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第六話 街道の盗賊団

 運命の歯車が回り始めた翌日――。


◇◇◇


 ビルセイヤたちはギルバードの商人馬車と共に街道を進んでいた。


◇◇◇


 本来なら別行動の予定だった。


◇◇◇


 しかしギルバードが強引に提案したのである。


◇◇◇


「目的地は同じですぞ!」


◇◇◇


「一緒に行った方が楽しいですぞ!」


◇◇◇


 結果。


◇◇◇


 商人馬車一台。


 護衛冒険者二人。


 ビルセイヤたち三人。


◇◇◇


 小規模な隊商が完成していた。


◇◇◇


「本当に賑やかになりましたね」


◇◇◇


 エミリアが苦笑する。


◇◇◇


「良いことですぞ!」


◇◇◇


 ギルバードは上機嫌だった。


◇◇◇


 昨夜からずっと機嫌が良い。


◇◇◇


 新商品の話。


 商会の未来。


 王国規模の販路。


◇◇◇


 延々と語っている。


◇◇◇


 完全に夢を見ていた。


◇◇◇


「まずは包丁ですな!」


◇◇◇


「次に農具!」


◇◇◇


「その後は武器です!」


◇◇◇


「順番が逆じゃないですか?」


◇◇◇


 セシリアが呆れる。


◇◇◇


「包丁の方が売れるのです!」


◇◇◇


 ギルバードは真顔だった。


◇◇◇


 商人らしい発想である。


◇◇◇


 そんな会話をしていた時だった。


◇◇◇


 ビルセイヤが足を止める。


◇◇◇


「どうしました?」


◇◇◇


 セシリアが尋ねる。


◇◇◇


 ビルセイヤは街道脇の森を見る。


◇◇◇


「人の気配がする」


◇◇◇


 その言葉で空気が変わった。


◇◇◇


 護衛冒険者たちも武器へ手を掛ける。


◇◇◇


「何人です?」


◇◇◇


「十人以上」


◇◇◇


 ビルセイヤの声は冷静だった。


◇◇◇


 ギルバードの顔色が変わる。


◇◇◇


「まさか……」


◇◇◇


 その瞬間。


◇◇◇


「止まれぇぇぇぇ!!」


◇◇◇


 森から男たちが飛び出してきた。


◇◇◇


 十数名。


◇◇◇


 剣や斧を持っている。


◇◇◇


 服装はバラバラ。


◇◇◇


 明らかに盗賊だった。


◇◇◇


「金目の物を置いていけ!」


◇◇◇


「命までは取らねぇ!」


◇◇◇


 盗賊の頭らしき男が叫ぶ。


◇◇◇


 ギルバードが小さく呟いた。


◇◇◇


「本当に出ましたぞ……」


◇◇◇


 昨日話していた盗賊団である。


◇◇◇


 恐ろしい偶然だった。


◇◇◇


 いや。


◇◇◇


 ある意味では必然かもしれない。


◇◇◇


 盗賊が出没する街道を通っているのだから。


◇◇◇


「どうします?」


◇◇◇


 エミリアが尋ねる。


◇◇◇


 答えるまでもない。


◇◇◇


 セシリアが剣を抜いた。


◇◇◇


「決まっています」


◇◇◇


 美しい剣閃。


◇◇◇


 そして笑う。


◇◇◇


「返り討ちです」


◇◇◇


 盗賊たちが一瞬怯む。


◇◇◇


 だが数では勝っている。


◇◇◇


 すぐに包囲を狭めてきた。


◇◇◇


「おいおい」


◇◇◇


「女までいるじゃねぇか」


◇◇◇


「運が良かったな」


◇◇◇


 下卑た笑い声。


◇◇◇


 セシリアの額に青筋が浮かぶ。


◇◇◇


 エミリアも冷たい目をしていた。


◇◇◇


 そして。


◇◇◇


 ビルセイヤが一歩前へ出る。


◇◇◇


「最後に聞く」


◇◇◇


 静かな声だった。


◇◇◇


「降参するなら今だ」


◇◇◇


 一瞬。


◇◇◇


 盗賊たちは静かになる。


◇◇◇


 そして。


◇◇◇


 大爆笑した。


◇◇◇


「聞いたかお前ら!」


◇◇◇


「冒険者が脅してきたぞ!」


◇◇◇


「たった三人で!」


◇◇◇


 笑い声が響く。


◇◇◇


 誰も気付いていなかった。


◇◇◇


 目の前にいるのが。


◇◇◇


 オークロードを討伐し。


 フォレスト・キングを倒し。


 王都で名を上げた冒険者たちだということに。


◇◇◇


 ビルセイヤは小さくため息を吐いた。


◇◇◇


「そうか」


◇◇◇


 剣を抜く。


◇◇◇


 鋼が陽光を反射した。


◇◇◇


「なら仕方ない」


◇◇◇


 盗賊団。


◇◇◇


 対。


◇◇◇


 未来の創造神。


◇◇◇


 勝負の行方は、始まる前から決まっていた。


第二章 第六話


「街道の盗賊団」


――続く。

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