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0、はじまり
今からおよそ三千年前。
世界はすべて、神々の統治のもとにあった。
大地は豊穣に満ち、海は静まり、空は常に均衡を保っていた。
だがその完璧さの裏で、万物を管理し続ける神々の心には、言いようのない「倦怠」が静かに積もっていった。
永遠に近い時の中で、神々はやがて気づく。不死の己らがすべてを整えるよりも、限りある命を持つ人間たちが、自らの意志で道を切り拓く姿こそが、この世界により“輝き”をもたらすのではないか、と。
神々がその決断を下した日、天界の雲は黄金色に染まり、地上にはかつてないほど清らかな風が吹き抜けた。
そして神々は、自らの権能を直接振るうことをやめる。
その代わりとして神の力をこの世に繋ぐ「依代」を定めた。
─それが、最も神に近い力を持つ人間。後に「巫」と呼ばれる存在である。




