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異世界転移したら刀鍛冶だった。気づけば英雄になり、最後は創造神になっていた件  作者: バモス
鍛冶革命編

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第三話 街道の野営

 王都アルティアを旅立って一日目――。


◇◇◇


 ビルセイヤたちは西へ続く街道を進んでいた。


◇◇◇


 目的地は伯爵領エメラルド・グリーン。


◇◇◇


 王国第二の都市と呼ばれる大商業都市である。


◇◇◇


 王都から馬車なら一日半ほど。


 徒歩なら三日から四日。


◇◇◇


 急ぐ必要のない旅路だった。


◇◇◇


 三人は周囲の景色を楽しみながら歩いている。


◇◇◇


「良い天気ですね」


◇◇◇


 セシリアが空を見上げた。


◇◇◇


 どこまでも続く青空。


 心地良い風。


◇◇◇


 街道の両脇には緑の草原が広がり、遠くには森や山々の姿も見える。


◇◇◇


 王都周辺らしい平和な光景だった。


◇◇◇


「本当に平和ですね」


◇◇◇


 エミリアも周囲を見回す。


◇◇◇


「魔物の気配もほとんどありません」


◇◇◇


 実際、出発してから一度も戦闘になっていない。


◇◇◇


 王都周辺の街道は騎士団や冒険者が定期的に巡回している。


◇◇◇


 そのため比較的安全が保たれているのだ。


◇◇◇


「平和なのは良いことだ」


◇◇◇


 ビルセイヤはそう言いながら街道脇へしゃがみ込む。


◇◇◇


 そして石を拾った。


◇◇◇


 じっと見つめる。


◇◇◇


 ひっくり返す。


◇◇◇


 さらに眺める。


◇◇◇


「何してるんですか?」


◇◇◇


 セシリアが不思議そうに尋ねた。


◇◇◇


「鉄鉱石じゃないかと思って」


◇◇◇


「違います」


◇◇◇


 即答だった。


◇◇◇


 どう見てもただの石である。


◇◇◇


「そうか……」


◇◇◇


 少し残念そうに石を置くビルセイヤ。


◇◇◇


 セシリアとエミリアは顔を見合わせた。


◇◇◇


 本当に鍛冶が好きなのだ。


◇◇◇


 ここまで来ると感心すらする。


◇◇◇


 そんな他愛ない会話を交わしながら街道を進む。


◇◇◇


 そして夕方。


◇◇◇


 太陽が西へ傾き始めた頃。


◇◇◇


 三人は街道沿いに設けられた野営地へ到着した。


◇◇◇


 旅人や商人たちが利用する休憩地点である。


◇◇◇


 井戸があり、簡易的な炊事場も整備されている。


◇◇◇


 旅人たちにとって貴重な施設だった。


◇◇◇


「今日はここで野営ですね」


◇◇◇


 エミリアが言う。


◇◇◇


 三人は慣れた手付きで準備を始めた。


◇◇◇


 テントを設営し。


 薪を集め。


 寝床を整える。


◇◇◇


 冒険者にとって野営は基本中の基本だった。


◇◇◇


 特にセシリアは経験豊富である。


◇◇◇


「できました!」


◇◇◇


 立派なテントが完成した。


◇◇◇


 一方のビルセイヤも大量の薪を抱えて戻ってくる。


◇◇◇


 焚き火を起こす。


◇◇◇


 パチパチと薪が弾ける音。


◇◇◇


 徐々に辺りが暗くなっていく。


◇◇◇


 やがて夕食の時間になった。


◇◇◇


 干し肉。


 パン。


 野菜入りの簡単なスープ。


◇◇◇


 決して豪華な食事ではない。


◇◇◇


 だが旅先で仲間と囲む食卓には特別な味がある。


◇◇◇


「美味しいですね」


◇◇◇


 セシリアが幸せそうに微笑む。


◇◇◇


「王都の料理も良かったですけど、こういうのも好きです」


◇◇◇


「分かる」


◇◇◇


 ビルセイヤも頷いた。


◇◇◇


 焚き火を囲む時間。


◇◇◇


 仲間と他愛ない話をする時間。


◇◇◇


 それだけで不思議と心が落ち着く。


◇◇◇


 異世界へ来てから様々なことがあった。


◇◇◇


 戦い。


 出会い。


 別れ。


◇◇◇


 だが今は穏やかな時間が流れている。


◇◇◇


 そんな時だった。


◇◇◇


 ガラガラガラ――。


◇◇◇


 遠くから馬車の音が聞こえてきた。


◇◇◇


 一台の大型馬車が野営地へ入ってくる。


◇◇◇


 立派な商人馬車だった。


◇◇◇


 護衛らしい冒険者が二人。


◇◇◇


 そして馬車から降りてきたのは、恰幅の良い中年男性だった。


◇◇◇


 高価そうな服装。


 人懐っこそうな笑顔。


◇◇◇


 どう見ても商人である。


◇◇◇


「おや?」


◇◇◇


 男がこちらを見た。


◇◇◇


 そして目を丸くする。


◇◇◇


「もしかして……」


◇◇◇


 嫌な予感がした。


◇◇◇


 セシリアとビルセイヤは同時に思う。


◇◇◇


「王都で噂の冒険者ではありませんか!?」


◇◇◇


 やはりだった。


◇◇◇


 商人の目が輝いている。


◇◇◇


「オークロードを討伐したという!」


◇◇◇


「古代遺跡の事件を解決したという!」


◇◇◇


「ビルセイヤ殿ですよね!?」


◇◇◇


 勢いが凄い。


◇◇◇


 ビルセイヤは思わず苦笑した。


◇◇◇


 どうやら王都での活躍は想像以上に広まっているらしい。


◇◇◇


「ぜひお話を聞かせてください!」


◇◇◇


 商人は目を輝かせる。


◇◇◇


 断れそうな雰囲気ではなかった。


◇◇◇


 こうして。


◇◇◇


 静かなはずだった野営の夜は、思わぬ来客によって賑やかなものへ変わっていく。


◇◇◇


 そして三人はまだ知らない。


◇◇◇


 この商人との出会いが、後のエメラルド・グリーンでの大きな縁へ繋がることを。


第二章 第三話


「街道の野営」


――続く。

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