↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移したら刀鍛冶だった。気づけば英雄になり、最後は創造神になっていた件  作者: バモス
第一章 冒険者への第一歩編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
31/293

第三十一話 勝利の夜と新たな依頼

 オークロード討伐から数時間後――。


 辺境の村は、歓喜に包まれていた。


「助かった……」


「本当に助かった……!」


 村人たちは涙を流しながら、冒険者たちへ頭を下げていた。


 もしビルセイヤたちが駆けつけていなければ、この村は間違いなく壊滅していただろう。


 家族も。

 家も。

 日々の暮らしも。


 そのすべてを失っていたかもしれない。


 それほど危険な状況だった。


    ◇◇◇


「皆さんのおかげです」


 村長の老人が深々と頭を下げる。


 その後ろには、村人たちが並んでいた。

 子供たちもいる。

 老人たちもいる。


 守れた。


 ビルセイヤは静かに息を吐いた。


「いや」


 そして首を横に振る。


「俺たちだけじゃない」


 周囲を見渡す。


 オークと戦った冒険者たち。

 必死に村を守った自警団。

 避難誘導を行った村人たち。


 誰一人欠けても、勝利はなかった。


「皆で守ったんだ」


 その言葉に、村人たちの表情が柔らかくなる。


 近くで聞いていたバルドが苦笑した。


「相変わらずだな」


 功績を独り占めしない。


 だから人が集まる。

 だから仲間が増える。


 それは強さとは別の才能だった。


    ◇◇◇


 その夜。


 村では、急遽宴が開かれることになった。


 オーク肉の炭火焼き。

 野菜たっぷりのスープ。

 焼きたてのパン。

 果実酒。


 本来なら村に余裕などない。


 それでも命を救われた感謝を、どうしても伝えたかったのだろう。


「おおおっ!」


 冒険者たちが歓声を上げる。


 先ほどまで死闘を繰り広げていたとは思えないほど、宴は賑やかだった。


 ビルセイヤも久しぶりに肩の力を抜く。


 戦いが終わった。


 その実感が、ようやく湧いてきていた。


    ◇◇◇


「ビルセイヤさん」


 隣へセシリアが腰を下ろす。


「なんだ?」


「ありがとうございました」


 真剣な表情だった。


「またそれか?」


 ビルセイヤが苦笑する。


「だって……」


 セシリアは俯いた。


 オークロードとの戦い。

 最後の攻防。


 もしビルセイヤが決断を誤っていたら。

 もし誰かの動きが少しでも遅れていたら。


 自分たちは死んでいたかもしれない。


「私は、助けられてばかりです」


 小さな声だった。


 しかし、ビルセイヤは首を振る。


「違う」


「え?」


「俺も何度も助けられている」


 事実だった。


 ゴブリンジェネラル戦。

 オークロード戦。


 セシリアの剣がなければ。

 エミリアの魔法がなければ。


 勝てなかった。


「一人じゃ無理だった」


 その言葉に、セシリアの頬が少し赤くなる。


「そう……ですか」


 胸の奥が温かくなった。


 エミリアは、そんな二人を見ながら微笑む。


(順調ですね)


 本人たちは気づいていない。


 少なくとも、ビルセイヤは。


    ◇◇◇


 翌朝。


 三人はシーサスへ帰還した。


 街へ入った瞬間、周囲がざわつく。


「帰ってきたぞ!」


「オークロードを倒したらしい!」


「本当か!?」


 噂は、すでに広がっていた。


 冒険者ギルドへ到着すると、さらに騒ぎになる。


「今度はオークロードか……」


「本当に新人か?」


「俺より活躍してるぞ……」


 羨望と驚きの視線が集まる。


 ビルセイヤは少し遠い目になった。


「静かに鍛冶をしたいんだが」


「無理ですね」


 セシリアが即答する。


「諦めてください」


 エミリアも笑顔で追撃した。


    ◇◇◇


 ギルドマスター室。


 報告書を読み終えたバルドは、大きく息を吐いた。


「本当にやりやがったか……」


 ゴブリンジェネラル。


 オークロード。


 普通なら、ベテランパーティーが挑む相手だ。

 新人が短期間で討伐するような魔物ではない。


「お前たちのランクを上げる」


 三人が顔を上げる。


「本来なら時間をかける。だが今回は例外だ」


 バルドは真剣な顔で言った。


「ビルセイヤ。セシリア。エミリア」


 三人の名前を一人ずつ呼ぶ。


「今日からEランク冒険者だ」


 三人は顔を見合わせた。


 冒険者として、正式に一歩上へ進んだ瞬間だった。


    ◇◇◇


 だが。


 コンコン。


 部屋の扉が叩かれる。


「入れ」


 扉が開いた。


 入ってきたのは、見知らぬ男だった。


 上質な服。

 磨き上げられた革靴。

 腰には高級そうな剣。


 一目で分かる。


 貴族関係者だ。


「失礼いたします」


 男は丁寧に一礼した。


「王都アルティアより参りました」


 その言葉に、部屋の空気が変わる。


「王都だと?」


 バルドが眉を上げる。


 男は静かに頷いた。


「ビルセイヤ殿へ依頼があります」


 全員の視線が集まる。


 ビルセイヤは首を傾げた。


 王都から、自分へ。


 まったく心当たりがない。


 しかし、この依頼こそが――彼の人生を大きく変える転機となる。


    ◇◇◇


 一方その頃――。


 王都アルティア。


「来ますわね!」


 第二王女アイリスが、満面の笑みを浮かべていた。


「絶対に来ますわ!」


 なぜか確信に満ちている。


 その隣では、専属侍女のマリアが静かに頭を抱えていた。


「まだ決まっておりませんが……」


 恋する王女は、今日も絶好調だった。


 そして運命の歯車は、少しずつ回り始める。


---


第一章 第三十一話


勝利の夜と新たな依頼


――続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。