第五話『八年後』(改訂版 ver.1.01)
第五話も、現在の設定や今後の展開に合わせて改訂しました!
七歳のニールが自分で選んだ、最初の夢。
「俺、冒険者になる!」
しかし、冒険者として登録できるのは十五歳から。
それなら――
八年間で、できることを増やせばいい!
剣を振って。
弓を射って。
魔法を覚えて。
失敗して、逃げて、また挑戦して。
ニールとハリトは少しずつ成長していきます。
そして今回描きたかったもう一つのものが、
「まだ、なりたいものが分からない」ハリト。
すぐに夢を決めるニールと、答えを探し続けるハリト。
違う二人が、それでも同じ世界を見に行こうとする八年間です。
そしてついに――。
あの日、追い返された《冒険者ギルド》の扉を、もう一度開きます。
二人の冒険の始まりを、ぜひお楽しみください!
続きも読みたいと思っていただけましたら、ぜひブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!
それでは――
第一章 第五話『八年後』(改訂版 ver.1.01)
どうぞ!
「冒険者になるには、どうしたらいいですか!」
「……また来たの?」
冒険者ギルドの受付で、女性は目の前の少年を見てため息をついた。
「今日は登録しに来たんじゃありません!」
「あら。少し成長したわね」
「登録する方法を聞きに来ました!」
「前言撤回」
「なんで!?」
隣でハリトがため息をついた。
「だから僕は来たくなかったんだ」
「嘘つけ! 普通についてきたじゃん!」
「お前一人だと何をするか分からないからだ」
「心配してくれてる!」
「監視だ」
「同じだろ!」
「違う」
受付の女性は思わず笑った。
ニール・レイン、七歳。
ハリト・ヴェール、八歳。
少し前、この二人は「冒険者になりたい」とギルドへやってきた。
もちろん追い返した。
七歳と八歳なのだから、当たり前だ。
ところが、その後。
二人は友人たちと協力して、迷子になった羊を見つけ出したらしい。
そして――。
本当に、また来た。
「それで?」
女性は頬杖をついた。
「どうして冒険者になりたいの?」
「世界中を冒険したいから!」
「なるほど」
「知らない場所に行って、知らないものを見て、困ってる人がいたら助ける!」
「へえ」
「あと、強い魔物とも戦う!」
「最後ので台無しね」
「なんで!?」
女性は笑いながら立ち上がった。
「ついてきなさい」
◇
案内されたのは、ギルドの依頼掲示板だった。
薬草採取。
家畜捜索。
荷物運搬。
街道の護衛。
魔物討伐。
遺跡調査。
前に来た時は、ただ「冒険者の仕事がいっぱいある」としか思わなかった。
けれど今日は、少し違って見えた。
「ここにあるのが、冒険者に頼まれる仕事よ」
「うん!」
「冒険者になるのに必要なのは、強さだけじゃない」
「そうなの?」
「依頼人は、自分では解決できないことを私たちに頼みに来るの」
女性が一枚の依頼書を指差す。
「だから冒険者に必要なのは――」
「魔物を倒す力!」
「違う」
「即答!?」
「任されたことを、きちんと終わらせて帰ってくる力よ」
「…………」
「魔物を一匹も倒さない依頼だってある。むしろ、戦わない方がいい依頼だってあるわ」
ニールの頭に、一頭の羊が浮かんだ。
「……ポポ」
「何?」
「なんでもない!」
「剣を使う人だけが冒険者じゃない。弓を使う人もいる。魔法が得意な人もいる。人を治す人も、魔物を探すのが得意な人もいる」
女性はニールを見る。
「大事なのは、自分に何ができて、何ができないのかを知ること」
「…………」
ニールは少し考えた。
ポポを探した時。
自分一人では何もできなかった。
トーマには、トーマのできることがあった。
リコには、リコのできることがあった。
ダンにも。
ハリトにも。
「じゃあ俺は、何をすればいい!?」
「まず大きくなりなさい」
「結局それ!?」
「冒険者として登録できるのは十五歳から」
「十五!?」
ニールが指を折り始める。
「八年もあるじゃん!」
「僕は七年だけど」
「ずるい!」
「何が?」
ハリトが呆れた顔をした。
◇
帰り道。
ニールはずっと唸っていた。
「八年……」
「長いな」
「長すぎる!」
「仕方ないだろ」
「今から冒険者になる裏技とかないかな」
「ない」
「年齢をごまかす」
「無理だ」
「ハリトのお父さんに――」
「父さんを巻き込むな」
「じゃあ十五歳まで何すればいいんだよ!」
「練習すればいいんじゃないか?」
「練習?」
「剣」
ハリトは背中の小さな弓へ触れた。
「僕だって、まだレオンさんみたいには射てない」
「でもポポを助けたじゃん」
「あんなの全然だよ」
「じゃあ――」
ニールの顔が明るくなる。
「十五歳になるまでに、めちゃくちゃ強くなればいいのか!」
「なぜそうなる」
「よーし!」
「話を聞け」
ニールは腰の木剣を抜いた。
「八年あれば最強になれる!」
「無理だと思う」
「やってみなきゃ分かんないだろ!」
「……まあ、それはそうだけど」
「ハリトも一緒な!」
「僕は――」
ハリトが言葉を止めた。
「そういえばさ」
ニールが振り返る。
「ハリトは、何になりたい?」
「…………」
「冒険者?」
「分からない」
「弓使い?」
「それも分からない」
「じゃあ、お父さんみたいな交易商?」
「……分からない」
「分からないばっかだな」
「悪いか」
「悪くないけど」
ハリトは空を見上げた。
自分が生まれた森。
父について何度も訪れたリーヴェル。
ハリトが知っている世界は、まだそれくらいしかない。
「僕は――」
ハリトが呟く。
「知らないんだと思う」
「何を?」
「自分が何になりたいのか」
「…………」
「森で暮らすのが嫌なわけじゃない。父さんの仕事も嫌いじゃない。でも、それを僕がやりたいのかは……まだ分からない」
ニールは少し考えた。
そして笑った。
「じゃあ探せばいいじゃん」
「……何を?」
「なりたいもの」
「簡単に言うな」
「だって、知らないんだろ?」
「そうだけど」
「だったらさ」
ニールは道の向こうを指差した。
「世界中、見に行こうぜ」
「…………」
「いろんな町に行って、いろんな人に会って、いろんな仕事を見てさ」
「それでも見つからなかったら?」
「また探せばいい!」
「…………」
「ダメ?」
ハリトは小さく息を吐いた。
「お前は簡単でいいな」
「褒めてる?」
「褒めてない」
そう言いながら。
ハリトは少しだけ笑っていた。
◇
――それから二年。
ニール、九歳。
ハリト、十歳。
「ニール! 右!」
「分かってる!」
森の中。
一頭の《グラスドッグ》が飛び出した。
二年前なら、ただ逃げるしかなかった魔物。
今は少し違う。
ニールが木剣を構える。
ハリトが弓を引く。
「そのまま!」
弦が鳴った。
矢がグラスドッグの横を抜ける。
魔物が反射的に向きを変えた。
「今!」
「うおおおお!」
ニールが踏み込む。
木剣を振る。
――外した。
「え?」
「ニール!」
「待って待って待って!」
二人は全力で逃げた。
◇
「死ぬかと思った……」
「だから言っただろ。倒そうとするなって」
「いけると思った!」
「何を根拠に?」
「なんとなく!」
「次からは逃げる」
「はい……」
二人は木の陰に座り込んだ。
息を整える。
負けた。
というより、逃げた。
けれど。
何も残らなかったわけではない。
剣を振る。
弓を引く。
森を歩く。
魔物を見る。
失敗する。
逃げる。
考える。
そして、またやってみる。
そうしたものが、少しずつ二人の中へ積み重なっていった。
◇
――ニール、十歳。
「見ろ、ハリト!」
「何?」
「今日、百回振った!」
「おめでとう」
「反応薄くない!?」
「僕は朝から百五十本射った」
「なんで!?」
「練習してるから」
「俺もしてる!」
「お前、途中で川に飛び込んでたよな」
「暑かったから!」
「そのあと木にも登ってた」
「木があったから!」
「昼寝もしてた」
「眠かったから!」
「それを全部、剣の練習に数えるな」
「くそおおお!」
ニールが頭を抱える。
ハリトは小さく笑った。
ニールは剣を振った。
ハリトは弓を射った。
時には父ガイルから構えを直され。
時にはセイルから、森での歩き方を教わった。
町の大人たちにも、いろいろなことを教えてもらった。
すぐに上手くなるわけではない。
昨日できなかったことが、今日できるとも限らない。
それでも。
一年前よりは。
少しだけ、できることが増えていた。
◇
――ニール、十一歳。
「ハリト」
「何?」
「……水が浮いた」
「何?」
二人の間に置かれた桶。
その水面から、小さな水の玉が浮かんでいた。
「…………」
「…………」
水玉はぷるぷると震え――。
バシャッ!
ニールの顔に落ちた。
「…………」
「…………」
「魔法キターーーー!!」
「うるさい!」
「俺、魔法使える!」
「たぶん水だな」
「俺、魔法剣士になる!」
「冒険者じゃなかったのか?」
「冒険者で魔法剣士!」
「欲張りだな」
「ハリトもやってみろよ!」
「僕は魔法なんて――」
ハリトが弓を構える。
矢をつがえ。
放つ。
その瞬間。
ふわりと。
風が吹いた。
矢の軌道が、わずかに伸びた。
「…………」
「…………」
「ハリト」
「何も言うな」
「風魔法キターーーー!!」
「うるさい!」
◇
十二歳。
十三歳。
二人の世界は、少しずつ広がっていった。
町の大人たちの手伝いをした。
リコと薬草を採った。
トーマの家の鍛冶屋で荷物を運んだ。
ダンの牧場で、また逃げた家畜を探した。
ハリトは父セイルの交易について、森とリーヴェルを何度も往復した。
森の歩き方を覚えた。
天候の変化を見ることも覚えた。
危険な場所を避けることも覚えた。
時には、大人たちと一緒に低級の魔物を相手にすることもあった。
少しずつ。
少しずつ。
二人は、自分たちにできることを増やしていった。
だからといって、二人が特別だったわけではない。
騎士を目指して幼い頃から剣を学ぶ者もいる。
狩人の家に生まれ、ハリトより弓が上手い少年もいる。
魔法を専門に学ぶ子どもだっている。
ニールもハリトも、まだ何者でもない。
ただ。
八年前より。
昨日より。
少しだけ前へ進んでいた。
◇
――ニール、十四歳。
「ハリト! どうだった!?」
森からやってきたハリトを見つけるなり、ニールは走ってきた。
「何が?」
「何がじゃないだろ! 昨日!」
「ああ」
ハリトは昨日、十五歳になった。
そして。
この世界では十五歳になると、自分の《LEVEL》を認識できるようになる。
「出た?」
「出たよ」
「LEVEL!」
「一」
「…………」
「何だ、その顔」
「お前、ずっと弓やってんのに?」
「僕も少し思った」
「じゃあ今までの練習、全部どこ行ったんだよ!」
「別に消えてないよ」
ハリトは背中の弓を軽く叩く。
「昨日までできたことは、今日もできる」
「…………」
「LEVELが一だからって、弓の引き方を忘れたわけじゃない」
「それもそうか」
「そういうものらしい」
ニールは腕を組んだ。
「変なの」
「昔からそうなんだから仕方ないだろ」
「十五歳になるまではLEVELなし。十五歳になったら一から」
「ああ」
「誰が決めたんだろうな?」
「さあ」
ハリトはそれ以上、気にしていなかった。
ニールも、しばらくすると別のことを考え始めた。
それが、この世界では当たり前だったから。
「じゃあさ!」
「何?」
「ギルド行くの?」
「何で?」
「何でって――」
ニールは目を丸くした。
「もう冒険者になれるじゃん!」
「ああ」
「登録しないの?」
「まだいい」
「なんで!?」
「別に急いでないから」
「ええええ!?」
「うるさい」
「俺だったら今日行く!」
「お前はまだ十四歳だろ」
「あと一年!」
「長いな」
「言うな!」
◇
それから数か月。
ニールは剣を振っていた。
一。
二。
三。
何度も。
何度も。
「九十八……九十九……百!」
「珍しいな」
「うおっ!?」
振り返ると、ハリトが木にもたれていた。
「いつからいた!?」
「三十七回目くらい」
「声かけろよ!」
「集中してたから」
ニールは剣を下ろした。
「そういえばさ」
「何?」
「まだギルド行ってないの?」
「行ってない」
「なんで?」
「…………」
ハリトは答えなかった。
「冒険者になりたくない?」
「分からない」
「まだ?」
「悪いか」
「いや」
ニールは地面に座った。
昔。
ハリトに聞いたことがある。
何になりたいのか。
あれから何年も経った。
「まだ、探してる?」
「ああ」
「そっか」
それだけだった。
ニールは、
「じゃあ冒険者になれよ」
とは言わなかった。
ハリトのことは、ハリトが決める。
それくらいは、ニールにも分かるようになっていた。
◇
季節が巡った。
ニールの十五歳の誕生日まで、あと十二日。
二人は川辺を歩いていた。
「あと十二日!」
「数えてるのか」
「当たり前だろ!」
「毎日聞かされてるから僕まで覚えた」
「いよいよ俺もLEVEL持ちだ!」
「最初は一だけどな」
「それ言うな!」
ニールは笑う。
そして。
何気なく聞いた。
「ハリト」
「何?」
「なりたいもの、見つかった?」
ハリトは少し考えた。
「……まだ」
「そっか」
「でも」
ハリトは自分の弓へ触れた。
「見に行きたいとは思ってる」
「何を?」
「世界を」
ニールが足を止める。
「森とリーヴェルだけじゃなくて」
ハリトは遠くを見る。
「もっといろんな場所を見たい。いろんな人に会ってみたい」
「…………」
「その中に、僕がなりたいものがあるのかもしれない」
ニールが笑った。
「じゃあ一緒じゃん!」
「お前とは目的が違う」
「同じ場所に行くなら一緒だろ」
「そういうところ、本当に変わらないな」
「褒めてる?」
「褒めてない」
少し歩いて。
ハリトが言った。
「だから」
「ん?」
「お前が十五歳になったら、ギルドへ行こうと思う」
ニールが止まった。
「…………え?」
「聞こえなかった?」
「聞こえたけど」
「ならいい」
「ちょっと待って」
「何?」
「お前――」
ニールの顔が、だんだんニヤけていく。
「俺を待ってたの?」
「…………」
「ハリトおおおお!」
「その顔やめろ」
「お前、俺のこと大好きじゃん!」
「やっぱり一人で登録する」
「待て待て待て! ごめん! ごめんって!」
◇
そして――。
十二日後。
ニール・レインは、十五歳になった。
「ニール」
朝。
母ミレアが声をかける。
「起きなさい」
「…………」
「十五歳になった初日から寝坊するの?」
「――十五歳!」
ニールが飛び起きた。
「そうだ!」
ベッドから飛び降りる。
「俺、十五歳だ!」
「昨日から何回聞いたと思ってるの」
「父ちゃん!」
「朝からうるさい」
ガイルがパンを食べていた。
「LEVEL! どうやって見るの!?」
「まず顔を洗え」
「先にLEVEL!」
「寝癖ならかなり育ってるぞ」
「そういうのいいから!」
ガイルが笑う。
「意識を自分に向けてみろ」
「自分に?」
「ああ」
ニールは目を閉じる。
言われた通り、自分自身へ意識を集中する。
すると。
今まで認識できなかった何かが、頭の奥へ浮かび上がった。
数字。
そして――。
《LEVEL 一》
「…………」
ニールは目を開けた。
「父ちゃん」
「どうだった?」
「……一」
「そりゃそうだ」
「俺、八年も剣振ってたんだけど!?」
「だから何だ」
「八年だぞ!?」
「剣を持ってみろ」
「え?」
「いいから」
ニールは壁際に置かれていた木剣を手にする。
構える。
足を開く。
重心を落とす。
八年前。
ただ木剣を振り回していただけの少年にはできなかった動き。
身体が自然に覚えている。
「それが、お前の八年だ」
「…………」
「LEVEL一になったからって、昨日まで積み上げたものが消えるわけじゃない」
ニールは自分の手を見る。
LEVELは一。
それでも。
七歳の自分とは違う。
「……そっか」
「ああ」
「じゃあ――」
ニールは笑った。
「今日からLEVELも上げればいいんだ!」
「その前に朝飯を食え」
「はい!」
◇
昼前。
ニールは町の入口で、ハリトと合流した。
「ハリト!」
「遅い」
「今日くらい許せ!」
「誕生日と遅刻は関係ない」
「LEVEL出た!」
「一だろ」
「先に言うなよ!」
ハリトが歩き出す。
「行くぞ」
「おう!」
二人が向かう場所は、八年前から変わらない。
やがて。
一つの建物が見えてきた。
《冒険者ギルド》。
ニールは足を止めた。
「……覚えてる?」
「何を?」
「八年前」
「忘れるわけないだろ」
「追い返されたよな」
「追い返されたのは主にお前だ」
「ハリトも一緒だったじゃん!」
「巻き込まれたんだ」
ニールはギルドの扉を見る。
八年前。
この扉の向こうに、世界があるような気がした。
あの頃は木剣だった。
ハリトの弓も小さかった。
《グラスドッグ》一頭から、二人で逃げた。
魔法もまともに使えなかった。
LEVELすらなかった。
それから八年。
ニールは十五歳になった。
ハリトは十六歳になった。
二人とも、別に特別強いわけじゃない。
同じ年頃で、ニールより剣の上手い者はいくらでもいる。
ハリトより弓の上手い者だっている。
天才でもない。
英雄でもない。
ただ。
八年間。
遊んで。
失敗して。
逃げて。
練習して。
また挑戦して。
少しずつ、できることを増やしてきた。
「行こうぜ」
「ああ」
二人は扉を開ける。
懐かしい光景。
依頼掲示板。
冒険者たち。
受付。
「いらっしゃ――」
受付の女性が、二人を見る。
「…………」
その手が止まった。
ニールは笑った。
「覚えてる?」
「……まさか」
「ニール・レイン!」
自分の胸を指差す。
「こっちはハリト・ヴェール!」
「勝手に紹介するな」
女性は二人を見つめた。
七歳と八歳だった少年たち。
あの日。
冒険者になりたいと言って、この場所へやってきた子どもたち。
それが今。
剣と弓を携え、自分たちの足で再びここに立っている。
女性は、ゆっくり笑った。
「……本当に来たのね」
「うん!」
ニールは大きく頷いた。
そして――。
八年前と同じ言葉を口にした。
「冒険者になりに来ました!」
今度は。
誰も――。
帰れとは言わなかった。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
今回は一気に八年間を描きました。
七歳だったニールは十五歳へ。
八歳だったハリトは十六歳へ。
ただ、この八年間で大切にしたかったのは、
「LEVELがなくても、人は成長している」
という部分です。
十五歳になったニールに表示されたのは、
《LEVEL 一》
八年間も剣を振ってきたのに、一。
でも、ガイルが言ったように、
「それが、お前の八年だ」
LEVEL一になったからといって、昨日まで積み上げてきたものが消えるわけではありません。
剣の構え。
森の歩き方。
魔物と遭遇した時の判断。
水の魔法。
失敗した経験。
逃げた経験。
そして、仲間と一緒に何かを成し遂げた経験。
数字には現れなくても、全部ニールの中に残っています。
このあたりは、今後描いていく「強さとは何なのか」にも繋がっていく部分です。
そしてもう一人。
ハリトは、まだ「何になりたいのか」を決めていません。
ニールのように、すぐ答えが出る人もいる。
ハリトのように、なかなか答えが見つからない人もいる。
だからこそ、
「分からないなら、世界を見に行けばいい」
そんなニールの一言が、八年かけてハリトの選択にも繋がっていきました。
そして最後は――。
八年前と同じ《冒険者ギルド》。
八年前と同じ受付。
八年前と同じ言葉。
「冒険者になりに来ました!」
でも今度は、
誰も「帰れ」とは言わない。
ここからようやく、ニールとハリトの本当の冒険者生活が始まります。
二人がどんな冒険者になっていくのか見届けたいと思っていただけましたら、ぜひブックマークや評価で応援よろしくお願いします!
次回――。
十五歳になったニールにとって、最初の冒険者としての一歩です。




