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明治「再」起動 ―暴君が塗り替える近代史―  作者: tky@複数作品を同時連載中
第4章:無限の宙と未知なる文明

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第81話:新天地の産声、血理の玉座

本日3話目

【銀河系・ペルセウス腕 第七セクター:新発見惑星『エデン』】


宇宙空間にぽっかりと浮かぶその惑星は、地球によく似た青と緑の美しい星だった。


アイアン・パレスの探査艦隊によって発見されたこの星は、豊かな水源と広大な大陸を持ちながら、知的生命体が存在しない、完全なる「手付かずの処女地」であった。


「……なんて素晴らしい土壌。この星のポテンシャルを最大限に引き出せば、数十億の人類が、今よりもっと豊かに暮らせるはずだわ」


農業・食糧統括のセレスは、軌道上に浮かぶ指令艦のモニターを見つめながら、希望に満ちた溜息を漏らした。彼女の瞳には、この惑星を「銀河一の穀倉地帯であり、理想の居住地」へと変えるための設計図が描かれている。


「アイオロス。大気循環の最適化シミュレーションは?」


「完了だ。気象制御塔ウェザー・タワーを設置すれば、砂漠を緑に変え、全土を人類が快適に過ごせる環境に固定できる。……押し付けるのではなく、移住を希望する人々が自発的にここを選べるような、最高の環境を整えよう」


気象観測統括のアイオロスが、穏やかに答える。


「ハデスの調査によれば、資源も豊富だ。ヘラクレスの重機部隊を降ろし、まずはインフラを完璧に整える。……地球での『鳥籠』を窮屈に感じる開拓者たちにとって、ここは最高の新天地になるだろうな」


「ええ。マスター魁斗も仰っていたわ。強制ではなく、自由な意志でフロンティアを目指す者こそが、パレスの真の輝きを広めてくれるのだと」


セレスの微笑みは、開拓者たちの未来を祝福するように温かかった。


惑星の重力井戸へ向けて、環境制御ユニットと建設用オートマトンが流星群のように降り注いでいく。神の不在だった銀河に、パレスという名の「導き手」が、人類の新たな住処を築き上げる瞬間であった。


【同時期:地球・アイアン・パレス最深部 聖域「エリュシオン」医療区画】


パレスの最深部に設けられたその空間は、冷徹な清潔感の中に、生命の神秘に対する深い敬意が込められた「聖域」であった。


医療・生体統括のアスクレピオスが管理する最新鋭の医療ポッドが、柔らかい翡翠色の光を放っている。


「マスター。バイタルに乱れはありません。……いよいよ、新しい家族の誕生です。彼女たちの負担はナノマシンで完全にケアされていますので、ご安心を」


アスクレピオスが、微かに表情を緩めて報告した。


「ありがとうございます、アスクレピオス。……皆の頑張りに、最高の形で応えてあげたい」


魁斗は、ガラス越しの特等席から、その儀式を静かに、そして慈しみを持って見守っていた。


ポッドの中では、桜華を筆頭に、五人の令嬢たちが穏やかな表情で眠りについている。


かつての野蛮な出産のような、死と隣り合わせの苦痛はない。パレスの科学力は、新しい命が「最高に祝福された形」で誕生するように設計されていた。


「……おめでとうございます。第一子、男児。……そして第二子、女児。全員、極めて健康です」


アスクレピオスの声と共に、ポッドが開いた。


産声を上げたのは、魁斗の漆黒の瞳を受け継いだ、強くて美しい命の結晶たちだった。


魁斗は自らポッドの傍らへ歩み寄り、産着に包まれた小さな命を慎重に抱き上げた。


「主様……」


意識を取り戻した桜華が、幸福に満ちた顔で微笑んだ。


「よく頑張りましたね、桜華。……そして、皆さんも」


魁斗は、目を開けたアリスやルイーゼたちの手も優しく握り、一人一人に労いの言葉をかけた。そこにあるのは、支配者としての冷酷さではなく、家族を愛する一人の男としての、深く、しかしどこか腹黒いまでの計算に基づいた「完璧な愛」であった。


「この子たちは、私の後継者であり、人類を次なるステージへと導くリーダーとなります。……押し付けるのではなく、人々が自ら彼らを信じ、ついていきたくなるような、そんな賢明な王へと育て上げましょう」


魁斗は、腕の中で微睡む我が子を愛おしそうに見つめた。


「銀河は広い。人類がこれから出会うであろう困難や未知の脅威から、私が、そしてこの子たちが、全力で守り抜くことを誓いますよ」


地球の列強諸国の血脈は、魁斗の遺伝子によって統合され、対立の歴史は終わりを告げた。


銀河の果てで新たな星がパレスの手に落ち、地球の最深部では、その宇宙を永遠に愛し、守るための「絆」が、新世代という形で結実したのである。

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