表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
94/154

第四十五話 クランホーム始動

 クラン【ホーム】が誕生してから三日後――。


◇◇◇


 ビルセイヤたちは朝早くから冒険者ギルドを訪れていた。


◇◇◇


 目的はただ一つ。


◇◇◇


 クラン登録である。


◇◇◇


 ギルド内は朝にもかかわらず活気に満ちていた。


◇◇◇


 依頼を探す冒険者。


◇◇◇


 討伐帰りの冒険者。


◇◇◇


 仲間と談笑する者たち。


◇◇◇


 そんな賑やかな空間を進み、一行は受付カウンターへ向かう。


◇◇◇


「クラン登録をお願いします」


◇◇◇


 ビルセイヤがそう告げると、受付嬢は一瞬だけ驚いた表情を見せた。


◇◇◇


 だがすぐに営業用の笑顔へ戻る。


◇◇◇


「かしこまりました」


◇◇◇


「クラン名をお伺いしてもよろしいでしょうか?」


◇◇◇


 ビルセイヤは仲間たちへ視線を向けた。


◇◇◇


 セシリア。


◇◇◇


 エミリア。


◇◇◇


 ツバサ。


◇◇◇


 マイ。


◇◇◇


 イリス。


◇◇◇


 そしてリリアとミリア。


◇◇◇


 全員が静かに頷く。


◇◇◇


 ビルセイヤは微笑んだ。


◇◇◇


「クラン名は――ホームです」


◇◇◇


「クラン【ホーム】ですね」


◇◇◇


 受付嬢が丁寧に書類へ記入していく。


◇◇◇


 その様子を見ていると、少しずつ実感が湧いてきた。


◇◇◇


 本当にクランを作るのだと。


◇◇◇


 やがて受付嬢が立ち上がる。


◇◇◇


「少々お待ちください」


◇◇◇


 奥へ消えていく。


◇◇◇


 数分後。


◇◇◇


 ギルド支部長が姿を現した。


◇◇◇


「話は聞いたぞ」


◇◇◇


 豪快に笑う。


◇◇◇


「お前たちらしい名前じゃないか」


◇◇◇


 ホーム。


◇◇◇


 帰る場所。


◇◇◇


 家族のような仲間が集う場所。


◇◇◇


 その由来を聞いた支部長も気に入ったらしい。


◇◇◇


「登録は問題なく完了だ」


◇◇◇


「今日から正式なクランになる」


◇◇◇


 そう言って差し出されたのは一枚の金属板だった。


◇◇◇


 銀色に輝くクラン証。


◇◇◇


 中央には家を模した紋章。


◇◇◇


 そして下には刻まれている。


◇◇◇


【HOME】


◇◇◇


 ビルセイヤはそれを両手で受け取った。


◇◇◇


 思った以上に重い。


◇◇◇


 金属の重みではない。


◇◇◇


 仲間を預かる責任。


◇◇◇


 クランを導く責任。


◇◇◇


 その重さだった。


◇◇◇


「ありがとう」


◇◇◇


 自然とそんな言葉が口をついて出た。


◇◇◇


 その時だった。


◇◇◇


「よう!」


◇◇◇


 後ろから声が掛かる。


◇◇◇


 振り返ると、数人の冒険者たちが立っていた。


◇◇◇


 見覚えがある。


◇◇◇


 スタンピード防衛戦で共に戦った冒険者たちだ。


◇◇◇


「クラン結成おめでとう!」


◇◇◇


「噂は聞いたぜ!」


◇◇◇


「盗賊団討伐も見事だったな!」


◇◇◇


 次々と祝福の言葉が飛んでくる。


◇◇◇


 握手を求められる。


◇◇◇


 肩を叩かれる。


◇◇◇


 笑顔を向けられる。


◇◇◇


 いつの間にか多くの冒険者たちが集まっていた。


◇◇◇


「今度一緒に依頼を受けようぜ!」


◇◇◇


「迷宮攻略の時は声を掛けてくれ!」


◇◇◇


 歓迎ムード一色だった。


◇◇◇


 ビルセイヤは少し照れ臭くなる。


◇◇◇


 そんな様子を見ていたツバサが笑った。


◇◇◇


「すっかり有名人だな」


◇◇◇


「勘弁してくれ」


◇◇◇


 ビルセイヤは肩を竦めた。


◇◇◇


 だが悪い気分ではない。


◇◇◇


 仲間として認められている証だからだ。


◇◇◇


 その後、一行は屋敷へ戻った。


◇◇◇


 クラン【ホーム】としての初会議を行うためである。


◇◇◇


 食堂にはミリアが腕を振るった昼食が並んでいた。


◇◇◇


 焼き立ての白パン。


◇◇◇


 具沢山のシチュー。


◇◇◇


 新鮮な野菜のサラダ。


◇◇◇


 見ているだけで腹が鳴りそうな料理ばかりだ。


◇◇◇


「まずは乾杯だな!」


◇◇◇


 ツバサが果実ジュースを掲げる。


◇◇◇


「クランホームの門出に!」


◇◇◇


「乾杯!」


◇◇◇


 全員の声が重なった。


◇◇◇


 果実ジュースの入ったコップが軽く触れ合う。


◇◇◇


 笑顔が広がる。


◇◇◇


 新しい組織。


◇◇◇


 新しい仲間たち。


◇◇◇


 そして新しい未来。


◇◇◇


 誰もが期待に胸を膨らませていた。


◇◇◇


 食事が一段落した頃。


◇◇◇


 ビルセイヤが真面目な表情になる。


◇◇◇


「今後の方針を決めよう」


◇◇◇


 自然と空気が引き締まった。


◇◇◇


「まず新人募集は急がない」


◇◇◇


「信頼できる仲間だけを迎える」


◇◇◇


 その言葉にツバサが大きく頷く。


◇◇◇


「賛成だ」


◇◇◇


「人数だけ増やしても意味がない」


◇◇◇


 マイも続く。


◇◇◇


「家族みたいなクランですから」


◇◇◇


「誰でもいいわけではありません」


◇◇◇


 イリスも微笑む。


◇◇◇


「まずは土台作りですね」


◇◇◇


 ホームは強さだけを求めるクランではない。


◇◇◇


 信頼。


◇◇◇


 絆。


◇◇◇


 仲間を大切にすること。


◇◇◇


 それこそがホームの理念だった。


◇◇◇


 そして会議が終わる頃。


◇◇◇


 リリアが帳簿を取り出す。


◇◇◇


「クラン資金の管理は私が担当します」


◇◇◇


 ミリアも元気よく手を挙げた。


◇◇◇


「屋敷の管理と備品整理は任せてください!」


◇◇◇


 二人もまたクランを支える大切な存在だった。


◇◇◇


 戦う力だけが強さではない。


◇◇◇


 仲間を支える力もまた大切な力だ。


◇◇◇


 そんな二人の姿を見ながら、ビルセイヤは静かに微笑んだ。


◇◇◇


 クラン【ホーム】。


◇◇◇


 まだ始まったばかりの小さな組織。


◇◇◇


 だがきっと大きくなる。


◇◇◇


 仲間たちと共に。


◇◇◇


 家族と共に。


◇◇◇


 誰もが帰りたくなる場所へ。


◇◇◇


 そんな未来を思い描きながら、ビルセイヤはクラン証をそっと見つめるのだった。


第二章 第四十五話


「クランホーム始動」


――続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ