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異世界転移したら刀鍛冶だった。気づけば英雄になり、最後は創造神になっていた件  作者: バモス
鍛冶革命編

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第五十七話 レッドオーガ討伐

 北部鉱山最深部――。


◇◇◇


 広大な採掘場には重苦しい緊張感が漂っていた。


◇◇◇


 岩壁の一角に追い詰められた十数名の採掘員たち。


◇◇◇


 その前に立ちはだかる巨大な魔物。


◇◇◇


 レッドオーガ。


◇◇◇


 オーガの上位種に分類される強敵であり、Bランク冒険者でも単独討伐は困難とされる魔物だ。


◇◇◇


 身長は三メートルを超える。


◇◇◇


 赤黒い筋肉が隆起した巨体。


◇◇◇


 巨大な棍棒。


◇◇◇


 そして血走った双眸。


◇◇◇


 まさに怪物と呼ぶに相応しい姿だった。


◇◇◇


 だが。


◇◇◇


 ビルセイヤが注目していたのは、その強大な肉体ではない。


◇◇◇


 首に装着された黒い首輪だった。


◇◇◇


 蛇の紋章。


◇◇◇


 盗賊たちが持っていたものと同じ意匠。


◇◇◇


 偶然であるはずがない。


◇◇◇


「やはり繋がっているか……」


◇◇◇


 ビルセイヤは静かに呟いた。


◇◇◇


 その時だった。


◇◇◇


「グオオオオオオオオオッ!!」


◇◇◇


 レッドオーガが咆哮する。


◇◇◇


 轟音が坑道全体を揺らした。


◇◇◇


 採掘員たちが震え上がる。


◇◇◇


「ひっ……!」


◇◇◇


「た、助けてくれ……」


◇◇◇


「まだ死にたくない……」


◇◇◇


 恐怖に顔を歪める彼らへ、ビルセイヤは振り返った。


◇◇◇


「安心しろ」


◇◇◇


 静かな声だった。


◇◇◇


 だが不思議な力がある。


◇◇◇


「必ず助ける」


◇◇◇


 たったそれだけの言葉。


◇◇◇


 それでも採掘員たちの表情から僅かに恐怖が薄れた。


◇◇◇


 この男なら大丈夫だ。


◇◇◇


 そう思わせる何かがあった。


◇◇◇


 そして。


◇◇◇


 レッドオーガが動く。


◇◇◇


 巨大な棍棒を振り上げた。


◇◇◇


 普通の冒険者なら回避すら難しい速度。


◇◇◇


 だが。


◇◇◇


 ビルセイヤは半歩だけ動いた。


◇◇◇


 ドゴォォォォン!!


◇◇◇


 棍棒が地面へ叩き付けられる。


◇◇◇


 岩盤が砕ける。


◇◇◇


 破片が飛び散る。


◇◇◇


 しかしビルセイヤは無傷だった。


◇◇◇


「遅い」


◇◇◇


 次の瞬間。


◇◇◇


 剣閃が走る。


◇◇◇


 ズバッ!!


◇◇◇


 レッドオーガの腕に深い傷が刻まれた。


◇◇◇


「グガァァァァァッ!?」


◇◇◇


 苦悶の咆哮。


◇◇◇


 鮮血が飛び散る。


◇◇◇


 だが致命傷ではない。


◇◇◇


 上位種だけあって生命力は高い。


◇◇◇


 しかしビルセイヤは焦らない。


◇◇◇


 冷静に観察していた。


◇◇◇


 特に首輪を。


◇◇◇


 あれが魔物を操る道具なら回収したい。


◇◇◇


 黒幕へ繋がる重要な証拠になるはずだ。


◇◇◇


「セシリア!」


◇◇◇


「任せて!」


◇◇◇


 セシリアが採掘員たちの前へ飛び出す。


◇◇◇


 レッドオーガだけではない。


◇◇◇


 周囲にはゴブリンやコボルトも残っていた。


◇◇◇


 それらが採掘員へ近付こうとしている。


◇◇◇


「させないわ!」


◇◇◇


 鋭い踏み込み。


◇◇◇


 一閃。


◇◇◇


 ゴブリンが倒れる。


◇◇◇


 返す刃でコボルトも薙ぎ払う。


◇◇◇


 Bランク冒険者の実力は伊達ではない。


◇◇◇


 一方。


◇◇◇


「ツバサ!」


◇◇◇


「ああ!」


◇◇◇


 ツバサも魔物の群れへ飛び込む。


◇◇◇


 日本刀が抜き放たれた。


◇◇◇


 キィィン――。


◇◇◇


 澄み切った音が響く。


◇◇◇


 ビルセイヤに研ぎ上げられた愛刀。


◇◇◇


 その切れ味は既に別格だった。


◇◇◇


 オークの棍棒を受ける。


◇◇◇


 いや。


◇◇◇


 受けたのではない。


◇◇◇


 斬った。


◇◇◇


 真っ二つになった棍棒が地面へ転がる。


◇◇◇


「グォッ!?」


◇◇◇


 驚愕したオークの首へ追撃。


◇◇◇


 一撃で戦闘不能にする。


◇◇◇


「凄まじいな……」


◇◇◇


 ツバサ自身が驚いていた。


◇◇◇


 刀の性能が以前とは比較にならない。


◇◇◇


 一流の鍛冶師が手を入れるだけで、ここまで変わるものなのか。


◇◇◇


 後方ではエミリアが魔法を放つ。


◇◇◇


「アイス・ランス!」


◇◇◇


 巨大な氷槍が生成される。


◇◇◇


 そして一直線に飛翔。


◇◇◇


 レッドオーガの脚へ突き刺さった。


◇◇◇


「グガァァァァッ!!」


◇◇◇


 巨体が大きく揺れる。


◇◇◇


 体勢が崩れた。


◇◇◇


 その瞬間。


◇◇◇


 ビルセイヤの瞳が鋭く光る。


◇◇◇


「今だ」


◇◇◇


 地面を蹴った。


◇◇◇


 一瞬で懐へ潜り込む。


◇◇◇


 レッドオーガは反応できない。


◇◇◇


 そして。


◇◇◇


 剣が閃いた。


◇◇◇


 ズバァァァァァッ!!


◇◇◇


 鮮血が舞う。


◇◇◇


 巨大な首が宙を飛んだ。


◇◇◇


 一瞬の静寂。


◇◇◇


 次の瞬間。


◇◇◇


 ドォォォォォン!!


◇◇◇


 巨体が地面へ倒れ込む。


◇◇◇


 採掘場全体が震えた。


◇◇◇


 レッドオーガ討伐。


◇◇◇


 戦闘終了だった。


◇◇◇


「た、助かった……」


◇◇◇


 採掘員の一人が膝から崩れ落ちる。


◇◇◇


 涙を流す者もいた。


◇◇◇


 誰もが死を覚悟していたのだ。


◇◇◇


 ビルセイヤは倒れたレッドオーガへ歩み寄る。


◇◇◇


 そして首輪を外した。


◇◇◇


 黒い金属。


◇◇◇


 蛇の紋章。


◇◇◇


 やはり同じだ。


◇◇◇


「黒幕は確実に存在するな」


◇◇◇


 ツバサが近付く。


◇◇◇


「盗賊も魔物も利用している」


◇◇◇


 セシリアも険しい表情で頷いた。


◇◇◇


「しかも計画的にね」


◇◇◇


 その時だった。


◇◇◇


 カチリ――。


◇◇◇


 小さな音が響く。


◇◇◇


 ビルセイヤの表情が変わった。


◇◇◇


「離れろ!」


◇◇◇


 鋭い声が飛ぶ。


◇◇◇


 全員が反射的に飛び退いた。


◇◇◇


 直後。


◇◇◇


 バキィィィン!!


◇◇◇


 首輪が砕け散る。


◇◇◇


 黒い破片が周囲へ飛び散った。


◇◇◇


 そして。


◇◇◇


 一枚の金属片だけが地面へ落ちる。


◇◇◇


 ビルセイヤは慎重に拾い上げた。


◇◇◇


 そこには文字が刻まれている。


◇◇◇


『計画は順調』


◇◇◇


 短い文章。


◇◇◇


 だが、その意味は重かった。


◇◇◇


 全員の表情が険しくなる。


◇◇◇


 計画。


◇◇◇


 つまり今回の事件は偶発的なものではない。


◇◇◇


 誰かが意図的に仕組んでいる。


◇◇◇


 しかもまだ終わっていない。


◇◇◇


 ビルセイヤは金属片を握り締めた。


◇◇◇


 黒幕は近い。


◇◇◇


 そしてオーガスで起きている全ての事件は、これからさらに大きな陰謀へ繋がっていくのだった。


第二章 第五十七話


「レッドオーガ討伐」


――続く。

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