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第三十六話『進むために』(改訂版 ver1.01)

最後までお読みいただき、ありがとうございます!


今回はハリトの成長回でした。


井戸を完全に直すことはできるかもしれない。


でも、それが今の自分たちの「やるべきこと」なのか。


誰かを助けることも大切。

任された依頼を果たすことも大切。


だからこそハリトは、自分で考え、仲間に役割を任せ、最後には「ここまでにしよう」と決断しました。


できることと、今やるべきことは違う。


進み続けるためには、時には自分で「ここまで」と決めることも必要なのかもしれません。


そして――。


ミーナはLEVEL7。

ハリトはLEVEL9。

ニールはLEVEL10。


二人の成長を見て、「次は俺だ!」と張り切るニールですが……。


次に待っているのは、ニールが一番苦手な選択。


三つ星昇格試験も、いよいよ後半戦です。


次回もぜひお楽しみに!


続きが気になると思っていただけたら、高評価・ブックマークで応援していただけると、とても励みになります!

 日が沈む少し前。


 俺たちは。


 ようやく目的の宿場へ辿り着いた。


「着いたー!」


 俺は両腕を上げる。


「まだ依頼終わってないよ」


「分かってる! 今日はここまでって意味!」


「箱、落とさないでよ」


「落とさないって!」


 現在。


 木箱を持っているのは俺だ。


 途中で何度か交代しながら。


 ここまで運んできた。


 荷馬車を助けて。


 《鉄牙猪(アイアンボア)》とは戦わず。


 ミーナの案内で街道へ戻って。


 予定よりは少し遅れたけど。


 明日の日没までには。


 十分間に合う。


 あとは。


 ここで休んで。


 明日の朝。


 出発すれば――。


「……あれ?」


 何か。


 変だ。


 宿場へ入ってすぐ。


 俺たちは足を止めた。


「静かだね」


 ミーナが言った。


 確かに。


 建物はいくつもある。


 宿屋も。


 食事をする場所も。


 馬を休ませる場所もある。


 なのに。


 人が少ない。


 何人かの住民が。


 大きな桶を持って歩いている。


 その先を見ると。


 宿場の中央にある井戸に。


 人が集まっていた。


「何かあったのかな」


「聞いてみよう」


 ハリトが言った。


     ◇ ◇ ◇


「すまないね」


 宿屋の主人が。


 申し訳なさそうに頭を下げた。


「今日は旅人を泊められないんだ」


「えっ」


 俺たちは。


 顔を見合わせる。


「満室?」


「いや」


 主人は首を振った。


「水がない」


「水?」


 主人が。


 宿場の中央を見る。


「数日前から井戸の水が減っててな。今朝になって、ほとんど出なくなっちまった」


「井戸が壊れたんですか?」


「分からん」


 この宿場には。


 中央に大きな井戸が一つ。


 少し離れた場所にも。


 小さな井戸があるらしい。


 ただ。


 そっちは普段から水量が少ない。


 今は。


 住民が使う分だけで精一杯。


「旅人まで泊めるとなると、水が足りないんだ」


「なるほど……」


 困った。


 俺たちは。


 ここに泊まる予定だった。


「次に泊まれる場所は?」


 ハリトが聞く。


「ここから西なら……歩いて半日くらいだな」


「半日!?」


 空を見る。


 もうすぐ。


 日が暮れる。


 今から進めば。


 完全に夜道だ。


「野営する?」


 ミーナが聞いた。


「それが一番現実的かな」


 ハリトが答える。


「食料はある。水も、僕たちの分なら残ってる」


「じゃあ――」


 俺は。


 井戸を見る。


 宿場の人たちが。


 桶を持って並んでいる。


「……なあ」


「ニール」


「まだ何も言ってないぞ」


「井戸を直そう、とか考えてない?」


「なんで分かった!?」


「顔」


「俺そんなに顔に出る!?」


「出るよ」


 ミーナまで頷く。


「…………」


 そんなにか。


 俺は。


 シロナを見る。


「私を見ても答えは――」


「分かってます!」


 先に言ってやった。


「おお」


 シロナが。


 少しだけ目を見開く。


「成長しましたね」


「そこ!?」


 でも。


 俺は。


 もう一度井戸を見る。


 このまま放っておくのも。


 なんか違う気がする。


「少しくらい調べてもいいんじゃないか?」


 俺は言った。


「原因がすぐ分かるかもしれないし」


「うん」


 ハリトが頷く。


「僕もそう思う」


「じゃあ!」


「でも」


 ハリトが。


 俺の持っている木箱を見る。


「僕たちには、僕たちの依頼がある」


「……うん」


「明日の日没までに、これを《ルーベン村》へ届ける」


 この箱の中に。


 何が入っているのか。


 俺たちは知らない。


 でも。


 誰かが待っている。


「だから」


 ハリトが。


 空を見る。


 残っている明るさ。


 地図。


 宿場。


 それから。


 俺とミーナを見る。


「まず三十分」


「三十分?」


「三十分だけ、原因を探そう」


 ハリトが言った。


「それで手掛かりがなければ、今日は宿場の外で野営する」


「でも、三十分で見つかったら?」


「その時に、また考える」


「…………」


 俺は。


 ハリトを見る。


「なんか、しっかりしてるな」


「普通だよ」


「俺だったら見つかるまで探してた」


「だから時間を決めたんだよ」


「俺対策!?」


「半分くらい」


「半分も!?」


 ミーナが笑う。


「じゃあ、決まりだね」


「うん」


 ハリトが頷いた。


「三十分だけ調べよう」


     ◇ ◇ ◇


「井戸そのものは、おかしくなさそう」


 ミーナが。


 井戸の中を覗き込んでいる。


「壊れてる感じはないよ」


「じゃあ、なんで水がないんだ?」


「それが分かったら苦労しないでしょ」


「ですよね」


 俺には。


 井戸のことなんて分からない。


 とりあえず。


 俺も中を覗く。


「…………」


「何か分かった?」


「暗い」


「もうニールはいいよ」


「今日それ二回目じゃない!?」


「だって役に立たないし」


「ひどい!」


 その時。


「…………」


 ハリトだけが。


 井戸を見ていなかった。


 宿場を見る。


 地面を見る。


 桶を持って歩く人たちを見る。


 それから。


 宿場の外へ目を向ける。


「ハリト?」


「……井戸だけ見ても、分からないんじゃないかな」


「どういうこと?」


「水が減ったなら」


 ハリトが言う。


「水が来なくなった原因が、別の場所にあるのかもしれない」


「別の場所?」


「うん」


 ハリトが。


 俺たちを見る。


「ニール。ミーナ」


「ん?」


「僕に考えがある」


 ハリトが。


 宿場の外を指した。


「周りを調べてみたい」


     ◇ ◇ ◇


 宿場の外へ出る。


 ハリトは。


 何度も立ち止まった。


 草を見る。


 土を見る。


 木を見る。


「何探してるんだ?」


「水」


「水?」


「宿場の人が使っていたなら、どこかから来ていたはずだから」


「井戸じゃないの?」


「井戸の水だって、何もないところから湧いてくるわけじゃないだろ?」


「…………」


 なるほど。


「ハリト」


「何?」


「頭いいな」


「今!?」


 ミーナが。


 しゃがみ込んだ。


「この辺は乾いてるね」


「うん」


 さらに歩く。


 そして。


「……あれ?」


 今度は。


 ハリトがしゃがんだ。


「どうした?」


「ここの草」


「草?」


「少し湿ってる」


 言われて。


 俺も触ってみる。


「……ほんとだ」


 周りは乾いている。


 でも。


 そこだけ。


 わずかに土が湿っていた。


「ミーナ」


「うん」


 ミーナも。


 土へ手を伸ばす。


「確かに湿ってる」


 ハリトが立ち上がる。


 湿った場所が。


 少し先まで続いている。


「……こっちだ」


 俺たちは。


 その跡を追った。


 宿場から少し離れると。


 木々が増えてくる。


 そして。


「水!」


 小さな沢へ出た。


「あるじゃん」


 俺が言った。


「でも」


 ミーナが。


 沢のそばへしゃがむ。


「少ないね」


 細い水が。


 ゆっくりと流れている。


 ハリトは。


 下流を見る。


 それから。


 上流を見る。


「……上へ行こう」


「何かある?」


「まだ分からない」


 ハリトが言った。


「だから、確かめたい」


     ◇ ◇ ◇


 沢沿いを。


 しばらく進む。


 そして。


「あれ」


 最初に気づいたのは。


 ハリトだった。


「うわ」


 大きな倒木。


 その周りに。


 土。


 石。


 枝。


 いろんなものが溜まっている。


 完全に塞がっているわけじゃない。


 でも。


 本来流れていたらしい方向とは別の場所へ。


 水が大きく逸れていた。


「これか?」


 俺が聞く。


「……分からない」


「分からない?」


「これが井戸の原因だっていう確証はない」


 ハリトは。


 倒木の向こうを見る。


 水の流れ。


 地面。


 宿場の方向。


「でも」


 ハリトが言った。


「水の流れが変わってるのは間違いない」


「じゃあ」


「時期も合う」


 数日前から。


 井戸の水が減り始めた。


 倒木。


 土。


 枝。


 それで。


 水の流れが変わった。


「試してみる価値はあると思う」


「よし!」


 俺は。


 腕をまくる。


「じゃあ、この木をどければいいんだな!」


「待って」


「なんで!?」


「それ全部動かすつもり?」


「そうだけど」


「何時間かかると思ってるの?」


「…………」


 大きな倒木を見る。


「頑張れば」


「頑張る時間の話をしてるんだよ」


「はい」


 ハリトは。


 倒木そのものではなく。


 その周りに溜まっている枝や石を見る。


「全部やる必要はない」


「じゃあ?」


「水の流れを少しだけ戻そう」


 ハリトが。


 一か所を指差した。


「ここ」


 枝。


 石。


 土。


「ここを退ければ、元の方向へ水を流せるかもしれない」


「それだけでいいの?」


「井戸に水が戻るかは分からない」


 ハリトは。


 はっきり言った。


「でも、今できる中では一番試す価値があると思う」


「…………」


 なんだろう。


 今日のハリト。


 いつもと少し違う。


 いつも。


 ハリトはいろんなことに気づく。


 俺を止めたり。


 意見を言ったり。


 俺が気づかないことを教えてくれたり。


 でも。


 今日は。


 ハリトが。


 俺たちを動かしている。


「分かった」


 俺は頷く。


「何すればいい?」


「ニールは大きな石を動かして」


「任せろ」


「ミーナは、水がどこを通るか見てもらえる?」


「うん」


「僕は?」


 ハリトは。


 一瞬考えて。


「全体を見る」


「おお」


「何?」


「いや」


 俺は笑う。


「リーダーっぽい」


「……からかわないでよ」


「からかってないって」


 俺は。


 背負っていた木箱を見る。


「じゃあ、まずこれ――」


「私が持つ」


 ミーナが手を出す。


「絶対――」


「落とさない」


「まだ言ってない!」


「毎回言うから」


「一回くらい最後まで言わせろよ!」


「はいはい」


 ミーナに箱を預ける。


 そして。


 俺たちは。


 作業を始めた。


     ◇ ◇ ◇


「ニール、そっちの石!」


「これ!?」


「それじゃなくて右!」


「こっち!?」


「それ左!」


「俺から見て!?」


「ニール、もうちょっと右!」


「だから俺から見て!?」


「もういい! 僕が指差す!」


「最初からそうして!」


 石をどける。


 枝を動かす。


 土を掘る。


 俺が力仕事。


 ミーナが。


 水の流れる先を細かく確認する。


 そして。


 ハリトが。


 全体を見ながら指示を出す。


「そこ、もう少し広げよう」


「ここ?」


「うん」


「ハリト」


 ミーナが呼ぶ。


「こっち、流れ始めてる」


「じゃあ、そこは触らないで。崩れるかもしれない」


「分かった」


 少しずつ。


 本当に。


 少しずつ。


 水が動き始めた。


「あ」


 ミーナが言った。


「流れた」


 細い。


 でも。


 さっきまで横へ逸れていた水が。


 ハリトの作った道へ。


 流れ込んでいく。


「よっしゃ!」


 俺は。


 思わず拳を上げる。


「ハリト! 当たりじゃん!」


「まだ分からないよ」


「でも水は戻った!」


「井戸まで戻るかは別だから」


「細かいなあ!」


「大事でしょ!」


 それでも。


 ハリトも。


 少し笑っていた。


「もう少し広げよう」


「おう!」


 俺たちは。


 作業を続けた。


 水の量が。


 少しずつ増えていく。


 もう少し。


 もう少しだけ。


 広げれば。


 もっと。


 そして。


「……ハリト」


 ミーナが言った。


「うん」


 空が。


 かなり暗くなっていた。


「もうこんな時間か」


 ハリトが。


 空を見る。


「あと少しだぞ」


 俺は言った。


「もう少しやれば、もっと流せる」


「…………」


 ハリトは。


 水を見る。


 俺も。


 分かる。


 あと少し。


 あそこの石をどけて。


 もう少し土を掘って。


 枝を外せば。


 もっと流れる。


 できる。


 まだ。


 できる。


「ハリト?」


 ハリトが。


 木箱を見る。


 空を見る。


 水を見る。


 そして。


「……ここまでにしよう」


「え?」


 俺は。


 思わず聞き返した。


「でも、あと少しだぞ?」


「うん」


「だったら――」


「できると思う」


「じゃあ!」


「でも」


 ハリトが。


 俺を見る。


「できることと、今やるべきことは違うと思う」


「…………」


「僕たちは、この宿場の井戸を直しに来たんじゃない」


 ミーナが持っている。


 木箱を見る。


「僕たちの依頼は、この荷物を《ルーベン村》へ届けることだ」


「……うん」


「何もしなかったわけじゃない」


 ハリトは。


 流れ始めた水を見る。


「原因かもしれない場所は見つけた」


「うん」


「応急処置もした」


「うん」


「ここから先は」


 ハリトが。


 宿場の方を見る。


「宿場の人たちに伝えよう」


 明るくなってから。


 人数を集めて。


 道具を持って。


 きちんと直せばいい。


「俺たちが全部やる必要はない……か」


「うん」


「…………」


 俺は。


 少しだけ笑った。


「ハリト」


「何?」


「なんか冒険者っぽいな」


「僕たち冒険者だよ」


「そうだった」


「忘れないで」


 ミーナが笑う。


 その時。


「……あれ?」


 ハリトが。


 自分の胸元へ手を当てた。


「どうした?」


「今……」


 目を閉じる。


 少しして。


 開く。


「……上がった」


「え?」


「LEVEL」


 まさか。


「九になった」


「おおっ!」


「ちょっとニール!」


「大丈夫! ここにアイアンボアはいない!」


「だからって叫ばなくていいでしょ!」


「でも!」


 俺は。


 ハリトを見る。


「LEVEL九だぞ!」


「うん。僕が一番びっくりしてる」


「魔物倒してないのに!」


「ミーナも昨日……じゃなくて、さっきそうだったでしょ」


「そうだけど!」


 ミーナが。


 にやっと笑う。


「これで私が七。ハリトが九」


「…………」


「ニール?」


「二人ともずるい!」


「何が!?」


「試験始まってから二人ともLEVEL上がってる!」


「ニールはLEVEL十でしょ!」


「LEVELの高さの問題じゃない!」


「じゃあ何の問題なの?」


「俺だけ何も起きてない!」


「知らないよ!」


 ハリトが笑う。


 ミーナも笑う。


 俺も。


 つられて笑った。


 そして。


 少し離れたところにいる。


 シロナを見る。


 シロナは。


 何も言わない。


 ただ。


 俺たちを見て。


 ほんの少しだけ。


 微笑んでいた。


     ◇ ◇ ◇


「水だ!」


 宿場へ戻ると。


 井戸の周りから。


 声が上がっていた。


「少しずつだが、戻ってるぞ!」


 俺たちは。


 顔を見合わせる。


「当たりじゃん!」


「だから、まだ――」


「もういいだろ! これは当たりで!」


 ハリトが。


 困ったように笑った。


 宿屋の主人が。


 俺たちのところへ駆けてくる。


「何をしたんだ?」


「沢の上流で、水の流れが変わっていました」


 ハリトが説明する。


「倒木の周りに枝や土が溜まっていて。それが原因かもしれません」


「それを直してくれたのか?」


「少しだけです」


 ハリトは。


 首を振る。


「応急処置しかしてません。明日、明るくなったら何人かで確認した方がいいと思います」


「十分だ!」


 主人が。


 ハリトの手を握る。


「本当に助かった!」


「いえ」


「今日は泊まっていってくれ!」


「え?」


「水が戻り始めた。四人くらいなら問題ない!」


 俺たちは。


 顔を見合わせる。


「シロナ」


「私に聞くんですか?」


「いや、これは試験じゃなくて宿の話!」


「それなら」


 シロナが笑う。


「泊まりたいですね」


「よし!」


 野営回避!


「でも」


 ハリトが言った。


「使う水は最低限にしましょう」


「もちろんだ」


 主人が頷く。


 俺は。


 ハリトを見る。


「じゃあ今日はここまでだな」


「うん」


 明日。


 《ルーベン村》へ。


 俺たちが運んでいる。


 小さな木箱。


 中に何が入っているのかは。


 まだ知らない。


 だけど。


「ハリト」


「何?」


「さっき言ってたこと」


「さっき?」


「俺たちには、届けなきゃいけないものがあるって」


「ああ」


「そうだよな」


 誰かが。


 この箱を待っている。


 中身が。


 何なのか知らなくても。


 俺たちは。


 それを任された。


「明日、ちゃんと届けようぜ」


「うん」


「当たり前でしょ」


 ミーナも笑う。


 ミーナ。


 LEVEL七。


 ハリト。


 LEVEL九。


 そして。


 俺。


 LEVEL十。


「…………」


「ニール?」


「次は俺だ」


「まだ言ってる」


「だって二人とも上がったじゃん!」


「だから、LEVELアップは順番じゃないって」


「分かってるよ!」


「じゃあなんで言うの?」


「なんとなく!」


 ミーナが笑う。


「LEVEL十一になったら何かあるの?」


「ん?」


 言われて。


 俺は。


 腰のベルトを見る。


 LEVEL十になった時。


 《勇者技能》の《蒼駆Ⅰ》。


 《伝説技能》の《蒼閃Ⅰ》。


 二つの力が使えるようになった。


 でも。


 まだ。


 どっちも。


『――未熟』


「うるさいな!?」


「どうしたの?」


「今、ベルトさんに未熟って言われた!」


「何も聞いてないのに?」


「何も聞いてないのに!」


「先回りされたね」


「ベルトさんまで俺で遊び始めてない!?」


『――否定』


「本当か!?」


 返事はない。


「都合悪くなると黙る!」


 ミーナとハリトが笑う。


 シロナまで。


 少し離れたところで笑っていた。


 俺たちは。


 宿へ入る。


 三つ星昇格試験。


 残るは。


 《ルーベン村》まで。


 あと一日。


 ミーナは。


 自分で進む道を決めた。


 ハリトは。


 自分で考えて。


 俺たちを動かして。


 そして。


 進むために。


 自分から「ここまで」と決めた。


 じゃあ。


 俺は?


 俺は。


 何を選ぶ?


 この時の俺は。


 まだ知らなかった。


 明日。


 俺が選ぶことになるのが。


 俺自身が。


 一番苦手なことだってことを。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!


今回はハリトの成長回でした。


井戸を完全に直すことはできるかもしれない。


でも、それが今の自分たちの「やるべきこと」なのか。


誰かを助けることも大切。

任された依頼を果たすことも大切。


だからこそハリトは、自分で考え、仲間に役割を任せ、最後には「ここまでにしよう」と決断しました。


できることと、今やるべきことは違う。


進み続けるためには、時には自分で「ここまで」と決めることも必要なのかもしれません。


そして――。


ミーナはLEVEL7。

ハリトはLEVEL9。

ニールはLEVEL10。


二人の成長を見て、「次は俺だ!」と張り切るニールですが……。


次に待っているのは、ニールが一番苦手な選択。


三つ星昇格試験も、いよいよ後半戦です。


次回もぜひお楽しみに!


続きが気になると思っていただけたら、高評価・ブックマークで応援していただけると、とても励みになります!

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