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異世界転移したら刀鍛冶だった。気づけば英雄になり、最後は創造神になっていた件  作者: バモス
第二章 鍛冶革命編

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第三十六話 盗賊王との決戦

 ドォォォォォン!!


◇◇◇


 巨大な戦斧が地面へ叩き付けられた。


◇◇◇


 衝撃で大地が揺れる。


◇◇◇


 土砂が舞い上がり、周囲にいた盗賊たちまでもが慌てて距離を取った。


◇◇◇


 洞窟前の広場。


◇◇◇


 そこには二人の男が向かい合っていた。


◇◇◇


 一人はビルセイヤ。


◇◇◇


 もう一人は盗賊団を率いる頭領。


◇◇◇


 身長は二メートル近い。


◇◇◇


 鍛え上げられた筋肉。


◇◇◇


 全身に刻まれた古傷。


◇◇◇


 そして肩に担いだ巨大な戦斧。


◇◇◇


 ただ立っているだけで周囲を圧迫するような威圧感があった。


◇◇◇


「若造」


◇◇◇


 頭領が低い声で言う。


◇◇◇


「今なら見逃してやる」


◇◇◇


「仲間を連れて帰れ」


◇◇◇


 意外な言葉だった。


◇◇◇


 だが、その目には余裕がある。


◇◇◇


 自分が負けるとは微塵も思っていないのだろう。


◇◇◇


 長年積み上げてきた力への絶対的な自信。


◇◇◇


 それが見て取れた。


◇◇◇


 しかし――。


◇◇◇


 ビルセイヤは肩をすくめる。


◇◇◇


「断る」


◇◇◇


 即答だった。


◇◇◇


 迷いはない。


◇◇◇


 盗賊団を放置すれば、また誰かが被害に遭う。


◇◇◇


 商人が襲われる。


◇◇◇


 旅人が命を落とす。


◇◇◇


 そんな未来を見過ごせるほど冷たくはなかった。


◇◇◇


「そうか」


◇◇◇


 頭領が笑う。


◇◇◇


 獣のような笑みだった。


◇◇◇


「なら死ね」


◇◇◇


 次の瞬間。


◇◇◇


 巨体が動く。


◇◇◇


 速い。


◇◇◇


 その体格からは想像もできない速度だった。


◇◇◇


 巨大な戦斧が横薙ぎに振るわれる。


◇◇◇


 ブォンッ!


◇◇◇


 空気が唸る。


◇◇◇


 ビルセイヤは即座に後方へ跳んだ。


◇◇◇


 直後。


◇◇◇


 ドガァァァァン!!


◇◇◇


 背後の大木が真っ二つになる。


◇◇◇


 周囲から息を呑む音が聞こえた。


◇◇◇


「嘘でしょ……」


◇◇◇


 セシリアが思わず呟く。


◇◇◇


 あの一撃を受ければ鎧ごと粉砕される。


◇◇◇


 それほどの威力だった。


◇◇◇


 だが。


◇◇◇


 ビルセイヤは冷静に観察していた。


◇◇◇


 力は確かに凄まじい。


◇◇◇


 おそらく今まで戦った相手の中でも上位に入るだろう。


◇◇◇


 しかし――。


◇◇◇


 剣士としての経験が告げる。


◇◇◇


 当たらなければ意味がない。


◇◇◇


「舐めるなぁぁぁぁぁっ!!」


◇◇◇


 頭領が咆哮する。


◇◇◇


 戦斧を振り回しながら突進。


◇◇◇


 縦斬り。


◇◇◇


 横薙ぎ。


◇◇◇


 振り上げ。


◇◇◇


 連続攻撃が襲い掛かる。


◇◇◇


 だがビルセイヤは全てを躱した。


◇◇◇


 半歩。


◇◇◇


 一歩。


◇◇◇


 最小限の動き。


◇◇◇


 剣道で培った間合い。


◇◇◇


 合気道で磨いた体捌き。


◇◇◇


 まるで未来が見えているかのようだった。


◇◇◇


「何故だ!」


◇◇◇


「何故当たらん!!」


◇◇◇


 頭領の声に苛立ちが混じる。


◇◇◇


 その瞬間だった。


◇◇◇


 ビルセイヤが踏み込む。


◇◇◇


 一閃。


◇◇◇


 ズバッ!


◇◇◇


 鋭い斬撃が頭領の肩口を切り裂いた。


◇◇◇


 鮮血が舞う。


◇◇◇


「ぐっ!?」


◇◇◇


 頭領の目が見開かれる。


◇◇◇


 初めて傷を負ったのだ。


◇◇◇


 それを見た盗賊たちがざわめく。


◇◇◇


「お頭が傷を!?」


◇◇◇


「そんな馬鹿な!」


◇◇◇


 彼らにとって頭領は絶対だった。


◇◇◇


 誰にも負けない存在。


◇◇◇


 その神話が崩れ始めていた。


◇◇◇


 一方。


◇◇◇


 ツバサたちも戦い続けていた。


◇◇◇


 日本刀が閃く。


◇◇◇


 スパンッ!


◇◇◇


 盗賊の武器ごと断ち切る。


◇◇◇


 セシリアも圧倒している。


◇◇◇


 エミリアの魔法支援も的確だった。


◇◇◇


 戦況は完全に冒険者側へ傾いている。


◇◇◇


「終わりだ」


◇◇◇


 ビルセイヤが静かに告げた。


◇◇◇


 頭領の息は荒い。


◇◇◇


 傷も増えている。


◇◇◇


 誰の目にも勝敗は明らかだった。


◇◇◇


 だが。


◇◇◇


 頭領は笑った。


◇◇◇


 不気味に。


◇◇◇


 狂気を孕んだ笑みだった。


◇◇◇


「まだ終わらねぇよ……」


◇◇◇


 嫌な予感が走る。


◇◇◇


 頭領は懐へ手を入れた。


◇◇◇


 取り出したのは赤黒い魔石。


◇◇◇


 禍々しい魔力を放っている。


◇◇◇


「まさか……!」


◇◇◇


 エミリアの顔色が変わった。


◇◇◇


 普通の魔石ではない。


◇◇◇


 禁忌の力が込められた呪具だ。


◇◇◇


「これを使う時が来たか」


◇◇◇


 頭領が嗤う。


◇◇◇


 周囲の盗賊たちまでもが驚いていた。


◇◇◇


 どうやら切り札らしい。


◇◇◇


 そして――。


◇◇◇


 バキッ!


◇◇◇


 魔石が握り潰された。


◇◇◇


 赤黒い光が溢れ出す。


◇◇◇


 魔力が暴走する。


◇◇◇


 筋肉が膨れ上がる。


◇◇◇


 血管が浮き出る。


◇◇◇


 瞳が赤く染まった。


◇◇◇


「グオオオオオオオオオオオッ!!」


◇◇◇


 人のものとは思えない咆哮。


◇◇◇


 周囲の空気が震える。


◇◇◇


 セシリアが剣を握り直した。


◇◇◇


 ツバサも表情を引き締める。


◇◇◇


「魔物化……」


◇◇◇


 エミリアが呟く。


◇◇◇


 禁忌の術。


◇◇◇


 理性と引き換えに力を得る代償。


◇◇◇


 使った者は二度と元には戻れない。


◇◇◇


 そして変貌した頭領は、巨大な戦斧を握り締めながらビルセイヤを睨み付けた。


◇◇◇


「殺ス……」


◇◇◇


 低く響く声。


◇◇◇


 その姿はもはや人間ではない。


◇◇◇


 怪物だった。


◇◇◇


 だが。


◇◇◇


 ビルセイヤは静かに剣を構える。


◇◇◇


 恐怖はない。


◇◇◇


 守るべき仲間がいる。


◇◇◇


 助けを待つ人がいる。


◇◇◇


 だから負けるわけにはいかない。


◇◇◇


 決戦の時は訪れた。


第二章 第三十六話


「盗賊王との決戦」


――続く。

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