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第4話 羅北へ

挿絵(By みてみん)


第4話 羅北へ


偶然とは、時に腹立たしいほど都合よく転がることがある。


まちるにとって、エアノーレとの同行は、災難であり、厄介事であり、そして――認めたくはないが、渡りに船でもあった。


ものは考えようである。


白樺の水辺で倒れていた、星から来たという奇妙な女。


自分を殺そうとした相手を宿まで運ぶ羽目になった時、まちるは心底、面倒なものを拾ったと思った。


だが、夜が明けてみれば、その面倒は別の顔を見せ始めていた。


まちるの本仕事は、止まりかけていた。


まちるは開拓使測量課の後続水準測量班、第四班――通称、雨宮班の一員だった。


本隊の三角測量が押さえた土地を追い、沢の高低差、橋を架けられる川、荷車の通れる勾配、雨で崩れる地盤を歩いて確かめる。


地図の骨を作るのが本隊なら、まちるたちの役目は、その骨の上に、人が通れる道を探すことだった。


だが、標尺を持つ相方が沢で足を悪くし、そのまま本州へ戻ってしまった。


二人一組で動くはずの第四班は、今や名ばかりの班だった。


残っているのは、まちる一人。


補充はまだ来ない。


雨宮班は、半ば待機状態だった。


そして、もう一つ。


父、雨宮森蔵が遺した未完の地図。


測量帳には、普通の測量線とは別の印が残されている。


針筋。

水辺。

E番号。


地図に載らない、何か。


まちるは以前から、本仕事の合間を縫って、その印を追っていた。


針が乱れる場所を探す。

三脚に羅針盤を据える。

針の引かれる方向を線にする。

歩き直す。

測り直す。

また針を見る。


非効率だった。


見つけた器物の正体も分からない。


ただ父の残した線を、なぞるしかなかった。


そこへ、エアノーレが現れた。


標尺を持たせれば、本仕事が進む。

星衣核が反応すれば、父の地図の続きを追える。


本仕事にも。

裏仕事にも。


認めたくはないが、あの白い女は、都合が良すぎた。



昨日の夜、条件だの任務だのと言い合って、二人と一匹は北へ向かうことを決めた。


だが、旅というものは、決めただけでは始まらない。


道具を確かめ、荷をまとめ、今日歩く理由をひとつずつ背負わなければならない。


朝。


旅籠「清風亭」を出る前に、まちるは裏手へ回った。


夜のうちに降りた露が、まだ草の先に残っていた。

軒下の草は湿り、吐いた白い息が、薄い朝靄に混じっていく。


まちるは木箱の蓋を開け、水準儀を確かめる。


くすんだ真鍮の筒。

調整ネジ。

小さな気泡管。


父の代から使っている、古いが手入れの行き届いた器械だった。


その横で、エアノーレは藍色のローブを羽織り、星律棍を杖代わりに立っていた。


まだ、姿勢が少し重い。


本来なら、地球の重力をほとんど意識せずに立てるはずの星衣も、今は彼女を倒れないよう支えるのが精いっぱいらしい。


まちるは器械箱を閉じ、横目で見る。


「歩けるか」


「可能です」


「その“可能”ってのは、どのくらい信用していいんだ」


「現在の星衣核出力であれば、短距離歩行は継続可能です。ただし、長距離移動、急勾配、連続戦闘、跳躍、重力補正を伴う姿勢制御に関しては――」


「待て。聞いた私が悪かった」


エアノーレは口を閉じた。


まちるは三脚を背負い直す。


「要するに、倒れずに歩けるんだな」


「はい」


「最初からそれでいい」


「情報を省略すると、判断精度が低下します」


「人間は毎回そんなに精密に判断してない」


エアノーレは少し考えた。


「それは危険では?」


「危険でも、それで回ってるんだよ。地球は」


「地球の運用は雑です」


「お前に言われると腹立つな」


「腹立たせる意図はありません」


「だから余計に腹立つ」


「難解です」


「慣れろ」


エアノーレは真面目に頷いた。


「慣れる努力をします」


「努力で済むといいな」



ハクが荷袋へ鼻先を突っ込んでいた。


何か食べ物が入っていないか探っているらしい。


エアノーレがそれをじっと見る。


「……小型生物が荷物に侵入しています」


「ハクだ」


「ハクさんは、荷物への侵入を許可されているのですか」


「許可はしてない」


「では不正侵入です」


「そういう言い方をするな」


ハクが顔を出し、まちるの肩へ駆け上がった。


エアノーレは、ハクを観察しながら続ける。


「この個体は、あなたの補助個体ですか」


「相棒だ」


「相棒」


「そう。ハクはハクだ。補助個体じゃない」


「理解しました。バグさんの相棒のハクさんですね」


まちるの動きが止まった。


「……今、なんて?」


「バグさんの相棒のハクさん、と」


「誰がバグさんだ」


「第1遭遇時、あなたは既存識別網に存在しない未定義個体でした。バグのような状態でした」


「だからって人をバグとか呼ぶな」


ハクが、まちるの肩からエアノーレの袖へ飛び移り、ぺしぺし叩いた。


エアノーレは自分の袖を見る。


「抗議ですか」


「そうだ。ハクも怒ってる」


「ハクさんは、あなたをバグと呼ぶことに反対していますか」


ハクがぺしぺしを強めた。


「たぶんな」


「では訂正します」


エアノーレはまちるを見た。


「未定義さん」


「悪化してる」


「識別不能さん」


「もっと悪い」


「雨宮まちるさん」


「それでいい」


ハクが満足したように鳴いた。


エアノーレは小さく頷く。


「名称による関係性の安定を確認しました」


まちるはため息をつく。


「お前、人の名前を呼ぶだけで、なんでそんなに遠回りするんだ」


「名前は、分類よりも精度が低い場合があります」


「逆だ」


「逆ですか」


「名前で呼べ。分類は後でいい」


エアノーレは黙った。


そして、少しだけ遅れて言った。


「……まちる」


まちるは一瞬、横目で見る。


「何だ」


「先ほどの質問に、答え直します」


「先ほど?」


「歩けるか、という問いです」


エアノーレは、ほんの少しだけ言葉を選ぶようにしてから言った。


「歩けます」


まちるは小さく笑った。


「よし」


そこで、まちるはふと思い出したように訊いた。


「ところで、お前、英語は?」


エアノーレは、少しも迷わず答えた。


“I can speak English.”

(英語は話せます)


まちるは一瞬、目を細めた。


「……そこは普通に『話せる』って言えよ」


「合理的回答です。英語能力の有無を、英語によって提示しました」


「そういうところが、いちいち面倒なんだよ」


「不適切でしたか」


「いや、分かりやすくはあったけどさ」


まちるは水準儀の箱を閉じ、エアノーレを上から下まで見た。


銀白の髪。

青い瞳。

藍色のローブ。


白を基調にした装いを藍色のローブで覆ったところで、目立つものは目立つ。

銀白の髪も、青い瞳も、普通の旅人にはない静けさも、完全には隠しきれない。

それでも、何も羽織っていないよりはましだった。

見方によっては、どこか異国から来た女に見えなくもない。


開拓使の現場なら、少し目立つだけで済むかもしれない。


「よし。じゃあ行くぞ、エアノレ」


「エアノーレです」


「歩けるぐらいの元気があれば、訂正もできるんだな」


「それとこれとは別です」




__________________




開拓使の拠点は、村の外れにあった。


朝靄の中に、荷馬の鼻息が白く立つ。


丸太を運ぶ人夫の声。

水を汲む音。

誰かが英語で短く指示を飛ばす声。


測量器具を収めた小屋の前には、杭、標尺、巻尺、木箱が並んでいた。


まちるは三脚を背負い直し、まっすぐ小屋の方へ歩く。


エアノーレは半歩遅れてついてくる。


藍色のローブのおかげで白い星衣は大きく隠れていたが、それでも銀白の髪と青い瞳は目立った。


人夫の一人が振り返る。


「雨宮の娘だ」


「横のは誰だ」


「異国の娘か?」


「お雇い筋じゃねぇのか」


「標尺でも持つのかね」


「にしちゃ、綺麗すぎるな」


まちるは聞こえないふりをしようとして、少しだけ眉をひそめた。


昨日までなら、こうはならなかった。


村の者たちはエアノーレを見ても、どこか目が滑るように忘れていた。

見たはずなのに、覚えていない。

話したはずなのに、言葉が残らない。


だが今は違う。


視線が残る。

声が残る。

人の記憶の中に、エアノーレが普通に立っている。


それは、たぶん星衣核が壊れたせいだった。


エアノーレは小声で問う。


「観察されています」


「されるだろうな」


「隠蔽が不十分ですか」


「最初から変な旅人の設定だ。隠蔽じゃない」


「そうですか」


「そういえば昨日は、村の人間はあんたを忘れるとか言ってたよな」


エアノーレは一拍置いた。


「昨日までは、そうでした。ですが星衣核損傷により、星衣からの認識干渉波は停止しています」


「私には効かなかったやつか」


「はい。あなたには、当初から効果がありませんでした」


「すでに任務秘匿保持上、どうのこうの言ってる場合じゃないよな」


「星衣核が完全復旧すれば、周囲の記憶定着を後から薄めることは可能です」


「今はできないんだろ」


「はい」


「なら、堂々としてろ」


「堂々と」


「そうだ。開拓使には外国人が何人もいる。英語が喋れて、標尺を持って、私の後ろにいれば、だいたい何とかなる」


「だいたい」


「地球はだいたいで回ってる」


「やはり危険です」


「慣れろ」


挿絵(By みてみん)




エアノーレはローブの前を少し引き寄せた。


「この藍色の布は、あなたの母の形見でしたね」


「そうだ」


「外見隠蔽としては、十分ではないかもしれません」


「だろうな」


「ですが、星衣核反応の漏出は、わずかに緩和されています」


まちるは足を止めかけた。


「……それ、前にも言ってたな」


「はい」


「母さんのローブが、なんでそんなことできる」


「不明です」


「便利な言葉だな、不明」


「不明なものを明確とは言えません」


「それはそうだけど」


まちるは、ローブを見る。


母の形見。


それ以上の意味があるのかは、まだ分からない。


「汚すなよ」


「努力します」


「だから努力で済ませるな」


「では、汚しません」


「そうしろ」



「久世課長」


まちるが声をかけると、帳面を見ていた男が顔を上げた。


久世直継。


開拓使測量課の現場上長である。


鋭い目をした、痩せた男だった。


久世はまちるを見る。


次に、エアノーレを見る。


そして、その肩に掛かった藍色のローブで目を止めた。


ほんの一瞬。


だが、まちるは見逃さなかった。


「……何だ、その女は」


「助手です」


まちるは即答した。


久世の眉間に深い皺が刻まれる。


「人員の補充を待てと言ったはずだ。お前に代わりを探してこいとは言っていない」


久世は、エアノーレを上から下まで見た。


「勝手に人を連れて現場へ入れるな」


「待ってたら雪になります」


「まだ雪には早い」


「北の空は信用できません」


「天気の話をしているんじゃない」


「人手の話です」


「だから待てと言った」


「待っていたら、雨宮班が止まります」


「待つのも仕事だ。素人同然の者を、測量に使うな」


久世の声は冷たかった。


まちるは口を閉じた。


久世の言うことは正しい。


正しいからこそ、腹立たしかった。


「でも、止まったままでは進みません」


「測量は急ぐ仕事じゃない」


「開拓は急がせるくせに」


久世の目が細くなる。


「口が過ぎる」


「すみません」


謝りはした。


だが、まちるは引かなかった。


「でも、人がいれば進められます」


「だから、どこの馬の骨とも分からん者を現場へ入れるなと言っている」


エアノーレが静かに一礼した。


「エアノーレ・セリグナです」


「名前を聞いているんじゃない」


「所属を問われていますか」


「素性を問うている」


「この地の登録体系においては、説明が困難です」


まちるが即座に横から言う。


「倒れていたのを拾いました」


久世がまちるを見る。


「拾った?」


「白樺の水辺で」


「人を拾うな」


「倒れていたので」


本当は、倒れていた、だけではない。


倒した側でもある。


けれど、まちるはそれを飲み込んだ。


「倒れていたら誰でも拾うのか」


まちるは少し考えた。


「父なら、拾ったと思います」


久世は黙った。


その沈黙は、叱責ではなかった。


少しだけ、古いものが差し込んだような沈黙だった。


「……そういうところまで似なくていい」


久世は低く言った。



久世の視線が、再び藍色のローブへ向かう。


「その布」


まちるの指が、測量帳の端を握った。


「母のものです」


「……知っている」


まちるが顔を上げる。


「知ってるんですか」


久世はすぐには答えなかった。


遠い記憶を、言葉にするかどうか迷っているようだった。


「昔、森蔵さんの隣にいた人が、それを着ていた」


「母を、知ってるんですか」


「よく知っていたわけではない」


「でも、見たことはある」


「ある」


「どんな人でした」


久世はまちるを見た。


その目は厳しかったが、少しだけ柔らかかった。


「静かな人だった」


「それだけですか」


「それ以上は、今ここで話すことじゃない」


まちるは唇を結ぶ。


久世は話を切った。


「それで、雨宮。お前は、その女に何をさせるつもりだ」


「標尺を持たせます」


「測量経験は」


エアノーレが答える。


「ありません」


「やはり素人か。却下だ」


即答だった。


まちるが一歩出る。


「持つだけです」


「その“持つだけ”が難しいと言っている」


久世はエアノーレへ視線を向ける。


「標尺は棒ではない。傾けば狂う。目盛りを読み違えれば狂う。足場を間違えれば狂う。指示が通じなければ狂う。雨宮がどれだけ正確に器械を覗いても、標尺持ちが使えなければ測量は成立しない」


エアノーレは静かに聞いていた。


「理解しました」


「本当に理解したのか」


「標尺保持者は、測量系全体の誤差発生要因になり得ます」


久世が一瞬、言葉を止めた。


まちるも少し驚く。


「……今のは、誰に習った」


「習得記録はありません」


「じゃあなぜ言える」


「構造から推定しました」


久世の顔がさらに険しくなる。


「気味が悪いな」


まちるが小さく言う。


「そこは否定しません」


「否定してください」


エアノーレが抗議した。




そこへ、別の声が割り込んだ。


“Morning, Kuse. Trouble?”

(おはよう、久世。何か問題か?)


背の高い外国人技師が、外套の襟を直しながら歩いてきた。


挿絵(By みてみん)




ジェームズ・ロバート・ワッソン。


開拓使に招かれた外国人技術者の一人で、測量や土木、地図作成の技術支援に関わっている人物である。


明治の北海道開拓には、ワッソンだけでなく、モルレー・シンプソン・デーやベンジャミン・スミス・ライマンといった外国人技術者たちも関わっていた。


道を通す。

川を測る。

土地を区切る。

港を整える。

鉄道を敷く。


北の原野を開くには、日本の技術だけでなく、海の向こうから持ち込まれた知識と器械も必要だった。


日本側の技術官たちも、そうした知識を取り込みながら、日々の現場を動かしていた。


だから開拓使の現場では、異国の言葉や外国人技師の姿そのものは、まったく珍しいものではなかった。


もっとも、銀白の髪に青い瞳、白い星衣を藍色のローブで隠したエアノーレは、その中にあってもなお、目立ちすぎた。


ワッソンは久世の顔を見て、次にまちる、エアノーレを見た。


そして、にやりと笑った。


“Ah. New problem.”

(なるほど。新しい問題か)


久世は顔をしかめる。


「問題ではありません。まだ問題にしていません」


ワッソンはエアノーレへ軽く手を上げた。


“Morning.”

(おはよう)


エアノーレは自然に返す。


“Good morning.”

(おはようございます)


後ろで書類を抱えていたデーが眉を上げた。


“Good pronunciation.”

(発音がいい)


エアノーレは丁寧に答えた。


“Thank you.”

(ありがとうございます)


ワッソンが面白そうに訊く。


“New assistant?”

(新しい助手か?)


“Temporary surveying support.”

(一時的な測量補助です)


“Assigned to her?”

(彼女の担当か?)


エアノーレはまちるを見る。


まちるが小声で言う。


「余計なこと言うなよ」


エアノーレは一拍置いて答えた。


“Yes. Assigned to Machiru Amemiya.”

(はい。雨宮まちるに割り当てられています)


まちるが眉を寄せる。


「誰が割り当てたんだ」


エアノーレは日本語で返す。


「あなたです」


「そんな偉そうに割り当ててない」


「では、同行を条件付きで許可されました」


「英語でそれ言わなくてよかった」


ワッソンは笑った。


“I like her.”

(いいね、彼女。気に入ったよ)


久世が即座に言う。


「私は気に入りません」


“That is why we test.”

(だから試すんだ)


「測量は見世物ではありません」


“Test is not show. Test is work.”

(試験は見世物じゃない。仕事だ)


デーが帳面を開きながら言う。


“Same line, same point. Compare results. Simple.”

(同じ線、同じ測点。結果を比べる。簡単だ)


久世は黙った。


ワッソンはまちるを見る。


“You want work?”

(仕事をしたいんだろう?)


まちるは少し遅れて意味を理解し、うなずく。


「はい。仕事をしたいです」


ワッソンは久世を見る。


“She wants work. You need work done. There is a girl who stands very straight.”

(彼女は仕事をしたがっている。君は仕事を進めたい。そこに、真っ直ぐ立てる娘がいる)


久世は苦々しい顔をした。


「棒みたいに立つだけなら、杭でいい」


エアノーレが真顔で言った。


「杭よりは移動可能です」


まちるが思わず吹き出しそうになる。


久世はこめかみを押さえた。


「……雨宮。お前の周りはなぜこうも面倒なものが寄る」


「知りません」


「森蔵さんの頃からだ」


「父のせいにしないでください」


「半分は森蔵さんのせいだ」


ワッソンは二人を見比べ、楽しそうに笑った。



結局、試験が決まった。


別班が午前に取った沢筋を、雨宮班が測り直す。


久世は言った。


「一回だけだ」


まちるは頷く。


「十分です」


「結果が合わなければ終わりだ」


「合えば?」


「考える」


「認めるとは言わないんですね」


「考えると言った」


ワッソンが横から言う。


“That means maybe yes.”

(それは、たぶん“はい”という意味だ)


久世が睨む。


「余計な通訳をするな」



沢筋へ向かう道は、朝露でぬかるんでいた。


まちるは三脚を担ぎ、エアノーレは伸縮式の標尺を抱えて歩く。


エアノーレは標尺を見下ろしていた。


「これは、ただの目盛り付き棒ではないのですね」


「そうだ」


「水平方向の距離ではなく、覗いた視準線に対する高さを読むための器具……のようです」


「分かるのか」


「形状と目盛配置から推定しました」


「便利だな、お前の頭」


「破損しているのは星衣核であり、頭部ではありません」


「そういう意味じゃない」


ハクが肩で鳴く。


まちるは言う。


「ハクも、少し黙ってろって言ってる」


「ハクさんは今、鳴いただけです」


「意味は私が決める」


「横暴です」


「地球ではよくある」


「やはり地球の運用は雑です」


「二度目だぞ、それ」



測点に着くと、久世は別班の帳面を閉じた。


「午前に別班が沢筋を測っている。そこをもう一度取れ」


「同じ場所ですか」


「同じ区間だ。ただし、本隊の三角点を触るわけじゃない。水準測量で使った仮杭と測点を追うだけだ」


久世は沢の方を指した。


「帳面の数字を合わせるだけなら、誰でもできる。だが、測量はそういう仕事ではない」


まちるは頷いた。


「分かっています」


「分かっているなら、なおさら素人同然の者を測量に使うなと言っている」


「だから、試すんでしょう」


久世は不機嫌そうに黙った。


ワッソンが肩をすくめる。


“Same line, same temporary stakes. Compare the numbers.”

(同じ線、同じ仮杭だ。数値を比べればいい)



まちるは準備を整えて三脚を開いた。


一本目が湿った土を噛む。

二本目が小石を避ける。

三本目が角度を決める。


水準儀を据え、気泡を合わせる。


久世は少し離れて見ている。


ワッソンとデーも腕を組んでいた。


別班の測量手たちは、どこか面白半分の顔で眺めている。


「エアノーレ。あの杭の横」


「はい」


「標尺は地面に真っ直ぐ。下端を浮かせるな」


「下端接地」


「身体で支えるな。標尺を支えろ」


「標尺を支えます」


「風が来ても動くな」


「風速が一定以下であれば可能です」


「一定以上なら?」


「転倒します」


「転倒する前に言え」


「了解しました。転倒前に報告します」


別班の一人が小声で言った。


「何だ、あの会話」


もう一人が答える。


「雨宮の班だぞ。普通なわけないだろ」



エアノーレは杭の横に立った。


標尺をすっと伸ばし、垂直に構える。


その姿は奇妙なほど静かだった。


まちるは水準儀を覗く。


「右へ半歩」


エアノーレが動く。


「戻れ。二寸」


エアノーレが戻る。


「そこで止まれ」


止まる。


ぴたりと。


まちるは覗いたまま、少し黙った。


「……お前、本当に動かないな」


「静止を命じられました」


「普通は、命じられても少し揺れる」


「揺れた方が良いですか」


「良くない」


「では揺れません」


「頼もしいのか怖いのか分からん」



「読み」


エアノーレが標尺の目盛りを読む。


「一・三七二」


「もう一度」


「一・三七二」


「自信満々だな」


「同一結果です」


「そういうところだぞ」


「誤差があった方が良いですか」


「ない方がいい」


「では問題ありません」


まちるは水準儀から目を離さず、小さく笑った。


「ほんと、腹立つくらい使えるな」


エアノーレは少し黙り、


「それは褒め言葉ですか」


「半分くらいな」


「では、半分受領します」


「受け取るな」



測量は続いた。


沢の曲がり。

ぬかるみ。

少し高い土手。

水の抜けが悪い浅い窪地。


まちるは目盛りを読むだけではなく、足場を選び、地面を見て、沢の音を聞いていた。


エアノーレが遠くから問う。


「なぜ、その場所に三脚を置くのですか」


「下が締まってる。沈まない」


「先ほどの場所より平坦に見えます」


「あっちは草だけ見れば平らだ。でも踏むと水が上がる」


「見た目より内部状態を優先するのですね」


「そうだ。地面は嘘をつく」


「地球の地面も雑です」


「もうそれ感想じゃなくて口癖だな」


ワッソンが笑っている。


久世は黙っていた。


だが、その目は先ほどよりも真剣だった。




挿絵(By みてみん)



作業が終わる頃には、日が高くなっていた。


久世が帳面を受け取り、別班の帳面と見比べる。


しばらくして、眉間に皺が寄る。


「……違うな」


まちるが顔を上げる。


「どれくらいです」


「無視できる差ではない」


別班の測量手が息を吐く。


「やっぱりな。素人標尺じゃ無理ですよ」


まちるは答えない。


エアノーレは標尺を抱えたまま立っている。


久世が低く言う。


「雨宮。説明しろ」


「私の読みでは、この数値です」


「別班と違う」


「なら、どこかが違っています」


「お前が違う可能性は」


「あります」


まちるはすぐに認めた。


その答えに、久世が少し眉を動かす。


「認めるのか」


「測量ですから。間違う可能性はあります」


「なら」


「でも、別班が間違っている可能性もあります」


別班の者が顔をしかめる。


「何だと」


まちるは静かに続けた。


「私は、あの仮杭を移点にしませんでした」


久世が帳面をめくる。


「なぜだ」


「根元の土が柔らかすぎます。だから、少し上手の、地の締まった場所に取り直しました。移点は高さを次へ渡す場所です。あの杭が沈んでいたら、その狂いまで次に持っていくことになる」



別班の測量手が反論する。


「杭は打ってあった」


「打ってあっても、仮杭です。地面が動けば、杭も動きます」


「言い訳だ」


まちるは言い返そうとした。


その前に、ハクが肩から飛び降りた。


「ハク?」


ハクは別班が使った仮杭へ走った。


杭の根元を嗅ぐ。


小さく掘る。


木の実を一つ置く。


さらに掘る。


また木の実を置く。


エアノーレが首を傾げる。


「ハクさんが、杭へ供物を配置しています」


「供物じゃない。……たぶん」


ワッソンが目を細めた。


“Wait.”

(待て)


彼は杭のそばへしゃがみ込む。


土を指で押す。


沈む。


杭を軽くつまむ。


ごくわずかに揺れた。


ワッソンは口元を上げた。


“Ah.”

(ああ)




挿絵(By みてみん)




久世が近づく。


「どうした」


“The temporary stake moved.”

(仮杭が動いている)


ワッソンは膝をついて土を見る。


“Rain. Soft ground. See here.”

(雨だ。地面が緩い。ここを見ろ)


そしてワッソンは杭の根元を示した。


“The temporary stake was used as a turning point. But the rain softened the ground. Its height changed.”

(この仮杭を移点に使ったんだ。だが雨で根元が緩んでいる。高さが変わっている)



久世は別班の帳面を見る。


次に、まちるの帳面を見る。


沈黙。


やがて、久世は低く言った。


「……雨宮班の結果が正しい」


別班の測量手たちは黙った。


そのうちの一人が、言い訳のように口を開く。


「ですが、杭は朝の時点では――」


「言い訳をするな」


久世の声が鋭く落ちた。


「仮杭は仮杭だ。打ってあるから正しいのではない。そこを基準にしてよいか、お前たちが確かめるんだ」


別班の男たちは、うつむいた。


久世は続けた。


「水準測量は、数字を読むだけの仕事ではない。地面を見る仕事だ。雨の後の沢筋で、杭の根元を確かめずに移点にしたのなら、それはお前たちの不注意だ」


「……申し訳ありません」


「謝る相手は私ではない。帳面だ」


久世は別班の帳面を指で叩いた。


「誤った数字を残せば、後の者がその数字を信じる。道を通す者が信じる。橋を架ける者が信じる。荷を運ぶ者が信じる。測量の間違いは、紙の上では終わらん」


別班の者たちは、今度こそ何も言えなかった。


久世は少し間を置いてから言った。


「測り直せ。雨宮班の測点を確認し、仮杭の位置を取り直せ。次は土を見ろ。杭ではなく、地面を見ろ」


「はい」


「返事だけなら誰でもできる」


久世の声は冷たいままだった。


「測って示せ」



久世はようやく、まちるの方を見た。


「雨宮」


「はい」


「お前の判断は正しかった」


まちるは少しだけ目を伏せた。


「……ありがとうございます」


「だが、調子に乗るな」


「乗ってません」


「顔に出ている」


「出てません」


「森蔵さんも、そういう顔をした」


まちるは言い返しかけて、やめた。


ハクだけが、まちるの肩の上で得意げに尻尾を振っていた。


ワッソンが笑う。


“Good squirrel.”

(いいリスだ)


ハクが鳴く。


エアノーレは真面目に言った。


「ハクさんは地盤異常検出能力を有しています」


まちるはハクを抱き上げた。


「木の実を埋める場所にうるさいだけだ」


「それは地盤判定能力です」


「まあ、今日はそういうことにしとく」


ハクはまちるの手の中で得意げに尻尾を揺らした。



久世はしばらく無言だった。


その沈黙は長かった。


まちるは、急かさなかった。


久世はエアノーレを見る。


「お前」


「はい」


「標尺持ちはできるようだ」


「可能です」


「測量を分かっているわけではないな」


「現地測量実務は未習得です」


「理屈は分かるのに、実務は知らない」


「はい」


「変な女だ」


「よく言われます」


まちるが横から言う。


「私はまだ二日しか言ってない」


「では、短期間で頻繁に言われています」


久世は少しだけ、笑いそうになった。


だが笑わなかった。


「雨宮」


「はい」


「正式雇いではない」


「分かっています」


「雨宮班の臨時補助扱いだ」


「はい」


「標尺持ちと荷運びまで」


「はい」


「水準儀には触らせるな」


「はい」


「帳面も書かせるな」


「はい」


「妙なことを言わせるな」


まちるはエアノーレを見る。


エアノーレは真顔で立っている。


まちるは久世へ向き直った。


「努力します」


「そこは約束しろ」


「約束は難しいです」


「なぜだ」


「本人が妙なことを言うので」


久世は深いため息を吐いた。


「……責任はお前が持て」


まちるは、今度は迷わず答えた。


「持ちます」


久世の目が、少しだけ遠くなった。


「森蔵さんも、そういう顔で無茶を通した」


「父は、無茶ばかりでしたか」


「いいや」


久世は静かに言う。


「無茶を、測量に変えるのが上手かった」


まちるは黙った。


その言葉は、胸に残った。


ワッソンが明るく言う。


“She passed?”

(合格か?)


久世は渋い顔のまま答えた。


「仮だ」


ワッソンは笑った。


“Good enough.”

(十分だ)


エアノーレが小さく言う。


「任務継続可能です」


まちるが即座に返す。


「だから任務って言うな」


「では、雨宮班補助行動を継続します」


「それも硬い」


「標尺持ちを続けます」


「よし」



久世は帳面を閉じた。


「ただし、勘違いするな。正式雇いではない以上、開拓使から賃金は出さん」


まちるの顔が少し曇る。


「……分かっています」


「飯と宿も、雨宮、お前が見る」


「一人増えれば、飯も増えます」


「なら拾うな」


「もう拾いました」


「森蔵さんの悪いところばかり似たな」


久世はそう言って、懐から小さな包みを取り出した。


「これを使え」


まちるは目を細めた。


「今、賃金は出さないって言いましたよね」


「賃金ではない」


「では何ですか」


「……水準儀の手入れ代だ」


「嘘が下手ですね」


「うるさい。受け取れ」


エアノーレが包みを見た。


「これは、非公式支援ですか」


久世の眉間に皺が寄る。


「黙っていろ」


「了解しました。非公式支援について沈黙します」


「言っている」


まちるは思わず噴き出した。


「借りにします」


「好きにしろ」


久世は顔を背けた。


「雨宮班が止まると、こちらが困る。それだけだ」


まちるは包みを受け取った。


「ありがとうございます、久世課長」


「礼を言う暇があるなら測れ」


「はい」



__________________



その日の夕方。


二人と一匹は、再び白樺の水辺へ向かっていた。


朝とは違い、まちるの歩き方には少しだけ軽さがあった。


雨宮班は、止まらずに済んだ。


正式な補充ではない。

正式な雇用でもない。


それでも、エアノーレは雨宮班の標尺持ちとして認められた。


仮とはいえ。


まちるにとっては十分だった。



白樺の水辺は、変わらず静かだった。


かつてエアノーレがまちるを殺そうとした場所。


まちるが三脚で星律棍の線を読んだ場所。


そして、エアノーレが地球の重さに崩れた場所。


今、二人は並んで立っている。


ハクは白樺の根元へ駆けていき、辺りを警戒するように鼻を動かした。


まちるが言う。


「……で」


「はい」


「お前の“任務”ってのは、結局何なんだ」


エアノーレは水辺を見つめた。


「この地には、古帝国軍の中継器があります」


「それが、父さんの地図にあるE番号の器物か」


「一致する可能性が高いです」


「壊すのか」


「いいえ」


まちるは眉を寄せた。


「壊さないのか」


「破壊すれば、相手に気づかれます」


「じゃあ、何をする」


「施しです」


「また分かりにくい言葉を使う」


「あなたの言葉では、それが近い」


「近いって、何に」


エアノーレは少し考えてから言った。


「壊すのではなく、残す。奪うのではなく、仕込む。今すぐ動かすのではなく、未来へ向けて道を作る」


まちるは黙った。


「……印をつける、みたいなものか」


エアノーレがまちるを見る。


「はい。かなり近いです」


「父さんの針筋と似てるな」


「針筋」


「針が乱れた方向を線にする。何本か重ねて、隠れてるものを探す。父さんが考えたやり方だ」


「あなたの父は、通常測量の誤差を手がかりに変換していたのですね」


「難しく言えば、たぶんそうだ」


「優秀な方だったのですね」


まちるは水面を見る。


「……変な人だったんだと思う」


「あなたに似ています」


「それ、褒めてるのか」


「半分ほど」


まちるは少し笑った。


「半分受け取る」



エアノーレは水辺の泥へ近づいた。


星衣核が、藍色のローブの下で淡く脈動する。


「この下です」


まちるは三脚の先で泥を避けた。


固い感触があった。


石とも鉄ともつかない、小さな器物。


水辺の泥に半ば埋もれたそれは、以前、別の場所で見たものとよく似ていた。


表面には、父の地図にあった符号に似た刻みがある。


まちるの喉が、少しだけ鳴った。


「……やっぱり、あった」


エアノーレは静かに頷いた。


「古帝国軍中継器です」


「これが、父さんが追っていたもの」


「少なくとも、その一部です」


まちるは器物から目を離せなかった。


「前に見た時は、ただの変な石か鉄くずだと思った。けど……父さんの地図にも同じ符号があった」


「森蔵さんは、この器物群の存在に近づいていたと推定されます」


「父さんは、これが何か知っていたと思うか」


エアノーレはすぐには答えなかった。


「不明です」


「そうか」


「ですが、近づいていました」


まちるは器物を見つめた。


「近づいて、倒れた」


「……」


「なら、私は続きを見る」


エアノーレがまちるを見る。


まちるは器物から目を逸らさない。


「父さんが何を見ていたのか。何を測ろうとしていたのか。私は、それを確かめる」


エアノーレは静かに頷いた。


「では、わたくしも続きを行います」


「施しか」


「はい」


エアノーレは中継器へ手を伸ばす。


青白い光が、指先からこぼれる。


星衣核と中継器が共鳴する。


水面に星のような反射が広がった。



挿絵(By みてみん)


「施しを開始します」


光は静かだった。


激しい音も、爆発もない。


ただ、水辺の空気が少しだけ澄んだように感じられた。


ハクが低く鳴く。


まちるは思わず息を止める。


「……これが、未来のための施し」


「はい、未来のための施しです」


エアノーレは中継器から手を離さずに言った。


「いつか、必要になる時が来ます。その時に、ここがただの中継器ではなくなっている必要があります」


「道を作ってるのか」


「はい」


「父さんの地図みたいだな」


「あなたも、地図を作っています」


「私はただ、歩いて測ってるだけだ」


「道は、そうしてできます」


まちるは返事をしなかった。


白樺の葉が揺れる。


水面に、青い光が沈んでいく。


その施しは、すぐには誰にも知られなかった。


古帝国軍の中継器は、壊れたわけではない。

警報を上げたわけでもない。

通信を止めたわけでもない。


ただ、内部の奥深くに、まだ誰も意味を読めない小さな変化を抱えただけだった。


だから、この時点で古帝国軍は何も知らない。


知らないまま、まちるとエアノーレは水辺を後にする。


だが、白樺の水辺には、もう一つ別の記録が残っていた。


それは今この瞬間の施しではない。


前日、まちるとエアノーレが交戦し、エアノーレの星衣核が損傷した後。

星衣核のマスキング機能が一時的に低下し、藍色のローブを羽織るまでの、わずかな時間。


その半日ほどの間だけ、白樺の中継器は、あり得ない反応を記録していた。


該当区域に、IS-BE反応入域。


他区域からの移動情報なし。


照合一致なし。


約十二時間検出。


その後、消失。


通常なら、そんな記録はあり得ない。


IS-BEが区域に入るなら、どこか別の区域からの移動履歴が残る。

死ねば輪廻処理が記録される。

転生すれば転生先が記録される。

旅行や買い物程度の小移動なら、隣接区域の記録と照合される。


だが、その反応には、前も後もなかった。


ただ、現れた。


そして、消えた。


その記録は即時警報ではなかった。

常時監視の目に引っかかって、その場で移報される類のものでもなかった。


月末、あるいは期末にまとめられる、区域中継器の運用報告。

生存記録。

死亡記録。

輪廻処理。

区域間移動。


そうした膨大な定例記録の片隅に、後から混じるはずの小さな異常だった。


だから、まだ誰も気づいていない。


だが、後にその月報を開いた者は、白樺の水辺に刻まれた空白を見ることになる。


UNKNOWN IS-BE ENTRY


NO MATCH


TRACE LOST


それは、まちるの記録ではない。


まちるは最初から、どの管理にも存在しない。


古帝国軍の記録にも。

トメイン軍の照合にも。

輪廻管理の網にも。


この不可解な記録は、星衣核を損傷し、一時的に覆いを失ったエアノーレの痕跡だった。


そして、その痕跡を確認するために、やがて一人の調査者が動き出す。


名を、ラグネブ。


まだ遠い場所で、まだ誰にも呼ばれていない追跡者だった。



だが、それはまだ先の話だった。


今、白樺の水辺を離れた二人と一匹は、ただ歩き出す。


北へ。


地図を作るために。


帰る道を探すために。


施しを行うために。


そして、まだ誰も知らない“羅北”へ。



つづく



著:國風惠昂



本作品はフィクションです。

実在の歴史・技術・地理・人物等を参考にしつつ、独自設定と創作を交えて構成されています。


EDテーマ

「羅北へ」/ ZESTIAS


To the Compass North

“Rahoku-e” / ZESTIAS

Lyrics by Sera Ruby

Music by Luka Starlet

Produced by Kunikaze Keikou


https://youtu.be/3KpDjP_-TaY?si=fdEs8LIWKlM_m1jd

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