第五十七話 レッドオーガ討伐
北部鉱山最深部――。
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広大な採掘場には重苦しい緊張感が漂っていた。
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岩壁の一角に追い詰められた十数名の採掘員たち。
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その前に立ちはだかる巨大な魔物。
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レッドオーガ。
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オーガの上位種に分類される強敵であり、Bランク冒険者でも単独討伐は困難とされる魔物だ。
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身長は三メートルを超える。
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赤黒い筋肉が隆起した巨体。
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巨大な棍棒。
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そして血走った双眸。
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まさに怪物と呼ぶに相応しい姿だった。
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だが。
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ビルセイヤが注目していたのは、その強大な肉体ではない。
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首に装着された黒い首輪だった。
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蛇の紋章。
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盗賊たちが持っていたものと同じ意匠。
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偶然であるはずがない。
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「やはり繋がっているか……」
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ビルセイヤは静かに呟いた。
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その時だった。
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「グオオオオオオオオオッ!!」
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レッドオーガが咆哮する。
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轟音が坑道全体を揺らした。
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採掘員たちが震え上がる。
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「ひっ……!」
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「た、助けてくれ……」
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「まだ死にたくない……」
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恐怖に顔を歪める彼らへ、ビルセイヤは振り返った。
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「安心しろ」
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静かな声だった。
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だが不思議な力がある。
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「必ず助ける」
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たったそれだけの言葉。
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それでも採掘員たちの表情から僅かに恐怖が薄れた。
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この男なら大丈夫だ。
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そう思わせる何かがあった。
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そして。
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レッドオーガが動く。
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巨大な棍棒を振り上げた。
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普通の冒険者なら回避すら難しい速度。
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だが。
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ビルセイヤは半歩だけ動いた。
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ドゴォォォォン!!
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棍棒が地面へ叩き付けられる。
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岩盤が砕ける。
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破片が飛び散る。
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しかしビルセイヤは無傷だった。
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「遅い」
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次の瞬間。
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剣閃が走る。
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ズバッ!!
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レッドオーガの腕に深い傷が刻まれた。
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「グガァァァァァッ!?」
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苦悶の咆哮。
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鮮血が飛び散る。
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だが致命傷ではない。
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上位種だけあって生命力は高い。
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しかしビルセイヤは焦らない。
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冷静に観察していた。
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特に首輪を。
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あれが魔物を操る道具なら回収したい。
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黒幕へ繋がる重要な証拠になるはずだ。
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「セシリア!」
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「任せて!」
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セシリアが採掘員たちの前へ飛び出す。
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レッドオーガだけではない。
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周囲にはゴブリンやコボルトも残っていた。
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それらが採掘員へ近付こうとしている。
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「させないわ!」
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鋭い踏み込み。
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一閃。
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ゴブリンが倒れる。
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返す刃でコボルトも薙ぎ払う。
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Bランク冒険者の実力は伊達ではない。
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一方。
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「ツバサ!」
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「ああ!」
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ツバサも魔物の群れへ飛び込む。
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日本刀が抜き放たれた。
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キィィン――。
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澄み切った音が響く。
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ビルセイヤに研ぎ上げられた愛刀。
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その切れ味は既に別格だった。
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オークの棍棒を受ける。
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いや。
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受けたのではない。
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斬った。
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真っ二つになった棍棒が地面へ転がる。
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「グォッ!?」
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驚愕したオークの首へ追撃。
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一撃で戦闘不能にする。
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「凄まじいな……」
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ツバサ自身が驚いていた。
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刀の性能が以前とは比較にならない。
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一流の鍛冶師が手を入れるだけで、ここまで変わるものなのか。
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後方ではエミリアが魔法を放つ。
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「アイス・ランス!」
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巨大な氷槍が生成される。
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そして一直線に飛翔。
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レッドオーガの脚へ突き刺さった。
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「グガァァァァッ!!」
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巨体が大きく揺れる。
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体勢が崩れた。
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その瞬間。
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ビルセイヤの瞳が鋭く光る。
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「今だ」
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地面を蹴った。
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一瞬で懐へ潜り込む。
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レッドオーガは反応できない。
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そして。
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剣が閃いた。
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ズバァァァァァッ!!
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鮮血が舞う。
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巨大な首が宙を飛んだ。
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一瞬の静寂。
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次の瞬間。
◇◇◇
ドォォォォォン!!
◇◇◇
巨体が地面へ倒れ込む。
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採掘場全体が震えた。
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レッドオーガ討伐。
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戦闘終了だった。
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「た、助かった……」
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採掘員の一人が膝から崩れ落ちる。
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涙を流す者もいた。
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誰もが死を覚悟していたのだ。
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ビルセイヤは倒れたレッドオーガへ歩み寄る。
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そして首輪を外した。
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黒い金属。
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蛇の紋章。
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やはり同じだ。
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「黒幕は確実に存在するな」
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ツバサが近付く。
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「盗賊も魔物も利用している」
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セシリアも険しい表情で頷いた。
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「しかも計画的にね」
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その時だった。
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カチリ――。
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小さな音が響く。
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ビルセイヤの表情が変わった。
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「離れろ!」
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鋭い声が飛ぶ。
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全員が反射的に飛び退いた。
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直後。
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バキィィィン!!
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首輪が砕け散る。
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黒い破片が周囲へ飛び散った。
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そして。
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一枚の金属片だけが地面へ落ちる。
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ビルセイヤは慎重に拾い上げた。
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そこには文字が刻まれている。
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『計画は順調』
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短い文章。
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だが、その意味は重かった。
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全員の表情が険しくなる。
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計画。
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つまり今回の事件は偶発的なものではない。
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誰かが意図的に仕組んでいる。
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しかもまだ終わっていない。
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ビルセイヤは金属片を握り締めた。
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黒幕は近い。
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そしてオーガスで起きている全ての事件は、これからさらに大きな陰謀へ繋がっていくのだった。
第二章 第五十七話
「レッドオーガ討伐」
――続く。




