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異世界転移したら刀鍛冶だった。気づけば英雄になり、最後は創造神になっていた件  作者: バモス
第二章 鍛冶革命編

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第八十八話 国王との謁見

 ウィル王太子の案内を受け、ビルセイヤたちは王城の中を進んでいた。


 磨き上げられた大理石の床。

 豪華な装飾が施された白亜の柱。

 壁には、歴代国王や英雄たちの肖像画が並んでいる。


 さすがはアルティア王国の中心――王城だ。


 地方の領主館とは比べ物にならないほど、壮麗で気品に満ちていた。


「緊張してきました……」


 エミリアが小声で呟く。


 無理もない。

 これから会うのは、一国を治める国王なのだ。


「大丈夫よ」


 隣を歩くセシリアが、柔らかく微笑んだ。


「ライオット陛下は、厳しい方というより……懐の深い方だから」


「そうなんですか?」


「ええ。少なくとも、いきなり怒鳴りつけたりするような方じゃないわ」


 その会話を聞いていたアイリスが、ぱっと顔を輝かせる。


「そうです! お父様はとっても良い人なんですよ!」


 そして胸を張り――次の瞬間には、少しだけ頬を膨らませた。


「ただ、少しだけ過保護なだけです!」


「誰のせいだと思っているんだ……」


 ウィルが額に手を当てる。


 その声音には、呆れと慣れが半分ずつ混じっていた。


 ビルセイヤたちは思わず苦笑する。


 どうやら以前と変わらず、アルティア王家は賑やからしい。


 やがて一行は、ひときわ大きな扉の前へと辿り着いた。


 謁見の間。


 左右には、鎧に身を包んだ騎士たちが整然と並んでいる。


「失礼します」


 ウィルが一礼し、重厚な扉がゆっくりと開かれた。


 高い天井。

 真紅の絨毯。

 玉座へと続く長い通路。


 そして、その先――。


 黄金の玉座に腰掛けていたのは、一人の男性だった。


 ライオット・アルティア。


 アルティア王国国王、その人である。


 年の頃は四十代後半。

 王としての威厳を感じさせながらも、どこか温かみを帯びた眼差しを持つ男だった。


 その隣には、二人の女性が座っている。


 第一王妃ミリア・アルティア。

 そして第二王妃シズク・アルティア。


 さらに少し離れた位置には、一人の美しい女性が立っていた。


 第一王女シリス・アルティア。


 優雅な微笑みを浮かべながら、静かにこちらを見つめている。


「よく来てくれた」


 ライオット国王が穏やかな声で告げた。


「ビルセイヤ殿、セシリア殿、ツバサ殿、エミリア殿」


「面を上げてほしい」


 ビルセイヤたちは礼を取り、ゆっくりと顔を上げる。


 すると――。


 ライオット国王の視線が、ビルセイヤへと向けられた。


 じっと見つめる。


 まるで品定めというより、人柄を見極めるような眼差しだった。


 そして、数秒後。


「……なるほど」


 国王は、どこか納得したように頷いた。


「……?」


 ビルセイヤが首を傾げる。


 その瞬間、隣にいたアイリスが慌てて声を上げた。


「お、お父様!?」


「な、何を納得しているんですか!?」


 見る見るうちに顔が赤くなっていく。


 その様子を見て、シリスが口元を隠しながら上品に笑った。


「ふふっ……」


 そして、楽しげに目を細める。


「なるほど。本当に素敵な方ですわね」


「お、お姉様まで!?」


 アイリスの顔がさらに真っ赤になる。


 謁見の間の空気が、ふっと和らいだ。


 その光景を見ながら、ウィルが深々とため息を吐く。


「相変わらずだな……」


 完全に苦労人の声だった。


 第一王妃ミリアも、どこか微笑ましそうに笑っている。

 第二王妃シズクに至っては、娘を温かく見守る目そのものだ。


 ライオット国王は軽く咳払いを一つして、場を整えた。


「さて」


 その一言で、空気が変わる。


 先ほどまでの父親の顔ではない。

 王国を治める王としての顔だった。


「本題に入ろう」


 国王の眼差しが、ビルセイヤたち四人へ向けられる。


「古代神殿で何があったのか」


「詳しく聞かせてほしい」


 空気が一気に引き締まった。


 ビルセイヤたちも自然と表情を改める。


 英雄アークレイド。

 異界の魔神。

 そして、千年前の戦い。


 自分たちが見てきた全てを語る時が来たのだ。


 ビルセイヤは一歩前へ出る。


「……承知しました」


 静かに息を吸う。


 あの古代神殿で起きたことは、もはや一冒険者だけの問題ではない。

 王国の歴史に関わる出来事だ。


 そして――。


 この報告が、王家に代々受け継がれてきた建国の秘密へと繋がっていくことを、まだこの時のビルセイヤたちは知らなかった。


第二章 第八十八話


国王との謁見


――続く。

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