新展開は命の危機です
長くなりそうにで分けます。
こんにちはチート種族馬にも見えるヘイムグルの子供……白と申します。現在まだ子供ですが……お世話になってるアルテとユーリの家の牧場で見た馬さんたちは……私と同じくらいなんですよね~。あれ?私は子馬ですよね?まだ一歳未満ですよ!?
『白?』
『黒…私は子供ですよね?』
『う?そうだね……(体は)子供だね』
黒の少しの間はさて置き……私は角が抜けてから……どうも私は急成長してしまいました。
今では黒ほどでは無いにしろ人二人は楽に乗せるほどには大きくなりました。少し前はアルテを乗せるので精一杯でしたしね。
遠くの離れた場所にいるお母様…ついでにお父様。白は何故か急成長しています。成長痛でしょうか?脚の節々が痛いです。眠っているとミシミシ音を経てて来そうな……痛みの所為か悪夢で魘されました。人間の頃はそんなに痛くなかった……あれ?私は身長が小さかった……私はチビじゃありませーん!!
『白、白!今は(普通の馬位は)大きいよ!』
『はっ、私は何を!』
いけません、何かの扉を開きかけていました。黒のお陰で防げましたありがとう。この様に私は若干猪突猛進で、ストッパー役が居ないと暴走し始めます。
ん?何で黒が知ってるんでしょう……私口に出してました?
『(出してないけど)出してたよ?』
あれま、私ってば……迂闊でした。コレは敵に私の考えが筒抜け……私ってばなんて間抜けなのでしょうか。
おっほん!……えぇ、私の横にいる黒は幼馴染みです。私数日早く産まれたからなのか私よりも一回りほど大きな黒いヘイムグルなのです。はい、数日早く産まれたのです。私が急成長したにも関わらず、黒とは相変わらずの体格差なのです。コレは最早種類の違う馬……いえ、魔物と言っても納得します。おかしいですね~、私の今生のお母様は普通でもお父様はとてつもなく、黒よりも大きいのに……私は小さいのが府に落ちません。
まあ それは後にでも独りで愚痴るとして……私たちは未だに一歳未満のお子様です。人間ならまだ首も据わってないかも。人間の赤ちゃんの知識は無いのでそこのところよくわかりませんが、たった二頭で群れから離れているのはとても危険なことだとは私でも分かります。
いくら馬は産まれて直ぐに立ち上がって走り出す程生命力がありますよ?でもね、いくら馬……馬型の魔物のチート種族ヘイムグルでも、大自然を生き抜く知識も無しに……生きていけませんよ……
え? 森の中でモンスターを吹っ飛ばしたのはどこの誰?………………あれは…ノーカンです。NOカウントですよ。火事場のなんとやらです。いつも出来るわけではないですよ……多分。
ふえ?独りで森の中を探索したり、結構アクティブにしてたでしょ?……何度も言います。もう無理です。あの時は若干の混乱とその場のノリで行動してましたし。黒と再会してこの状況がどんなものなのか再確認して……理解した時点でもう無理です。怖じ気付きました。弱虫と笑うなら笑えばいいです。
『私は弱虫ですよ。所詮何もできない中途半端チートですよ……』
『うん、よく分からないけど勘違いしてるよね白は。十分チートだよ。』
慰めですか?すいません傷口にその慰めと言う名の薬はとっても痛いです。塩を塗り込まれたときよりも痛いです。
『あのね白。ヘイムグルの角は大人になる時抜けるんだよ。ヘイムグルが大人になる時はその内に秘めた魔力を制御出来るって事なんだ……だからまだ制御出来てない俺は…まだ抜けてない。本当は産まれてから5年は掛かるらしいよ? それを考えたら白は凄い成長スピードだよ。そんなに落ち込むこと無いよ』
私が考えていたこととちょっと違うけど、お母様もそんなことを言っていた……気がする。
あ、いえいえ、言ってました。遠い遠い遥かな彼方にいらっしゃるであろうお母様。不肖の娘白、ちゃんと記憶してますから!何処からか雷を落とすなんて……しないでくださいね?
お母様ならやりかねない。いや、やらなくとも可能な気がする。何せチート種族。 千里眼とかチートもいいとこなスキル?もきっともっているであろう。ヘイムグルの中には千里眼持ちも結構いるらしい。
何より、あのお父様を制御なさっているあたり……誰よりも強い気がする(確信)
『……白って見てて飽きないね? ずっと百面相してるし』
『うえ?…私そんなことしてたんですか?』
だとしたらかなり恥ずかしい。
それに、早く群れに帰りたいのには理由もある。私の毛並みは真っ白。人間には白いヘイムグルは不人気……しかし、黒は大人気。黒の身が危ないのだ。早いとこ群れと合流して……
ふと思った。群れに合流して、果たしてみんな受け入れてくれるだろうか? 私たちはまだ未熟だ。人の本性を見抜く事も出来ない。もしも、合流までの間に人間に跡を付けられていたら? 群れに人間を誘導することに図らずもなってしまったら?
もしかすると、もう群れには戻れないのかもしれない。お父様も群れの長だ。私情だけで判断は出来ないだろう。お母様も優しいけど、最悪の場合家族全員が群れから追い出されるかもしれない……
それだけは避けたい。だって……人間の頃は家族と言う存在に縁遠かったのです。私は若干不思議系な性格と取っつきにくい性格でしたので……孤児院でも引き取り手は居ませんでした。シスター達は優しいけど、何処か壁がありました。今思えばシスター達は新しい家族と生活に馴染みやすいように他人行儀にしていたのでしょう。あまり構ってしまうと離れがたくなりますからね……
そんな幼少時代を過ごしました。友達も四人ほど仲良しな幼馴染みも居ました。
いくら人間の頃の記憶が曖昧で、馬として産まれた私でも……時折変な行動をする体の弱い未熟児の私を今の両親は見捨てることなくたった少しの日数でも愛情を注いでくれました……
そんな両親を窮地に立たせるなんて親不孝も大概です!そんなことは私は許しません!
『まぁ~た勘違いしてない?』
『黒!』
『はい?』
『黒はこの後どうしたいですか?群れに戻れないようなら何処に行きます?』
『(群れに帰れないこと前提にしてない?)そうだね……人の手が入っていない深い森にでも行ってみたいな……食べ物が豊富で餓えないような場所ならもってこいだね。まだ俺たちは食べ盛りの子供だからね。』
『そうでした……』
食べ物がなくて餓えるのはヘイムグルの子供には死活問題です。飢餓状態の事は前にも説明しましたよね? そしてヘイムグルは成長するのにかなりエネルギーを使います。大人になれば魔力を貯められるのですが子供なために出来ないのです。あ、でも角が生えだしたら多少の備蓄も出来そうですが。
それでも黒は未だに角が抜けてません。子供の角には魔力の備蓄は出来ない設定です。だから食欲も旺盛で……豊かな土地でないと餓えます。死にはしませんが……ところ構わず何でも食べ尽くし、向こう30年はペンペン草も生えない不毛な大地にきっと変えてしまうことでしょう。それに飢餓状態は辛いですし。
『ここに居ればアルテたちに食べ物を貰えますが、そんなに長居するのも悪いですしね……でも飢餓状態も怖いですし……どうしましょ?』
『俺も角に備蓄出来ればなぁ…白は角が生え始めれば備蓄出来るようになるだろうし……けど俺はまだ生え変わる気配もない……理想なのは角が生え変わるまで馬のふりしてここにお世話になることかな?』
『それはそうですけど……』
『…………』
アルテたちには悪いですけど、人間は欲を止められない生き物です。人間にとって欲は無くてはならない大切なものです。ですが同じくらい恐ろしいものです。アルテたちは私たちを売ったりはしないでしょう。でも、人の口には戸はたてられません。何処かで話を聞き付けた者がヘイムグルではないかと疑い確かめに来るかもしれません。
結果的にはアルテとユーリの家族に迷惑がかかることになります。それは不本意です。
でも、現状は子供のヘイムグルには何も出来ないのです。黒の言う通りアルテたちにお世話になるしかないのでしょう……何だか釈然としませんねぇ。
こんなに甘えていていいのでしょうか?
「――っと、言うわけ何だよ」
『それってどういう意味だってばよ……?』
「(だ、だってばよ?)……あ、えぇっと、俺の両親もふたりの滞在を歓迎してるってこと」
「そうそう。私の命の恩人だし、お母さんの呪いも解く事が出来たのも白のお陰だしね!」
何ならずっと居てもいいよ?なんて、そんなぽんっと言ってはいけないと思いますアルテ。
ヘイムグルを匿うのはとっても危険なんですよ?
「ん?」
『もう少し……そのお人好しを直した方がいいです……どんな目に遭うか……分かってないんです…ふたりとも』
『白……』
「そうかもしれないな…」
「ユーリ!」
そうです。ユーリは分かっているんですね。私達が狙われているのは常識です。だからね……考えを改めてください……
「ま、でも。ここで見捨てたら目覚めが悪いよな。飯も不味くなるし。お前らもコレは俺が安眠と上手い飯のためと思って協力してくれ」
「……ふぅ……そうだね」
……?
『白の提案は飲めないってさ』
『どうして?』
『頑固なんだよ……白みたいに』
私って頑固ですか? そうですね。ええ、私は頑固です。
ここは甘えようよ、ね?という黒の言葉に一応納得しておきます。でも私のなかで燻る不安は無くなりません……それよりも一層不安が増していきます。本当に此処にイテモイイノデショウカ?
白ちゃんは疑り深い性格です。
これには色々と理由があるのですが、大半は子供の頃の体験です。




