↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
95/99

第一話『久しぶりの顔』(改訂版 ver1.01)

第四章、スタートです!


緑の勇者となったハリト。


自分の冒険へ旅立ったシロナ。


そして。


再び三人となったニール、ハリト、ミーナ。


三つ星になり。


LEVELも上がり。


新しい力も手に入れました。


確実に。


以前より強くなった三人。


ですが――。


強くなったことと。


上手くなったことは、同じなのか?


第四章では。


これまでとは少し違う「成長」に目を向けていきます。


それでは。


第四章 第一話『LEVELだけじゃない』。


どうぞ!

 シロナが。


 ラグナードを旅立って。


 三日が経った。


 朝。


 いつものように。


 冒険者ギルドへ向かいながら。


 俺は。


 なんとなく。


 隣を見た。


 ハリトがいる。


 その少し後ろを。


 ミーナが歩いている。


 以上。


「……少なくなったな」


 俺が呟くと。


 ハリトが。


 こっちを見た。


「一人減ったからね」


「それは分かってるよ」


「じゃあ、何?」


「なんていうか……こう」


 俺は。


 三人を見回した。


「見た目が?」


「シロナさん、髪長かったもんね」


 後ろから。


 ミーナが言った。


「そういう話じゃない」


「じゃあ何の話?」


「……なんだろう」


「知らないよ」


 ハリトが。


 呆れたように言う。


 シロナが。


 いなくなった。


 ただ。


 それだけだ。


 喧嘩したわけじゃない。


 もう二度と。


 会えないわけでもない。


 シロナは。


 シロナの冒険へ。


 俺たちは。


 俺たちの冒険へ。


 それぞれ。


 進み始めただけ。


 分かっている。


 それなのに。


 四人で歩いていた道を。


 三人で歩くと。


 なんとなく。


 広く感じる。


「まあ」


 ミーナが。


 俺の背中を。


 軽く叩いた。


「そのうち慣れるでしょ」


「そうかな」


「また会うって言ってたんだし」


「……そうだな」


 俺は。


 前を向いた。


 見慣れた建物が。


 見えてくる。


 《ラグナード冒険者ギルド》。


 今日。


 ここへ来た目的は。


 依頼じゃない。


 戦い方。


 それを。


 ちゃんと教えてくれる人がいないか。


 リディアさんに。


 相談するためだ。


 俺たちは。


 確かに。


 強くなった。


 俺は。


 LEVEL12。


 ハリトは。


 LEVEL10。


 ミーナは。


 LEVEL7。


 冒険者等級は。


 三人とも。


 三つ星。


 俺とハリトは。


 勇者にもなった。


 だけど。


 強くなったことと。


 上手くなったことは。


 同じじゃない。


 だから。


 一度。


 ちゃんと。


 自分たちの戦い方を。


 習ってみよう。


 昨日。


 三人で。


 そう決めた。


「リディアさん、誰か知ってるかな」


 俺が言うと。


「どうだろう」


 ハリトが。


 自分の弓を見る。


「剣ならともかく、弓を教えてくれる人っているのかな」


「私も短剣だしね」


 ミーナが。


 腰の短剣へ。


 手を置く。


「三人一緒ってわけにはいかなそう」


「それぞれ別?」


「たぶんね」


「面倒だな」


「習いたいって言い出したのニールでしょ」


「そうなんだけどさ」


 そんな話をしながら。


 ギルドの。


 扉を開けた。


     ◇


 朝のギルドは。


 いつも通り。


 騒がしかった。


 依頼掲示板の前には。


 冒険者たちが集まり。


 受付では。


 職員たちが。


 忙しそうに。


 書類を処理している。


 リディアさんは――。


「……ニール?」


 聞き覚えのある声。


 振り返る。


 槍を背負った青年。


 その隣には。


 大きな盾を背負った男。


 さらに。


 杖を持った少女。


「カイル?」


「やっぱりニールじゃねえか!」


 カイル・ローデン。


 オルド・バッシュ。


 セラ・ミルフィ。


 二つ星昇格試験を。


 一緒に受けた。


 同期だ。


「久しぶり!」


 セラが。


 笑顔で。


 手を振る。


「しばらく見なかったな」


 オルドも。


 笑った。


「どこ行ってたんだ?」


「ああ」


 俺は。


 ハリトを見る。


「《エルティア大森林》まで」


「……随分遠くまで行ったな」


「ちょっと森まで」


「お前」


 カイルが。


 呆れた顔をする。


「《エルティア大森林》を、ちょっと森まで、で済ませるなよ」


「そう?」


「そうだよ」


 そして。


 カイルの視線が。


 俺の腰へ。


 落ちる。


 ベルトさん。


「そいつも相変わらずだな」


「ベルトさん?」


「ああ」


「相変わらずじゃないぞ」


「何が?」


「前より喋る」


「…………」


 カイルが。


 嫌な予感でもしたような顔をした。


「前より?」


「うん」


 ベルトさんが。


 淡く。


 青く光る。


『《補足――意思伝達精度、向上》』


「ほら」


「…………」


「な?」


「いや」


 カイルが。


 俺とベルトさんを。


 交互に見る。


「前より普通に喋ってねえか?」


「同調段階が上がったからな」


「同調段階?」


「三」


「何だよ、それ」


「俺も最近知った」


「お前ら」


 カイルが。


 額を押さえた。


「会うたびに、知らねえ設定増やすのやめろよ」


「俺に言うなよ」


『《要求――却下》』


「お前も返事すんな」


「……本当に前より喋るな」


 オルドが。


 妙に感心したように。


 頷いた。


 その横で。


 セラが。


 別のものに。


 気づいた。


「……あれ?」


 視線の先。


 ハリトの腰。


「ハリトさん」


「何?」


「その緑色の装具」


 ハリトの顔が。


 少し。


 引きつった。


「……何?」


「前からありましたっけ?」


「なかったね」


「ですよね」


 セラが。


 じっと。


 リーフを見る。


「なんだか、ニールさんの装具に似てません?」


「…………」


 ハリトが。


 俺を見る。


 俺は。


 肩をすくめた。


 別に。


 隠しているわけじゃない。


 ハリトが。


 小さく。


 息を吐く。


「緑の勇者になった」


「…………」


 沈黙。


 カイルが。


 ハリトを見る。


 オルドも。


 見る。


 セラも。


 見る。


 視線が。


 ゆっくり。


 ハリトの腰へ。


 落ちる。


 そして。


「「「えええええっ!?」」」


 ギルド中の視線が。


 こっちへ。


 集まった。


「声、大きいよ」


 ハリトが。


 眉をひそめる。


「いやいやいやいや!」


 カイルが。


 詰め寄った。


「お前、俺たちが普通に依頼やってる間に何してんだよ!?」


「森に行ってた」


「そういう意味じゃねえ!」


「それ」


 俺は。


 思わず言った。


「前にも俺、似たようなこと言われた」


「お前は黙ってろ!」


「なんで!?」


「青だけでも意味分かんねえのに!」


 カイルが。


 リーフを指さす。


「今度は緑かよ!」


「僕に言われても」


「勇者って、そんなポンポン増えるもんなのか!?」


「僕も知らないよ」


 リーフが。


 緑色に。


 淡く光った。


『《回答――不明》』


「お前も喋るのかよ!」


「少しだけね」


『《肯定》』


「もうやだ!」


 何が。


 嫌なんだろう。


 セラは。


 そんなカイルを無視して。


 リーフへ。


 手を伸ばしていた。


「触ってもいいですか?」


「駄目」


「まだ何もしてませんよ!?」


「手、伸びてるよ」


「…………」


 セラが。


 自分の手を見る。


「……無意識でした」


「余計に怖いよ」


 ハリトが。


 一歩。


 下がる。


 そのやり取りを。


 オルドが。


 苦笑しながら。


 見ていた。


「まあ」


 そして。


 俺たち三人を見る。


「元気そうで何よりだ」


「オルドは相変わらずだな」


「お前たちが変わりすぎなんだ」


「…………」


 それは。


 否定できない。


 すると。


 カイルが。


 また。


 何かに気づいた。


「……待て」


「今度は何?」


「お前ら」


 視線が。


 俺たちの。


 冒険者証へ。


 向く。


「その星」


 俺。


 ハリト。


 ミーナ。


 三人の冒険者証。


 そこには。


 三つの星が。


 刻まれている。


 カイルの顔が。


 引きつった。


「三つ星になってんじゃねえか!」


 また。


 ギルド中に。


 声が響いた。


「カイル」


 ハリトが。


 額を押さえる。


「うるさい」


「うるさくもなるわ!」


 カイルが。


 自分の冒険者証を。


 取り出した。


 二つ星。


 オルドも。


 二つ星。


 セラも。


 二つ星。


「俺たちがコツコツ依頼やってる間に、お前らだけ三つ星になってんのかよ!」


「ちゃんと昇格試験受けたぞ」


「当たり前だ!」


「なら問題ないじゃん」


 ミーナが。


 笑う。


「お前も三つ星なのかよ!」


「もちろん」


 ミーナが。


 胸を張る。


「なんで得意げなんだよ!」


「だって三つ星だし」


「くそっ!」


 カイルが。


 本気で。


 悔しそうだ。


 その顔を見ていると。


 なんだか。


 懐かしくなった。


 二つ星昇格試験で。


 初めて会った頃は。


 もっと。


 嫌なやつだと思っていた。


 今でも。


 ちょっと。


 面倒だけど。


「そういうカイルたちは?」


 俺が。


 聞く。


「俺たち?」


「その後、どう?」


「……お前」


 カイルの。


 口元が上がった。


「聞くか?」


「何、その顔」


「LEVEL」


 カイルが。


 自分の胸を。


 親指で指す。


「十二だ」


「…………」


「どうした?」


「十二?」


「ああ」


「俺と同じじゃん!」


「お前だけ成長してると思うなよ、勇者様」


「いや、思ってないけど!」


 思ってない。


 けど。


 ちょっと。


 驚いた。


 第二章で。


 カイルがLEVEL10になった時。


 《槍術Ⅰ》を。


 覚えた。


 あれから。


 さらに二つ。


 LEVELを上げたことになる。


「俺たちだって」


 カイルが。


 槍へ手を置く。


「依頼やってたんだからな」


「そっか」


「オルドもセラも、前より強くなってるぞ」


「当然だ」


 オルドが。


 笑う。


「ニールたちだけ冒険していたわけじゃないからな」


「そうですよ」


 セラも。


 頷く。


「私も新しい魔法、練習してるんですから」


「へえ」


 そうだ。


 俺たちが。


 《エルティア大森林》へ行って。


 遺跡を見つけて。


 ハリトが。


 勇者になって。


 いろんなことが。


 起きていた間も。


 こいつらの時間が。


 止まっていたわけじゃない。


 それぞれ。


 依頼を受けて。


 戦って。


 練習して。


 それぞれのやり方で。


 前へ進んでいた。


「そうだ」


 カイルが。


 槍を。


 肩から下ろした。


「ニール」


「何?」


「お前、今LEVEL十二なんだろ?」


「ああ」


「俺も十二」


「うん」


 カイルが。


 にやっと。


 笑った。


「だったら、ちょうどいいな」


「何が?」


「一本やろうぜ」


「何を?」


「決まってんだろ」


 槍を。


 軽く持ち上げる。


「模擬戦」


「…………」


「怖いのか?」


「やる」


「ニール」


 ハリトが。


 呆れた顔をする。


「そういうのに、すぐ乗るのやめた方がいいよ」


「でも」


 俺は。


 ハリトを見る。


「ちょうどよくない?」


「何が?」


「俺たち」


 腰の剣へ。


 手を置く。


「今日、戦い方を習うために来たんだろ」


「…………」


 ハリトが。


 カイルを見る。


 そして。


 槍を見る。


「まあ」


 少し。


 口元を緩めた。


「確かに、ちょうどいいかもね」


     ◇


 ギルド裏。


 訓練場。


 俺と。


 カイルは。


 少し距離を取って。


 向かい合った。


 真剣は。


 使わない。


 俺は。


 木剣。


 カイルも。


 穂先を丸めた。


 訓練用の槍。


 周囲には。


 ハリト。


 ミーナ。


 オルド。


 セラ。


「一応、確認な」


 カイルが。


 槍を肩へ乗せた。


「勇者の変な技はなしだぞ」


「変な技って言うなよ」


「使われたら、模擬戦にならねえだろ」


「分かってるよ」


 《蒼駆》も。


 《蒼閃》も。


 使わない。


 ベルトさんにも。


 頼らない。


 純粋に。


 俺の剣。


 それだけで。


 戦う。


「カイルは?」


「《槍術Ⅰ》は?」


 俺が聞くと。


 カイルが。


 少し考えた。


「これは切れねえだろ」


「切る?」


「技能って言っても」


 カイルが。


 槍を。


 くるりと回す。


「俺が今まで覚えてきた槍の使い方が、急に消えるわけじゃねえからな」


「あ」


 確かに。


 《蒼駆》みたいに。


 使う。


 使わない。


 というものじゃない。


 カイルが。


 槍を使い続けて。


 身につけてきたもの。


 それが。


 《槍術Ⅰ》として。


 形になった。


「だから」


 カイルが。


 構える。


「俺は普通にやる」


「……分かった」


 俺も。


 木剣を。


 構える。


 その瞬間。


「…………」


 少し。


 驚いた。


 違う。


 以前とは。


 構えからして。


 違う。


 槍先が。


 ほとんど。


 揺れない。


 足の位置。


 腰の高さ。


 肩の力。


 どこにも。


 余計な力が。


 入っているように見えない。


 なのに。


 どこから。


 入ろうとしても。


 槍先が。


 こっちへ来る気がする。


 遠い。


 実際の距離より。


 カイルが。


 遠く感じる。


「始め!」


 オルドの声。


 俺は。


 踏み込んだ。


 カイルの槍が。


 動く。


 速い。


 でも。


 見える。


 俺は。


 身体をずらす。


 穂先を。


 かわす。


 そのまま。


 内側へ。


 ――入った。


 そう。


 思った。


「甘い!」


 槍が。


 引かれる。


 速い。


 次の瞬間。


 柄が。


 横から。


 飛んできた。


「うおっ!」


 木剣で。


 受ける。


 衝撃。


 一歩。


 下がる。


 そこへ。


 また。


 穂先。


 かわす。


 踏み込む。


 剣を。


 振る。


 カイルが。


 槍の柄で。


 受けた。


 押す。


 同じLEVEL。


 だったら。


 力も。


 そこまで。


 違わないはず。


 なら。


 このまま――。


「ふっ!」


 カイルが。


 半歩。


 横へ。


 ずれた。


「え?」


 押していた。


 力の先が。


 消えた。


 身体が。


 前へ。


 流れる。


 足が。


 崩れる。


 まずい。


 そう思った時には。


 槍の柄が。


 俺の肩へ。


 触れていた。


「一本」


 オルドが。


 言った。


「…………」


 俺は。


 止まる。


 カイルも。


 止まった。


 そして。


「よっしゃあ!」


 拳を。


 突き上げた。


「ちょっと待て!」


「待たねえ!」


「今の、もう一回!」


「一本は一本だ!」


 後ろから。


 笑い声。


 ミーナだ。


「ニール、負けた!」


「まだ一回だ!」


「でも負けたでしょ」


「一回だけ!」


「一回は一回だよ」


「ミーナまで!」


 ハリトは。


 笑っていなかった。


 ただ。


 じっと。


 カイルの槍を。


 見ている。


「もう一回」


 俺は。


 木剣を。


 構え直した。


     ◇


 二回目。


 今度は。


 俺が取った。


 三回目。


 カイル。


 四回目。


 俺。


 五回目。


「一本!」


「くそっ!」


 また。


 カイル。


「三対二!」


 カイルが。


 笑う。


「もう一回!」


「いいぜ!」


 六回目。


 俺。


 三対三。


 七回目。


 長く。


 続いた。


 カイルの槍を。


 かわす。


 剣を。


 振る。


 受けられる。


 押す。


 ずらされる。


 下がる。


 また。


 槍。


 同じLEVEL12。


 なのに。


 戦い方が。


 全然違う。


 俺は。


 実戦の中で。


 覚えてきた。


 魔物を見て。


 動きを見て。


 その場で。


 考える。


 危なければ。


 かわす。


 隙があれば。


 斬る。


 必要なら。


 《蒼駆》を使う。


 《蒼閃》を使う。


 それが。


 俺の戦い方。


 でも。


 カイルは。


 違う。


 一歩。


 半歩。


 槍先。


 柄。


 間合い。


 俺が。


 何をしようとしているのか。


 それを見て。


 次の動きを。


 選んでいる。


 剣を振る。


 カイルが。


 受ける。


 いや。


 受けない。


 ずらす。


「また――!」


 身体が。


 流れる。


 でも。


 今度は。


 分かっていた。


 踏みとどまる。


 槍の柄。


 しゃがむ。


 かわす。


 そのまま。


 踏み込む。


 木剣を。


 止める。


 カイルの。


 肩。


「一本!」


 オルドの声。


「……っ!」


 カイルが。


 止まる。


「よし!」


 俺は。


 思わず。


 拳を握った。


「四対三!」


「くそっ!」


 今度は。


 カイルが。


 悔しそうな顔をした。


「もう一回!」


「いいぞ!」


「二人とも」


 ハリトが。


 呆れた声を出した。


「目的、忘れてない?」


「…………」


「…………」


 俺と。


 カイルが。


 止まる。


「何の?」


 俺が聞く。


「ニールは」


 ハリトが。


 額を押さえる。


「戦い方を教えてくれる人を探しに来たんでしょ」


「あ」


「忘れてたの?」


「ちょっと」


「ニールらしいね」


 ミーナが。


 笑う。


「うるさいな」


「でも」


 俺は。


 木剣を見る。


「分かった」


「何が?」


 ハリトが。


 聞く。


「昨日」


 俺は。


 カイルを見る。


「強くなったことと、上手くなったことは違うって話しただろ」


「うん」


「やっぱり」


 木剣を。


 握る。


「違う」


 同じ。


 LEVEL12。


 それでも。


 俺とカイルは。


 同じじゃない。


 力が。


 同じだからでもない。


 速さが。


 同じだからでもない。


 積み重ねてきたものが。


 違う。


「カイル」


「何だ?」


「《槍術Ⅰ》覚えてから、何か変わった?」


「ん?」


 カイルが。


 自分の槍を見る。


「どうだろうな」


「分かんないの?」


「急に槍が上手くなったわけじゃねえからな」


「……そうなの?」


「だって」


 カイルが。


 槍を。


 軽く振る。


「《槍術Ⅰ》って、俺が今まで槍使ってきたから身についたんだろ?」


「ああ」


「だったら」


 槍を。


 肩へ戻す。


「技能を覚えたから上手くなったんじゃなくて」


 少し。


 考えて。


「上手くなってきたから、技能になったんじゃねえの?」


「…………」


 俺は。


 何も言わなかった。


 ハリトも。


 ミーナも。


 カイルを見ている。


「まあ」


 カイルが。


 頭を掻く。


「俺も詳しいことは知らねえけど」


「いや」


 俺は。


 自分の剣を見る。


「たぶん、そうなんだと思う」


 LEVEL。


 技能。


 経験。


 訓練。


 実戦。


 全部。


 つながっている。


 でも。


 全部。


 同じじゃない。


 俺には。


 《蒼駆》がある。


 《蒼閃》がある。


 ベルトさんもいる。


 勇者だから。


 選べた力。


 受け継いだ力。


 だけど。


 剣を握るのは。


 俺だ。


 どこへ踏み込むのか。


 どこで止まるのか。


 どう受けるのか。


 どうかわすのか。


 それを。


 決めるのも。


 俺だ。


「……よし」


 木剣を。


 元の場所へ。


 戻す。


「やっぱり習おう」


「最初から、そのつもりだったでしょ」


 ハリトが言う。


「そうなんだけど」


 俺は。


 笑った。


「もっと習いたくなった」


「それなら」


 ミーナが。


 訓練場の出口を見る。


「今度こそ、リディアさんのところ行く?」


「行こう」


「寄り道しない?」


「しない」


「本当に?」


「……たぶん」


「そこは言い切ってよ」


 ミーナが。


 笑う。


 俺たちは。


 訓練場を。


 後にした。


 LEVEL12。


 三つ星。


 青の勇者。


 《蒼駆Ⅲ》。


 《蒼閃Ⅲ》。


 前より。


 俺は。


 ずっと強くなった。


 だけど。


 まだ。


 上手くなれる。


 まだ。


 知らないことがある。


 まだ。


 できるようになることがある。


 だったら。


 覚えればいい。


 習えばいい。


 練習すればいい。


 それも。


 きっと。


 俺たちの。


 レベル上げだ。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!


第四章が始まりました!


そして久しぶりに登場した。


カイル、オルド、セラ。


ニールたちが《エルティア大森林》で冒険している間。


当然ながら。


彼らも彼らで、冒険を続けていました。


そして今回。


LEVELでは上のニールから。


カイルが一本!


ニールは確かに強くなっています。


三つ星。


LEVEL12。


《蒼駆Ⅲ》。


《蒼閃Ⅲ》。


以前とは比べものにならないほど、できることも増えました。


でも。


LEVELが上がったからといって。


剣の振り方。


間合いの取り方。


身体の使い方。


相手の力の受け流し方。


そんな技術まで、勝手に身につくわけではありません。


強くなる方法は。


一つじゃない。


LEVELを上げる。


実戦を経験する。


技能を育てる。


そして。


誰かから学び、技術を身につける。


それぞれが違う「成長」です。


第三章の最後で。


「ちゃんと戦い方を習ってみよう」


そう決めた三人。


今回のカイルとの模擬戦で。


その選択は、どうやら間違っていなかったようです。


では――。


ニールは剣を。


ハリトは弓を。


ミーナは短剣を。


誰から。


何を学ぶのか?


そして。


この世界における「LEVEL」と「技能」とは、そもそも何なのか?


第四章では。


《アルカレム》の「成長」そのものにも、少しずつ踏み込んでいきます!


面白かった、続きが気になると思っていただけましたら、★評価・ブックマークで応援していただけると嬉しいです!


「自分なら剣・弓・短剣のどれを習いたい?」など、感想もぜひ聞かせてください!


それでは――。


次のクエストへ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。