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ドクターヘリ救急救命  作者: 零
Another story
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No.16 〜another story〜

ドクターヘリ緊急救命No.16

〜another story〜



1週間後


1月23日火曜日


昨日は関東では珍しく1月に雪が降り、今日の朝は道路にも雪がうっすらと積もっていた。



朝のカンファレン 7:15a.m.




橘「…以上で通常の連絡は終わりだ。で、先日緋山から言われた件だが」


緋山「はい」


恐らく『同期でヘリに乗りたいという話だろう』


橘「シニアドクター同士でも乗っていいぞ。そういう事にしてシフトをもっと柔軟に考えようと思う」


緋山「ホントですか!」


橘「あぁ。それで、今日のヘリ担は田中と藍沢、谷口だ」


田中「はい」

藍沢「わかりました」

谷口「はい」


橘「あ、緋山」


緋山「はい」


橘「産科の部長がもしかしたらコンサルするかもしれないって言ってたから、コンサルが来たら行ってやってくれ」


緋山「私がですか?」


橘「そうだ。難産になるかもしれないらしい」


緋山「わかりました。1日中、iPhone持っておきます」


橘「すまないな」


緋山「いえ」


橘「カンファレンスは以上だ」



そして、席をたって皆がそれぞれの持ち場へと散っていく。



7:30a.m.


藍沢、田中、黒田、谷口はスタッフルームで書類をまとめていた。



そこにホットラインが鳴り響く。


田中「翔南救命センター」


消防隊「市原消防よりドクターヘリ要請です。積雪の影響でスリップした乗用車が路線バスに衝突、負傷者多数との事です」


田中がCS室に目をやるとCSの町田がグーサインを送っている。


そこに、大野、橘が入ってくる。


田中「わかりました。向かいます」


田中と藍沢が走り出す。



黒田「谷口、大野と代われ。タッチアンドーゴーで現場に橘と藤川を送る。そこに谷口は同乗しろ」


谷口・大野「はい!」



そして、藍沢と田中を追いかけて大野が走り出す。



ヘリが離陸するとすぐに場所と患者情報が伝えられた。


場所は市原市消防局八幡消防署からおよそ700mの国道297号線と平成通りの交差点。

患者は乗用車とバスの乗客を含めて10歳未満~60代後半の男女40人ほど。



無線での連絡を聞き終えると、藍沢が田中に言った。


藍沢「トリアージ頼めるか?」


田中「わかった。藍沢先生は重症の脳の患者を診て。脳以外の患者は私と後発の先生に任せるから」


藍沢「わかった」


田中「お願い」


藍沢「大野」


大野「はい」


藍沢「昨日の雪で積雪がある。緑タグや黄色タグの患者のバイタルにも気を配ってくれ」


大野「はい」



そして、現場に着くと消防隊員がいた。



隊員「継承者は車で消防署に集めています。重症者はまだバスと乗用車の中です」


藍沢「わかりました。田中、消防署のトリアージはあとの医者に任せよう」


田中「うん」



田中は藤川に消防署のトリアージを頼んだ。




そして、藍沢と田中が現場に向かう。



藍沢はバスの患者を診ることになった。

バスの中には頭から血を流して座席のあいだに足が挟まれている女子高生が1人、心停止している男性が1人、5歳の呼吸困難の男児が1人。その母で緑タグが1人。


田中は乗用車の患者を診ることになった。

車には骨盤骨折の疑いがある男性が1人いた。




藍沢がバスに連れられてくる。


隊員「こちらです」


藍沢は中を見てすぐに優先順位を決めた。


まず、男児に酸素マスクを付けさせて、心停止の男性を診る。



藍沢「心停止してどれくらいだ」


隊員「1分です」


藍沢「すまない、もう少し待てるか」


藍沢が女子高生に声をかける。


女子高生「大丈夫です」


藍沢「あの高校生に分厚いガーゼ渡してくれ」


隊員「はい」


そして、隊員が女子高生にガーゼを渡す。


藍沢「それで頭の血が出てるところを押さえててくれ」


女子高生「はい」



そして、男性の心拍が再開したところに橘と田中がやってきたので男性を橘に任せ、男児を田中に任せる。



藍沢はやっと女子高生を診始めた。

事故発生から1時間が経とうとしている。女子高生の意識が微妙に朦朧としてきている。


藍沢「わかるか」


女子高生「…はい」


藍沢「名前は」


海棠「レイ」


藍沢「レイか。漢字は」


海棠「ゼロっていう意味の漢字」


藍沢「いい字だな」


海棠「…」


藍沢「頭触るぞ。痛かったら言ってくれ」


海棠「うん」


藍沢が触診しながら出血点を探す。


海棠「痛い…」


藍沢「ここか。病院に着いたら精密検査だな。とりあえずガーゼ当てて、包帯で巻いとく。」


海棠「お願いします…」



藍沢はガーゼと包帯を巻きながら零に話しかけた。


藍沢「何歳?」


海棠「16歳、高校1年生」


藍沢「そうか。学校に連絡したか?」


海棠「あ、してない」


藍沢「なら、学校に電話かけろ。俺がフライトドクターとして電話してやる」


海棠「はい」



そして、藍沢に包帯を巻いてもらいながら海棠は学校に連絡を入れた。



藍沢「おはようございます。○×高校の教員の方ですか?」


事務員「事務員の岸田です」


藍沢「翔南救命センターの藍沢です。1年〇組の生徒の海棠零さんなんですがバスで事故にあい、現在現場で処置中です。現場での処置を終えても病院での処置と精密検査が必要です。」


事務員「わかりました。担任に伝えておきます」


藍沢「お願いします。では、またご連絡します」


海棠「ありがとうございます」


藍沢「いや。それより足は?右足痛くないか?」


零の右足は座席のあいだにはさまれている。


海棠「最初は痛かったけど、痛さが麻痺してきてる」


藍沢「ちょっと触るぞ?」


海棠の足に藍沢が触れる。


藍沢「触られた感覚あるか?」


海棠「…ない。触ってる?」


藍沢「まずいな。事故が起きて何分たった」


海棠「そろそろ1時間15分」


藍沢「レスキュー、あと何分ですか」


レスキュー「あと、30分は!」


そこに大野が来た。


大野「フォロー入ります」


藍沢「あぁ。ありがとう。だが、まずいな」


レスキュー「少し動かします!」


レスキューによって座席の間が少し開く。すると…



零が心停止した。


藍沢「VTだ!除細動!」


大野「はい!」


藍沢の心マとAEDで何とか心拍が再開した。


藍沢「クランプしよう。座席をどけて血流が再開した時に、挫滅した脚に溜まった毒素が心臓まで達したらVTになる。次は蘇生できるかわからない。切開キットくれ」


大野「はい。ネトランも用意します」


藍沢「よし、クランプした。これでVTは回避できるが今度は右足の血行が途絶える」


大野「…もって3時間ってところですか」


藍沢「そうだな。3時間以内に病院に搬送して血流を再開させないと脚は残せない」


唇をかみしめる大野を見て、藍沢は周りのレスキュー隊員たちに言った。


藍沢「救出急いでくれ。時間がない」


レスキュー「はい!」


大野「脚以外は大丈夫そうですか?」


藍沢「なんとも言えない。だいぶ意識が朦朧としていたし、さっきのVTて脳がやられてないとも言いきれない」


大野「頭部外傷の方は」


藍沢「内圧は上がってるがすぐに処置する程ではない。設備が整っているところでやった方がいい」


大野「わかりました」


レスキュー「一気に動かします!」


藍沢「わかりました」


大野が心配そうに零のことを見ている。


藍沢「大丈夫だ」



そして、零が救出された。


すぐに病院に運ばれる。




脚に血流を流すのと同時に脳の止血をする。




そしてICUに運ばれた。




その日の夜10時


今日の仕事をすべて終えた藍沢がICUに来ていた。



心配になり零のことを見ていると隣に田中がやってきた。


田中「どう?」


藍沢「バイタルは安定してる」


田中「じゃあ、何に心配してるの?」


藍沢「脳が凄く腫れていた。目覚めても後遺症が残ったり、記憶を無くしてるかもしれない」


田中「えっ…」


藍沢「もっと早く診れてれば…」


田中「あの状況下では最善の策だった。藍沢先生は悪くないわ」


藍沢「あぁ。早く目覚めてほしい」


田中「うん…」


すると、零が目を覚ました。



藍沢「目覚めたか」


海棠「…」


藍沢「俺は翔南救命センターのフライトドクター藍沢耕作だ」


田中「同じくフライトドクターの田中亜依です」


藍沢「自分の名前は分かるか?」


海棠「…what?」


藍沢は一瞬考えた。だが、今度は英語で言った。


藍沢「I'm Kousaku Aizawa.I am a doctor. What your name?」


海棠「Sorry. I cannot remember it.」


藍沢「Do you understand Japanese?」


海棠「はい、思い出しました」


藍沢「そうか、ならここからは日本語でいこう」


海棠「…」


藍沢「名前は思い出せないか?」


海棠「はい。申し訳ありません。教えてくださいませんか」


藍沢「君の名前は海棠零だ。処置をした時に君が言っていた」


海棠「海棠…零」


藍沢「何か思い出したか?」


海棠「いえ…ただ」


藍沢「ん?」


海棠「多分ですが、本当の名前は他にあると思います」


藍沢「そうか。思い出したら教えてくれ」


海棠「はい」


田中「もしかしたら、英語の名前なのかもね?本当の名前は」


海棠「…?」


田中「だって、目覚めてすぐに日本語じゃなくて英語をすぐに理解した。日本語は第2語なのかもしれない」


海棠「そうですね。考えてみます」


田中「うん」


藍沢「もう遅い。考えるのは明日にして寝ろ」


海棠「はい」


田中「おやすみなさい」


海棠「おやすみなさい」



そして、藍沢と田中がICUを出ていった。

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