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異世界転移したら刀鍛冶だった。気づけば英雄になり、最後は創造神になっていた件  作者: バモス
第二章 鍛冶革命編

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第二百一話 蒼天霊樹の祝福

 蒼天霊樹の最奥。


 シルフィを縛っていた黒き鎖が砕け散ると、世界そのものが息を吹き返したかのように風が舞い始めた。


 優しい風だった。


 冷たく張り詰めていた空気は消え去り、森全体を包む風はどこか懐かしく、命の温もりを感じさせる。


「……終わったのですね」


 フィリアが静かに呟く。


「ああ。」


 ビルセイヤもゆっくりとうなずいた。


 長く続いた戦い。


 蒼天霊樹を蝕んでいた穢れは消え、風精霊シルフィも本来の姿を取り戻した。


 その瞬間だった。


 蒼天霊樹が眩い蒼翠色の光を放ち始める。


「これは……!」


 エミリアが驚きの声を上げる。


 枝葉から溢れ出した無数の光が、森中へと降り注いでいく。


 傷付いた草木。


 枯れかけていた花。


 倒れた巨木。


 それらが次々と生命力を取り戻し、緑が森へ帰っていく。


「森が……生き返ってる!」


 リシアは目を輝かせた。


 ツバサも周囲を見渡し、小さく笑う。


「これが精霊樹の本当の力か。」


 シルフィは嬉しそうに微笑んだ。


「ありがとう……みんな。」


「ようやく、この森は本来の姿へ戻れる。」


 その時。


 蒼天霊樹の幹から柔らかな光が降り注ぎ、ビルセイヤたち全員を包み込む。


「これは……祝福?」


 フィリアが目を見開く。


 身体の奥から温かな力が湧き上がってくる。


 旅で負った傷。


 疲労。


 魔力の消耗。


 そのすべてが癒えていく。


 さらに装備までもが淡く輝き始めた。


 白枝の刀身には蒼い風の紋様が一瞬だけ浮かび上がる。


 セシリアの盾。


 エミリアの弓。


 ツバサの剣。


 フィリアの杖。


 どれも精霊の加護を受けたように神秘的な輝きを宿した。


「精霊たちが喜んでる……。」


 エミリアは精霊の囁きへ耳を傾ける。


『ありがとう。』


『また会えた。』


『守ってくれてありがとう。』


 風だけではない。


 森に住む小さな精霊たちも次々と姿を現し、ビルセイヤたちの周囲を楽しそうに飛び回る。


「ふふっ……くすぐったいです。」


 フィリアの肩へ、小さな風精霊がちょこんと乗る。


 リシアの頭にも花の精霊が座り、少女は思わず笑顔になった。


 その光景を見つめながら、ビルセイヤは静かに目を閉じる。


(これで終わりじゃない。)


(四霊樹はまだ一つ。)


(他の霊樹も同じように狙われている。)


 その時だった。


 蒼天霊樹の根元に立つエアリスが静かに口を開く。


「ビルセイヤ。」


「はい。」


「あなたたちは試練を越えました。」


「そして、この世界を救う資格を得ました。」


 空気が静まり返る。


 エアリスは神聖な雰囲気をまといながら続けた。


「ですが、四霊樹を蝕む闇は、まだ始まりに過ぎません。」


「蛇の牙は、残る三本の霊樹にも既に手を伸ばしています。」


 仲間たちの表情が引き締まる。


 ヴェノムを退けても、戦いは終わっていない。


 むしろ、ここからが本当の始まりなのだ。


「世界を巡る旅になります。」


「神代から続く使命を継ぐ者として。」


「あなたたちに、その覚悟はありますか?」


 ビルセイヤは仲間たちを見た。


 セシリアは力強くうなずき、


 エミリアは穏やかに微笑み、


 ツバサは剣の柄へ手を添え、


 フィリアは胸へ手を当て、


 リシアは小さく拳を握る。


 皆の答えは一つだった。


 ビルセイヤは白枝を静かに握り締める。


「あります。」


「俺たちは、この世界を守ります。」


 その言葉に応えるように、蒼天霊樹は大きく枝葉を揺らした。


 ――風が、世界中へと吹き抜けていく。


 それは、新たな旅立ちを祝福する神代の風だった。

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