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明治「再」起動 ―暴君が塗り替える近代史―  作者: tky@複数作品を同時連載中
第5章:無謀な自由と神を思わせる星

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第97話:神の玉座へ、パレスの全軍侵攻

本日3話目

西暦1889年5月18日、午後3時。


太陽系を包囲していた数千億の創造主アーキテクトの艦隊は、魁斗の「空間直結」という悪魔的なハッキングによって完全に同士討ちを演じ、その圧倒的な質量を自ら粉砕して宇宙の塵と消えた。


木星軌道外縁には、見渡す限りの銀色の残骸が漂っている。


エリュシオンの司令室は、次なる凄惨な蹂躙への「熱気」が、空間を満たそうとしていた。


「廃棄物処理統括のアヌビスより報告。木星軌道上の敵艦残骸、回収率すでに40%を突破。これらはすべて分子レベルで分解し、我が軍の新たな艦艇の資材として再利用リサイクルします」


「素晴らしい。経済・資源管理統括のマモンと連携し、回収した資源の再配分を最適化しなさい。……神の遺骸は、我々の剣を鍛える最高の鉄鉱石です」


魁斗はコンソールに視線を落としたまま、冷徹に指示を飛ばす。


「さて。太陽系の掃除は終わりました。……これより我々は、エデンの強襲部隊が道をこじ開けた『神の玉座』へ、直接挨拶に向かいます」


魁斗の声が響き渡ると同時に、エリュシオンの巨大な空間に、アイアン・パレスの全統括官たちが続々と集結し始めた。


軍事・戦闘部門からは、戦術統括のカルマ、強襲・陸戦統括のヴォルフ、武芸・近接統括の桜華、狙撃統括のアルテミス、暗殺統括のハットリ、そして拠点防衛統括のイージス。


彼らは一切の感情を排した、しかし内側に爆発的な殺意と忠誠心を秘めた瞳で、一斉に魁斗の前に跪いた。


「お待ちしておりました、マスター。……我が連装銃は、すでに神の四肢を撃ち抜く準備が完了しております」


銀髪の狂犬、ヴォルフが嗜虐的な笑みを浮かべて喉を鳴らす。


「うちの刃も、神さんの首筋を舐めとうてウズウズしてはりますえ。……どんな高次元の存在やろうと、物理的な継ぎ目がある限り、綺麗に斬り落としたげますよって」


和装の美女、桜華が、抜き身の超硬合金刀の峰を優しく撫でた。彼女の瞳には、冷酷な武人としての殺意と、魁斗へ向けられた底知れぬ情念が渦巻いている。


工業・技術部門からは、ヴァルカン、ノア、龍炎、カグツチ、ダヴィンチが立ち並ぶ。


彼らが作り上げた圧倒的な火器と装甲が、これからの戦いの要となる。


情報・諜報部門のロキ、リリス、ミューズもまた、それぞれの端末を操作しながら不敵に微笑んでいる。


「敵本拠地の残存ネットワーク、すでに掌握圏内です。……コロンブスたちが物理的に破壊してくれたおかげで、奴らの防壁は穴だらけですよ、マスター」


薄笑いを浮かべるロキの報告に、魁斗は満足げに頷いた。


さらに、司法統括のテミス、行政統括のソロモンといった内政部門の者たちや、生体部門のアスクレピオス、アフロディテ、フレイヤたちも、この総力戦の行方を確信に満ちた目で見つめている。


パレスの全機能、全知能が、今この瞬間、たった一つの目的――創造主の完全なる殲滅――に向けて統合されていた。


そして、彼らの最後列には、五人の妃たちに加え、リリス、シエルをはじめとする数名の女性統括官たちの姿があった。


アリスやルイーゼといったかつての列強諸国の王女たちが、魁斗の子供を抱き抱え恍惚とした表情を浮かべているのと同様に。


パレスの最高戦力であり、知能の結晶である彼女たち――桜華やリリスたちもまた、自らの腕の中に、魁斗の濃い血を受け継いだ小さな命を抱いていた。


彼女たちは魁斗の遺伝子を宿し、次世代の支配者を産み落としたことで、その狂信的な忠誠心は「母としての情念」と結びつき、もはや神すらも恐れぬ次元へと昇華していた。


「魁斗様……。どうか、私たちを置いていかないでくださいませ。貴方様が神を打ち砕き、真の宇宙の支配者となるその瞬間を、この特等席で見届けとうございます」


アリスが、涙ぐみながら懇願する。


その横で、桜華が艶やかな笑みを浮かべ、抱いた赤子の頬をそっと撫でた。


「ええ、連れて行きますよ。貴女たちは私の最も美しいコレクションであり、この宇宙を統べるに相応しい『新たな神』の母なのですから。……特等席で、神の最期をご覧なさい」


魁斗は玉座から立ち上がり、全軍に向けて号令を発した。


「目標、暗黒星雲最深部、創造主中枢星系。……パレス全軍、空間跳躍ワープ開始」


凄まじいエネルギーの奔流が地球のパレス中枢から迸り、巨大な空間の亀裂が太陽系に現れた。


数千万の無人艦隊と、パレスの全中枢機能を搭載した超弩級要塞艦が、一瞬にして虚空へと吸い込まれていく。


――数分後。


星の光すら届かない暗黒星雲の奥底。


そこに隠されていたのは、恒星をすっぽりと覆い尽くすほどの超巨大な機械構造体……金属と幾何学的なラインで構成された、冷たい「機械の星」であった。


その周辺には、コロンブスやヘラクレスたち先遣隊の強襲によって無惨に破壊された、無数の防衛衛星や要塞の残骸が散乱している。


『……空間の揺らぎを確認。パレス本隊、到着しましたね』


通信機から、コロンブスの余裕に満ちた声が響く。


「ご苦労様でした、コロンブス。……見事な手際です。敵の防衛網は文字通り、ズタズタに引き裂かれていますね」


魁斗はメインスクリーンに映し出された、無防備に腹を晒した創造主の機械星を冷酷に見据えた。


かつて人類を「バグ」と呼び、幾度となく文明をリセットしてきた高位存在の玉座が、今、完全にパレスの砲口の前に晒されていた。


「さあ、総員。我々がかつての地球の列強諸国に対して行ってきた『最適化』を、今度はこの宇宙の創造主に対して行いましょう」


魁斗の合図とともに、カルマが戦術ネットワークを全開にする。


「全艦、主砲展開。目標、敵中枢構造物。……制圧ではなく、完全なる物理的解体を目的とします」


数千万のパレス艦隊が一斉に砲門を開き、空間断層砲ディメンション・カッターと対消滅光弾の雨を、創造主の星へと降らせ始めた。


圧倒的な暴力が、神の玉座を容赦なく削り取っていく。


「ヴォルフ、桜華、ハットリ。貴方たちは強襲部隊を率いて、敵の中枢へ直接降下しなさい。……創造主というプログラムの『本体』がどこかにいるはずです。物理的に引きずり出し、私のもとへ連れてきなさい」


「御意」


三人の統括官が、獣のような飢えと、研ぎ澄まされた刃のような殺意を孕んだ返答を返す。


宇宙の真理を自負していた創造主の星に、パレスという名の人類最悪の「バグ」が、圧倒的な暴力と狂気を伴って雪崩れ込んでいった。


神々の黄昏は、もはや後戻りできない最終局面へと突入した。

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