるようだな」

「かなりの大事になったからな。今回の件で住人にも冒険者にも大勢の犠牲者が出た。近々トルネイルには王国軍も乗り込むだろうさ」


 王国軍――俺を召喚した連中の軍隊か。


 しかし、あれだけ派手にやった割には軍もちゃんと機能してるんだな。


「軍まで動かすんだな」

「うん? あぁ、そうだな。確かに王や王女の事故死でごたついていたようだが、今は立て直して上手くやってるようだ」


 事故死――そういうことになっていたんだな。

 流石に殺されたことには出来なかったんだろう。


「そんなわけで、こっちも仕事でな。この依頼に関わった全員に聞いていることだが、何があったか詳しく教えてもらえるか?」

「わかった」

「話すよ――全部」


 ここに来てようやくマリスが口を開いた。


 そして布に包んでいた例の腕をカウンターの上に乗せる。


 マスターが一瞬だけ怪訝な顔を見せたが、すぐに表情を戻し、マリスから話を聞き始めた。


 その後で俺も要点だけを伝えた。


「魔獣の群れに、オークション会場でのマタンゴ化。そしてネイラの不可解な行動か……」


 そこまで言って、マスターの視線が俺に向いた。


「この腕を切ったのは本当か?」

「あぁ。俺を殺すつもりで来ていたからな。こっちも殺すつもりでやった」

「ったく、あっさり言いやがるな」

「問題あったか?」

「いや、ないさ。相手が殺意を持っていたのは、マリスの話からもわかる」

「それでも、もう少し話を聞いてもよかったと思う」

「――それでリョウガが死んでいたとしても、同じことが言えるのか、お前は?」

「――ッ」


 マリスが目を見開き、黙り込んだ。


 正直、それで死んだとしても俺は自己責任だと思っているが、マリスには刺さるものがあったようだ。


「事情を確認する必要はある。だがな、それは生き残ってからの話だ」


 マスターが諭すように続けた。


「冒険者やってりゃ、何が起きるかわからねぇ。殺意を向けてくる相手にまで悠長に事情を聞いてたら、それで命を落とすことだってある。だからって何でもかんでも殺せって話じゃねぇが、自分の命を守るために戦った奴を責めるつもりもねぇよ」

「……」

「まぁいい。一応、その場にいた他の連中にも話を聞くことにはなると思うが、それは各ギルドがやることだ。どちらにしても、今聞いた事情だけならリョウガが咎められることはねぇよ」

「そうか」


 冒険者の規則からしてもそうだろうとは思っていたがな。


 もっとも、それで罪に問われるとなったら町を出て拠点を変えるだけだが。


「とにかく話はわかった。報酬は受付嬢に用意させよう。他に何かあるか?」


 マスターが話を締めつつ、俺たちに問いかけてきた。


 丁度いいかもな。


「マスター。俺は今後一人でやっていく」


 俺の言葉にマリスの肩がビクッと震えた。


「――そうか。まぁ、もうマリスも一人で大丈夫だろうしな。それもいいだろう」

「嫌だ!」


 声を上げたのはマリスだった。


 睨むような目で俺を見てくる。


「私は納得してない!」

「納得するも何もないだろうが。リョウガがお前とのパーティーを解消したいと言ってんだ」


 声を上げたのはマスターだった。


 意外だな。


 最初は俺にマリスの面倒を押し付けてきたというのに。


「マスター! リョウガは危険なんだ! 一人だと何をするか――私が見てないと」

「……それを聞いて、ますます確信した。お前らは一旦離れた方がいい」

「どうして!」

「お前がリョウガに依存してるからだ」


 マスターが冷たく言い放った。


「私が……依存?」

「そうだ。正直言って、今のお前らはまともなパーティーとは言えねぇ。パーティーってのは本来、互いに協力して支え合うために組むもんだ。だがお前らはどうだ?」


 マリスは何も答えない。


「リョウガはお前がいなくても十分やっていける。それはお前だってわかってるだろう?」

「――それは……でも、リョウガは一人じゃ……」

「それが余計なお節介だって言ってんだ。お互いガキじゃねぇんだ。そんな理由でついてこられても、リョウガだって迷惑だろう」

「そうだな」


 それについてはマスターの言うとおりだ。


 正直俺とマリスは成り行きでパーティーを組んでいたに過ぎない。


 だが、今のマリスなら一人でも冒険者としてやっていけるだろう。


 なら、俺が一緒にいる理由もない。


「マリス。俺とお前は価値観からして違いすぎる。お前がどう思おうが、俺の考えは変わらない」

「そういうことだ。今のままじゃ(・・・・・・)お前らが一緒にいてもいいことはないからな」


 そこまでマスターが告げると、マリスは俯き、拳を強く握り締めた。


 しばらく沈黙が続いた後――


「……わかった」


 小さな声でそう答えた。


 これでマリスと組む理由もなくなった。


 俺はまた一人に戻る。


 それだけの話だ――。

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