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異世界転移したら刀鍛冶だった。気づけば英雄になり、最後は創造神になっていた件  作者: バモス
鍛冶革命編

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第八話 盗賊のアジト

 盗賊団との戦闘が終わってから一時間後――。


◇◇◇


 街道脇の空き地では、捕らえられた盗賊たちが縄で縛られていた。


◇◇◇


 全員無力化済み。


◇◇◇


 逃げ出す気力すら残っていない。


◇◇◇


 護衛冒険者たちが見張りを担当し、盗賊たちは地面へ座らされている。


◇◇◇


 その中で。


◇◇◇


 ビルセイヤは盗賊団の頭の前に立っていた。


◇◇◇


「聞きたいことがある」


◇◇◇


 静かな声だった。


◇◇◇


 だが盗賊の頭は肩を震わせる。


◇◇◇


 先ほどまでの威勢はどこにもない。


◇◇◇


「な、何だ……」


◇◇◇


「お前たちのアジトはどこだ?」


◇◇◇


 男の表情が固まった。


◇◇◇


 沈黙。


◇◇◇


 しかし隠し通せる状況ではない。


◇◇◇


 仲間は全員捕まった。


◇◇◇


 逃げ場もない。


◇◇◇


 やがて男は観念したように肩を落とした。


◇◇◇


「……森の奥だ」


◇◇◇


「街道から少し外れた場所にある」


◇◇◇


 ビルセイヤは頷く。


◇◇◇


 予想通りだった。


◇◇◇


 盗賊は必ず拠点を持つ。


◇◇◇


 そして拠点には証拠が残る。


◇◇◇


 被害品もあるかもしれない。


◇◇◇


「行くんですか?」


◇◇◇


 セシリアが尋ねた。


◇◇◇


「行こう」


◇◇◇


 ビルセイヤは迷わず答える。


◇◇◇


「盗品が残っている可能性がある」


◇◇◇


「持ち主が分かるなら返したい」


◇◇◇


 その言葉にエミリアが微笑んだ。


◇◇◇


 やはりこの人らしい。


◇◇◇


 強さだけではない。


◇◇◇


 困っている人を放っておけない性格。


◇◇◇


 それがビルセイヤだった。


◇◇◇


「素晴らしいですぞ!」


◇◇◇


 ギルバードも大きく頷く。


◇◇◇


「商人としても大賛成です!」


◇◇◇


「盗賊は商人の天敵ですからな!」


◇◇◇


 妙に説得力があった。


◇◇◇


 こうして一行は盗賊の案内で森へ入る。


◇◇◇


 しばらく進むと景色が変わった。


◇◇◇


 木々が密集し、人の気配もなくなる。


◇◇◇


 やがて小さな谷へ辿り着いた。


◇◇◇


 その奥。


◇◇◇


 岩場に隠れるように建てられた木造の建物が見える。


◇◇◇


「ここです……」


◇◇◇


 盗賊の頭が力なく呟いた。


◇◇◇


 見張りの姿はない。


◇◇◇


 先ほど街道へ出ていた者たちが主力だったのだろう。


◇◇◇


 セシリアが周囲を確認する。


◇◇◇


「人の気配はありません」


◇◇◇


 エミリアも魔力探知を行う。


◇◇◇


「大丈夫そうです」


◇◇◇


 慎重に近付く。


◇◇◇


 そして建物の中へ足を踏み入れた。


◇◇◇


「これは……」


◇◇◇


 エミリアが眉をひそめる。


◇◇◇


 室内には大量の荷物が積み上げられていた。


◇◇◇


 武器。


 防具。


 衣類。


 食料。


 薬品。


◇◇◇


 さらには商会の刻印が入った木箱まである。


◇◇◇


 明らかに盗品だった。


◇◇◇


「思った以上ですな……」


◇◇◇


 ギルバードの表情が曇る。


◇◇◇


「これだけの被害を出していたとは」


◇◇◇


 商人として見過ごせない光景だった。


◇◇◇


 その時。


◇◇◇


 ビルセイヤの視線が部屋の奥へ向く。


◇◇◇


 一振りの剣が棚の上へ置かれていた。


◇◇◇


 何気なく手に取る。


◇◇◇


 そして目を細めた。


◇◇◇


「どうしたんですか?」


◇◇◇


 セシリアが尋ねる。


◇◇◇


「良い剣だ」


◇◇◇


 短い言葉だった。


◇◇◇


 だがその声には確かな評価が込められている。


◇◇◇


 刀身の造り。


 重心の位置。


 鍛え方。


◇◇◇


 どれも丁寧だった。


◇◇◇


 名も知らぬ鍛冶師が真剣に打った剣だと分かる。


◇◇◇


「職人の魂が入っている」


◇◇◇


 ビルセイヤは静かに呟く。


◇◇◇


 鍛冶師だからこそ分かる。


◇◇◇


 武器は単なる鉄の塊ではない。


◇◇◇


 作り手の技術。


 経験。


 誇り。


◇◇◇


 その全てが込められている。


◇◇◇


「盗まれたのでしょうな」


◇◇◇


 ギルバードが言う。


◇◇◇


「なら持ち主へ返さないとな」


◇◇◇


 ビルセイヤは剣を丁寧に鞘へ戻した。


◇◇◇


 その時だった。


◇◇◇


 カタン――。


◇◇◇


 小さな音が響く。


◇◇◇


 一瞬で空気が変わった。


◇◇◇


 ビルセイヤが振り向く。


◇◇◇


 セシリアが剣を抜く。


◇◇◇


 エミリアも杖を構えた。


◇◇◇


 音は建物の奥から聞こえた。


◇◇◇


 誰かいる。


◇◇◇


 ゆっくりと奥の部屋へ近付く。


◇◇◇


 そして。


◇◇◇


 ギィィ――。


◇◇◇


 古びた扉が静かに開いた。


◇◇◇


 そこから現れたのは、一人の少女だった。


◇◇◇


 年齢は十五歳前後。


◇◇◇


 薄汚れた服。


 乱れた髪。


◇◇◇


 しかし。


◇◇◇


 その顔立ちは驚くほど整っていた。


◇◇◇


 どこか育ちの良さすら感じさせる。


◇◇◇


 そして何より。


◇◇◇


 その瞳には深い恐怖が宿っていた。


◇◇◇


「た……助けて……」


◇◇◇


 震える声。


◇◇◇


 小さな身体が崩れるようによろめく。


◇◇◇


 セシリアが慌てて駆け寄った。


◇◇◇


「大丈夫です!」


◇◇◇


「もう安心してください!」


◇◇◇


 盗賊団のアジトで発見された謎の少女。


◇◇◇


 彼女はいったい何者なのか。


◇◇◇


 そしてなぜこんな場所へ囚われていたのか。


◇◇◇


 新たな出会いが。


◇◇◇


 ビルセイヤたちを次なる物語へ導こうとしていた。


第二章 第八話


「盗賊のアジト」


――続く。

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