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馬じゃないのか…  作者: 雲猫’
必然的な出会い編
32/35

 吹き荒れる豪風……



「そっちに行った!」

「ちょ! たんまたんまぁ!」


『退いて!』



 豪風が熱風に変わり辺りの草を焦がす……そして私の鬣も焦がさん勢いだ。



「でりゃぁーー!」

「おい!まだ術の詠唱が…あっちぃ!?」


『ホントに邪魔……ねえ…』



 魔獣の咆哮が私達の耳を貫く。私と黒には効きません。言わば高級耳栓常に発動状態です。



「あ、頭痛い……」

「ド畜生……」


『てい!』

『白……後ろ蹴りは外しやすいって』



 恥ずかしながら私は後ろ蹴りを繰り出すも外してしまいました……恥ずかしい。(*/□\*)



 はい、どうもこんにちわ。チート種族の白です。ただ今私達は農場に出没する魔物退治をしているところです。


 アルテは果敢に剣で敵に突撃しては吹き飛ばされてユーリや私に回復してもらっています。ユーリは主に術で敵に大打撃を与え……たいのですが、アルテの回復で手が回らない様です。アルテ…自重しましょうよ?


 黒はいつも通り敵をバッタバッタと薙ぎ倒し蹴散らしてます……はい、文字通り吹き飛ばされて行く魔物たちには涙が溢れてきます。ですが、こちらも生活がかかっています。何より食いしん坊な私達種族にはこれ以上アルテたちに負担をかけられませんし……ここは魔物たちにはご退場してもらいます。


 この世から。




「だぁぁっ! おい、アルテ! お前バカの一つ覚えに突撃するな!こっちは詠唱が途中で終わってイラつくんだよ!」

「でも、それなら黒が蹴散らしてるでしょ?」

「そもそも敵に突撃するな。俺は本来ヒーラーじゃねぇーぞ」

「でも出来てるじゃない」

「お前の猪突猛進の所為でな!」



『どうでも良いからさっさと敵を捌いてよ』

『黒、あれば「仲良く喧嘩しな?」ですよ。放っとくのが一番です』



 猫とネズミの喧嘩ですよ。あれ?違うような……?



『それなら「喧嘩するほどナントカ」とか「痴話喧嘩」だよ。ほら、ああやって喧嘩してるけど、ちゃんとユーリはアルテを回復してるでしょ?』

『ですね~…。本当に仲が良いと喧嘩するらしいですよ?』

『ふーん…一応聞くけどなんで?』

『互いが互いを思って行動すると必ずと言って良いほどぶつかるんですって』

『へぇ……確かにね』



 今の戦闘もアルテはユーリに近付く魔物を少しでも遠ざけたい。でもユーリはアルテに近付く魔物を倒したいけどアルテが負傷するので攻撃をやめて回復する。何ともどっちもどっちな足の引っ張り愛……じゃなかった、引っ張り合いをしているのです。




 つまりですね……全くお話にならない状態です。私と黒が敵を倒している状態なんです。特にアルテは……ユーリよりも役に立ってません。



『アルテはもう少し考えて行動すると良いですよ』

『温厚な白がキレかかってる……』




 温厚? いいえ。私は案外短期ですよ? 日頃口に出してないだけですよ?




『うん。まぁ、それはそれとして……さっさと敵を倒そうね?特にそこの二人…いい加減にしなよ?』



 ニコッ……馬顔ならぬ本当の馬、紛うことなき馬の顔でニコッっと笑ったのでしょう黒は私以上に苛ついていたと私達は今気がついたのでした。


 黒が一番怒ると怖いと思いました。







「ラスト~っ!え?」

「だから敵に突っ込むなぁぁっ!!」


『ハァ……話を聞かない』

『もう片付けばそれで良いですよ』



 何が起きたかと言うとですね……その、ユーリが再三口を酸っぱくして言っているにも関わらず敵に突っ込むアルテにキレました。そして詠唱をまたもや中断して殴りました……ロッドで敵を。


 後衛職の術師でも渾身の力で、しかも頑丈で簡素な作りのロッドで殴れば……多少痛いですよね。普通の人間なら場所が悪ければ逝っちゃいますし。


 この度、この農場に出没していた魔物は熊タイプと狼タイプの混合パーティでした。そして最後に残ったのは勿論一番タフな熊タイプ。それも群れのリーダーだったのでしょう他のよりも格が違いました。詰まり…強いんです。


 それを怒りから来るのか、はたまた運良くクリティカルが出たのか一発でKOしたのです……ユーリか。




 今回は突っ込んで行ったアルテが悪いと黒と考えが一致してますので例えユーリにお説教されても知りません。





「何度言えばお前は考えて行動するんだ?」

「闘いは直感って師匠が言って」

「それで死んだら元も子もない!」


『ごもっとも』

『正論』



 戦闘終了のファンファーレが聴こえて来そうな中私達はユーリのアルテに対して如何に危ない行動かとお説教する声をBGMをバックにアイテム欄から林檎や果物を取り出して食べています。



 回復なんて私達にはノーセンキューです。食べたら治るんですから。


 あ、アイテム欄も何だか久し振りに使いましたね……ゴタゴタしたましたし……そうそう、黒もこれが使えるんですよ…流石チート種族。こう言う能力はデフォルトでしたか……私が特別な訳がないんですけどね。


 角だってあれは事故みたいなもんですから。抜けたんじゃなくて取れちゃった……あ、これは黒には内緒にしといてくださいね? 怒りますから……もう、黒は仲間思いなんですから~。



 何でしょ……何処からか「違うよぉ~」と聞こえてきそうですね。でも、何が違うのでしょうか?




『モグモグ……洋梨は腐る一歩手前が一番美味しいですよ』

『シャクシャク…うん。だけどね、大体とっとくと腐らせるタイプだよね白は』

『それは……否定でしませんねぇ…モグモグシャクシャク……』



「―――――って、もう」いか。さっさと家に帰るか…」

「ユーリの話が長すぎr――」

「お前が考えナシなんだ!」


『もうおわったんしゃ……ないんれふか?』

『うん、白…口の中の物を呑み込んでから言おうね?』

『モグモグ……(コクコク)』




 しまった。お行儀悪かったですね。シスターたちには怒られてしまいますね。



 それにしても中々戦闘もなれてきました……主に私と黒が、ですが。あ、ユーリも慣れてきましたね、主にアルテの尻拭いに。



『はむはむ……むしゃむしゃ…』

『たまには青く茂った草も良いよね』

『もぐっ…むしゃむしゃ……はい。モグモグ』



 林檎やその他果物も美味しいですが、流石に食べ続けたら飽きてきます。なのでたまに草も食べます。もう人の頃の抵抗感もどっかに行ってしまいました。もう戻ってこないでしょうね違和感さんは。



 そうそう、昔――詳しくは知りませんが戦国時代辺り――は大豆を馬さんに食べさせていたらしいです。そんなことしたら栄養過多で肝臓がイカれますよ。飼葉が一番ですね。本来馬さんは草を食べているのですから当たり前なんですが。


 でも、競走馬は走るため飼葉以外も食べますけどね。確か……間近で見たことないんです。この農場では農作業などの力仕事の予定があれば栄養満点な餌を食べるみたいです。皆さん言ってました。「あ、今日は豪華だから明日は農作業かも」って。





『ここの草……クローバーが多いですね。食べ過ぎ注意ですよ黒。』

『モグモグ……ん?何で?」

「それはですね――――』




 何でかは私も詳しくは知りませんが、なら言うなって話ですけど……まぁ、聞いてください黒。


 クローバーには摂りすぎると命取りになる成分が入ってるみたいです。食べ過ぎ注意ですよ。



 確か……腸捻転?んん?? 忘れてしまいましたがクローバーの食べ過ぎで牛さんが死んだと前世で聞いた気がします。




『へぇ……クローバー怖いね』

『食べ過ぎが危ないだけですよ……タンニン?でしたっけ?それが原因らしいんです』

『何事も程ほど……って事だよね』

『ですね……でも、私達チート種族には関係無い…かも』

『……………ユーリ達に言っておこうか』

『……ですね』





 そんな会話をしている間もアルテとユーリは反省会を続けていました。もぅっ!いい加減にイチャイチャしないで下さいよ。私も黒もお腹一杯です。このままだとお砂糖吐きますよ?





『白、口に草ついてるよ?』

『はい?』




 あろうことか……黒は私の口元に付いていた草を………ええ、口で取りましたよ!!?(゜ロ゜;ノ)ノ


 何なんですかね?私の心臓を爆発させて殺すつもりなんですか! まさかの暗殺ですか、完全犯罪ですよ。


 あわわわわわ(。>д<)




『ふふふ……(面白いなぁ白は)』









 …………えーっと、そのですね。ここまでは平凡な日常と言うものを送っていたわけですよ。


 問題はここからなんです。






 あれから丁度一週間後……私と黒、そしてアルテ達の未来を大きく左右する出来事が起こってしまうんです。






 あ、まだ続きます。




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