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異世界転移したら刀鍛冶だった。気づけば英雄になり、最後は創造神になっていた件  作者: バモス
鍛冶革命編

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第四十九話 黒幕の足跡

 盗賊たちとの戦闘が終わった後――。


◇◇◇


 街道には安堵の空気が流れていた。


◇◇◇


 ロイド商会の商人たちは胸を撫で下ろし、護衛たちも緊張を解いている。


◇◇◇


「助かりました……!」


◇◇◇


 ロイドが何度も頭を下げた。


◇◇◇


「本当にありがとうございます」


◇◇◇


「皆さんがいなければ、今頃どうなっていたことか……」


◇◇◇


 その声には心からの感謝が込められていた。


◇◇◇


 実際、盗賊たちは十数人。


◇◇◇


 普通の商隊ならひとたまりもなかっただろう。


◇◇◇


 だが。


◇◇◇


 ビルセイヤの表情は晴れなかった。


◇◇◇


 仲間たちが無事だったことは喜ばしい。


◇◇◇


 しかし胸の奥に残る違和感が消えない。


◇◇◇


 盗賊たちは弱すぎた。


◇◇◇


 そして動きが妙に不自然だった。


◇◇◇


 まるで誰かの指示で動いているような――。


◇◇◇


「ビルセイヤ?」


◇◇◇


 セシリアが心配そうに声を掛ける。


◇◇◇


「どうしたの?」


◇◇◇


 ビルセイヤは視線を盗賊たちへ向けた。


◇◇◇


「少し気になることがある」


◇◇◇


 そう言うと、縄で縛られた盗賊の頭目の前へ歩いていく。


◇◇◇


 頭目は悔しそうな顔で睨み返した。


◇◇◇


 だが先ほどの戦いで完全に心は折れている。


◇◇◇


「質問がある」


◇◇◇


 ビルセイヤは静かに言った。


◇◇◇


「なぜこの商隊を襲った?」


◇◇◇


「金が欲しかっただけだ」


◇◇◇


 頭目は即答する。


◇◇◇


 だが。


◇◇◇


 ビルセイヤは首を横に振った。


◇◇◇


「嘘だな」


◇◇◇


 その一言で頭目の肩が僅かに震えた。


◇◇◇


「お前たちは商隊の出発時間を知っていた」


◇◇◇


「待ち伏せ場所も完璧だった」


◇◇◇


「偶然にしては出来過ぎている」


◇◇◇


 冷静な分析だった。


◇◇◇


 セシリアたちも納得する。


◇◇◇


 確かに盗賊たちの動きは妙だった。


◇◇◇


 まるで商隊の情報を事前に入手していたかのようだったのだ。


◇◇◇


「誰から情報を貰った?」


◇◇◇


 頭目は口を閉ざす。


◇◇◇


 しかし額には汗が滲んでいた。


◇◇◇


 沈黙が答えだった。


◇◇◇


「言わないなら冒険者ギルドへ引き渡す」


◇◇◇


「盗賊だけならまだしも、裏に組織がいるなら話は別だ」


◇◇◇


 ビルセイヤの声は静かだった。


◇◇◇


 だが有無を言わせぬ迫力がある。


◇◇◇


 やがて頭目は観念したように大きなため息を吐いた。


◇◇◇


「……依頼人がいた」


◇◇◇


 その瞬間。


◇◇◇


 空気が変わった。


◇◇◇


 ツバサが腕を組む。


◇◇◇


「やっぱりな」


◇◇◇


「誰だ?」


◇◇◇


 ビルセイヤが問い掛ける。


◇◇◇


 頭目は首を横に振った。


◇◇◇


「顔は知らねぇ」


◇◇◇


「黒いローブを着てた」


◇◇◇


「俺たちに金を払って商隊を襲えって言ったんだ」


◇◇◇


 それだけだった。


◇◇◇


 だが十分だった。


◇◇◇


 今回の襲撃は偶然ではない。


◇◇◇


 誰かが意図的に仕組んだものだった。


◇◇◇


 ロイドの顔が青ざめる。


◇◇◇


「わ、私を狙ったのでしょうか……?」


◇◇◇


 震える声だった。


◇◇◇


 ビルセイヤは少し考える。


◇◇◇


「可能性はある」


◇◇◇


「だが積荷が目的だった可能性も高い」


◇◇◇


 商隊が運んでいる商品は高価なものばかりだ。


◇◇◇


 狙う理由は十分ある。


◇◇◇


 しかし。


◇◇◇


 どうにも腑に落ちない。


◇◇◇


 そんな時だった。


◇◇◇


「ビルセイヤさん」


◇◇◇


 エミリアが声を上げた。


◇◇◇


 彼女は盗賊たちの荷物を調べていた。


◇◇◇


「これを見てください」


◇◇◇


 差し出されたのは一枚の金属板だった。


◇◇◇


 掌サイズの黒い金属。


◇◇◇


 そして中央には奇妙な紋章が刻まれている。


◇◇◇


 蛇。


◇◇◇


 蛇が円を描くように絡み合った不気味な紋章だった。


◇◇◇


「これは……」


◇◇◇


 ビルセイヤが眉をひそめる。


◇◇◇


 見覚えはない。


◇◇◇


 セシリアも首を傾げた。


◇◇◇


 だが。


◇◇◇


 盗賊の頭目だけは違った。


◇◇◇


 顔色が一瞬で変わる。


◇◇◇


「そ、それは……!」


◇◇◇


 思わず叫ぶ。


◇◇◇


 全員の視線が集まった。


◇◇◇


「知っているのか?」


◇◇◇


 ビルセイヤが問う。


◇◇◇


 頭目は青ざめながら頷いた。


◇◇◇


「依頼人が持っていた紋章だ……」


◇◇◇


 その言葉に空気が凍り付く。


◇◇◇


 偶然ではない。


◇◇◇


 盗賊たちは確実にその人物と繋がっていた。


◇◇◇


 そしてその人物は今もどこかで動いている。


◇◇◇


 ビルセイヤは黒い金属板を見つめた。


◇◇◇


 蛇の紋章。


◇◇◇


 不気味な意匠。


◇◇◇


 まるで獲物を締め上げる大蛇のようだった。


◇◇◇


「面倒なことになりそうだな」


◇◇◇


 ツバサが苦笑する。


◇◇◇


 だがビルセイヤは静かに頷いた。


◇◇◇


「放置はできない」


◇◇◇


「だが今は依頼が優先だ」


◇◇◇


「まずは商隊を目的地まで届ける」


◇◇◇


 それが冒険者としての責任だった。


◇◇◇


 全員が頷く。


◇◇◇


 こうして商隊は再び動き始めた。


◇◇◇


 だが誰も気付いていない。


◇◇◇


 森のさらに奥。


◇◇◇


 一本の大樹の上から、一人の人物が彼らを見下ろしていたことに。


◇◇◇


 黒いローブ。


◇◇◇


 顔は見えない。


◇◇◇


「盗賊どもは失敗したか」


◇◇◇


 低い声が漏れる。


◇◇◇


 そしてフードの奥で口元が歪んだ。


◇◇◇


「だが面白い」


◇◇◇


「想像以上だ」


◇◇◇


 その視線は真っ直ぐビルセイヤへ向けられていた。


◇◇◇


「ならば次は――」


◇◇◇


 黒ローブの人物は静かに姿を消す。


◇◇◇


 まるで最初から存在しなかったかのように。


◇◇◇


 クラン【ホーム】の初依頼。


◇◇◇


 その裏で動き始めた陰謀は、まだ始まったばかりだった。


第二章 第四十九話


「黒幕の足跡」


――続く。

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