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異世界転移したら刀鍛冶だった。気づけば英雄になり、最後は創造神になっていた件  作者: バモス
鍛冶革命編

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第八十七話 王都アルティアへの帰還

 王家の馬車による旅は驚くほど順調だった。


◇◇◇


 アルティア王家直属騎士団の護衛が付いていることもあり、盗賊が近付くことはない。


◇◇◇


 魔物も騎士団の気配を察しているのか、遠くから姿を見せるだけだった。


◇◇◇


 こうして五日間の旅は大きな問題もなく進み――。


◇◇◇


 五日目の昼過ぎ。


◇◇◇


「見えてまいりました」


◇◇◇


 騎士の声が馬車の外から聞こえてきた。


◇◇◇


 ビルセイヤたちは窓の外を覗く。


◇◇◇


 そして。


◇◇◇


「おお……」


◇◇◇


 エミリアが思わず声を漏らした。


◇◇◇


 地平線の彼方に巨大な城壁がそびえ立っている。


◇◇◇


 アルティア王都。


◇◇◇


 アルティア王国最大の都市であり、政治・経済・文化の中心地。


◇◇◇


 王国の心臓部とも呼ばれる場所だった。


◇◇◇


「何度見ても大きいな」


◇◇◇


 ツバサも感心したように呟く。


◇◇◇


 高くそびえる白亜の城壁。


◇◇◇


 巨大な城門。


◇◇◇


 その周囲を行き交う無数の人々。


◇◇◇


 地方都市とは比べものにならない規模である。


◇◇◇


 やがて馬車は城門へ到着した。


◇◇◇


 側面に刻まれたアルティア王家の紋章を確認した門兵たちは、即座に道を開ける。


◇◇◇


 王家専用馬車。


◇◇◇


 それだけで最優先通行が認められるのだ。


◇◇◇


 馬車は王都の大通りを進んでいく。


◇◇◇


 石畳の道路。


◇◇◇


 整然と並ぶ商店。


◇◇◇


 美しい噴水広場。


◇◇◇


 露店から漂う香ばしい匂い。


◇◇◇


 多くの人々で賑わう活気ある街並み。


◇◇◇


「相変わらず賑やかね」


◇◇◇


 セシリアが微笑む。


◇◇◇


 だが馬車は街の中心部を抜け、そのまま王城区画へと向かう。


◇◇◇


 そして。


◇◇◇


 巨大な白亜の城が姿を現した。


◇◇◇


 アルティア王城。


◇◇◇


 王国の象徴。


◇◇◇


 建国以来、歴代国王が統治を行ってきた場所である。


◇◇◇


 やがて馬車が停止する。


◇◇◇


 王城正門前。


◇◇◇


 そこには王国騎士たちが整列していた。


◇◇◇


「到着いたしました」


◇◇◇


 騎士が扉を開く。


◇◇◇


 ビルセイヤたちは馬車から降り立った。


◇◇◇


 その瞬間だった。


◇◇◇


「ビルセイヤさん!」


◇◇◇


 聞き覚えのある明るい声が響く。


◇◇◇


 次の瞬間。


◇◇◇


 一人の少女が駆け寄ってきた。


◇◇◇


 陽光を受けて輝く金髪。


◇◇◇


 透き通るような青い瞳。


◇◇◇


 白と青を基調とした気品あるドレス。


◇◇◇


 アルティア王国第二王女。


◇◇◇


 アイリス王女だった。


◇◇◇


「お久しぶりです!」


◇◇◇


 満面の笑顔だった。


◇◇◇


 まるで友人との再会を喜ぶ少女そのもの。


◇◇◇


 王族らしい威厳などどこにもない。


◇◇◇


「アイリス王女」


◇◇◇


 ビルセイヤが軽く頭を下げる。


◇◇◇


「お久しぶりです」


◇◇◇


「聞きましたよ!」


◇◇◇


 アイリスは興奮を隠せない様子だった。


◇◇◇


「古代神殿の冒険!」


◇◇◇


「英雄アークレイド様!」


◇◇◇


「本当に会ったんですよね!?」


◇◇◇


 矢継ぎ早に質問が飛んでくる。


◇◇◇


 相変わらずだった。


◇◇◇


 王女でありながら冒険譚が大好きな性格は全く変わっていない。


◇◇◇


「アイリス」


◇◇◇


 落ち着いた声が響いた。


◇◇◇


 少女の後ろから一人の青年が歩いてくる。


◇◇◇


 金髪碧眼。


◇◇◇


 整った顔立ち。


◇◇◇


 白を基調とした王族の礼装。


◇◇◇


 アルティア王国第一王子。


◇◇◇


 王太子ウィルだった。


◇◇◇


「久しぶりだな、ビルセイヤ」


◇◇◇


 穏やかな笑みを浮かべる。


◇◇◇


 第三十七話で出会った時と変わらぬ好青年だった。


◇◇◇


「お久しぶりです、ウィル王子」


◇◇◇


 ビルセイヤが礼をする。


◇◇◇


 するとウィルは苦笑した。


◇◇◇


「そんなに堅苦しくしなくていい」


◇◇◇


「以前も言っただろう?」


◇◇◇


「そうでしたね」


◇◇◇


 ビルセイヤも思わず笑う。


◇◇◇


 王族でありながら気さくな人物。


◇◇◇


 それがウィル王子だった。


◇◇◇


 そして。


◇◇◇


 ウィルの口元が楽しそうに緩む。


◇◇◇


「ところで」


◇◇◇


「約束は覚えているか?」


◇◇◇


 やはりその話だった。


◇◇◇


 ビルセイヤは苦笑する。


◇◇◇


「剣の試合ですね」


◇◇◇


「もちろんだ」


◇◇◇


 ウィルは即答した。


◇◇◇


「次に会った時は剣を交える約束だったからな」


◇◇◇


「忘れるはずがない」


◇◇◇


 剣士同士の約束。


◇◇◇


 それは互いにとって大切なものだった。


◇◇◇


「公務が落ち着いたら訓練場を借りよう」


◇◇◇


「その時は王太子ではなく、一人の剣士として相手をしてもらう」


◇◇◇


「望むところです」


◇◇◇


 ビルセイヤが答える。


◇◇◇


 二人は笑い合った。


◇◇◇


 その様子を見ていたアイリスが頬を膨らませる。


◇◇◇


「お兄様ばっかりずるいです!」


◇◇◇


「私も冒険のお話を聞きたいんですよ!」


◇◇◇


 その言葉にセシリアたちも思わず笑った。


◇◇◇


 懐かしい再会だった。


◇◇◇


 しかし。


◇◇◇


 和やかな時間は長く続かなかった。


◇◇◇


 ウィルの表情が少しだけ引き締まる。


◇◇◇


「父上がお待ちだ」


◇◇◇


 ビルセイヤたちも自然と表情を改めた。


◇◇◇


「国王陛下が?」


◇◇◇


「そうだ」


◇◇◇


 ウィルは静かに頷く。


◇◇◇


「古代神殿の件について直接話を聞きたいそうだ」


◇◇◇


 ついに来た。


◇◇◇


 アルティア王国国王との謁見。


◇◇◇


 そして――。


◇◇◇


 英雄アークレイド。


◇◇◇


 異界の魔神。


◇◇◇


 王家に伝わる建国神話。


◇◇◇


 それらに関する何かが、この王城には眠っているかもしれない。


◇◇◇


 ビルセイヤは白亜の王城を見上げた。


◇◇◇


 英雄の遺志に導かれるように。


◇◇◇


 新たな運命の扉が、静かに開こうとしていた。


第二章 第八十七話


「王都アルティアへの帰還」


――続く。

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