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異世界転移したら刀鍛冶だった。気づけば英雄になり、最後は創造神になっていた件  作者: バモス
鍛冶革命編

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第八十六話 王都アルティアへの帰路

 アルティア王家からの召喚状が届いてから三日後。


 ビルセイヤたちは、街の正門前に集まっていた。


 早朝。

 空は澄み渡り、雲一つない。


 絶好の旅立ち日和だった。


「本当に来たな……」


 ツバサが感心したように呟く。


 視線の先には、豪華な馬車が停まっていた。


 白を基調とした美しい車体。

 側面には、翼を広げた聖鳥と王冠の紋章。


 アルティア王家の紋章である。


 さらに、馬車の周囲には護衛騎士が六名。

 全員が王国直属の騎士だった。


「本当に国王陛下からの招待なんですね……」


 エミリアが緊張した様子で呟く。


 これまで王都へ行ったことはあっても、王家の馬車に乗る機会など当然ない。


 セシリアも苦笑していた。


「私も少し緊張してるわ」


 すると――。


「お前たち」


 ギルドマスターが歩いてきた。


 その後ろには、顔見知りの冒険者たちもいる。


「見送りに来てくれたんですか?」


 ビルセイヤが尋ねると、ギルドマスターは鼻を鳴らした。


「当たり前だろうが」


 そして、腕を組む。


「うちの期待株が王都へ呼ばれたんだ。見送らない理由がねぇ」


 周囲の冒険者たちも口々に声を上げる。


「王都でも暴れるなよ!」


「いや、むしろ暴れて有名になれ!」


「戻ってきたら酒奢れよ!」


 好き勝手なことばかり言っている。


 だが、その声には確かな親しみがあった。


 ビルセイヤたちは自然と笑顔になる。


「ありがとうございます」


 セシリアが頭を下げる。


 エミリアも続き、ツバサは照れ臭そうに頭を掻いていた。


 その時、ギルドマスターがビルセイヤを呼び止めた。


「少し来い」


 二人は、少し離れた場所へ移動する。


 ギルドマスターは真剣な表情で口を開いた。


「王都は地方とは違う」


「はい」


「貴族も王族もいる。面倒事も多い」


 その声には、普段の豪快さとは違う重みがあった。


「覚えておけ」


 ギルドマスターは、ビルセイヤをまっすぐ見据える。


「お前は冒険者だ。誰かの駒になるな」


 ビルセイヤは静かに頷いた。


「分かっています」


「ならいい」


 ギルドマスターは、そこでようやく笑った。


「それと」


「はい」


「無事に帰ってこい」


 短い言葉だった。


 だが、何より嬉しかった。


「はい」


 ビルセイヤは力強く頷く。


「必ず」


 二人は固く握手を交わした。


 そして――出発の時間が来る。


 騎士が馬車の扉を開いた。


「お待たせしました。王都アルティアまで、五日の旅となります」


 五日。


 決して短い旅ではない。


 だが今回は王国騎士の護衛付きだ。

 危険は少ないだろう。


 ビルセイヤたちは馬車へ乗り込む。


 内装は驚くほど豪華だった。


 柔らかな座席。

 魔道具による空調。

 小さなテーブル。


 揺れまで抑えられているのか、座っただけで普通の馬車とは違うと分かる。


「すご……」


 エミリアが目を輝かせた。


「貴族って、いつもこんな馬車に乗っているんですか?」


「いや、これは王家専用だから特別だと思うぞ」


 ツバサが苦笑しながら答える。


 やがて馬車がゆっくりと動き出した。


 街の門が遠ざかる。

 見送りの人々が手を振っている。


 ビルセイヤも窓から手を振り返した。


 これまでの冒険。

 古代神殿。

 アークレイドとの出会い。

 異界の魔神との戦い。


 全てが、少しずつ遠ざかっていく。


 だが――本当の意味では終わっていない。


 アークレイドが最後に残した言葉。


『この世界は広い』


『そして、お前が思う以上に深い』


 その意味を知る旅が、今まさに始まろうとしている。


 王都アルティア。


 王国最大の都市。

 政治、経済、文化の中心地。

 そして、数々の秘密が眠る場所。


 ビルセイヤは窓の外を見つめた。


 青空の向こうにある未来を思いながら。


 新たな物語の幕が、静かに上がろうとしていた。


第二章 第八十六話


王都への帰路


――続く。

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