↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
32/99

第二十八話『え、喋るの?』(改訂版 ver.1.01)

第一章 第二十八話『え、喋るの?』(改訂版 ver.1.01)です。


青の勇者になって、分からないことが一気に増えたニール。


だったら――本人に聞けばいい。


……本人?


いや、装備なんだけど。


何となく《勇者装具》に話しかけてみたニールに、まさかの返事が返ってきます。


《――肯定》


「…………え?」


五百年前から残る謎の装具。


どうやらこいつ、ただの装備ではないようです。


今回も楽しんでいただけたら、ぜひブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!

 その日の夜。


「…………」


 俺はベッドの上に座っていた。


 目の前には。


 青の《勇者装具》。


 昼間。


 バルドさんに言われた言葉が、まだ頭に残っている。


『知らねえもんがあるから、調べるんだ』


「……確かに」


 俺。


 こいつのこと、何にも知らない。


 蒼天遺跡の地下で見つけた。


 俺にしか反応しない。


 俺が触れると青く光る。


 俺を《青の勇者》として認証した。


 五百年前のものらしい。


 そして。


 たぶん、これ以外にも青の勇者の装備がある。


「…………」


 以上。


「全然知らないな」


 よく考えたら、とんでもないものを腰につけて歩いている。


 俺は《勇者装具》を持ち上げた。


「お前、何なんだ?」


 返事はない。


「青の勇者装具……でいいんだよな?」


 当然。


 返事はない。


「何ができるんだ?」


 返事はない。


「…………」


 まあ。


 そうだよな。


 装備に話しかけてる俺が変なんだ。


「名前とかないの?」


 返事はない。


「ずっと《青の勇者装具》って呼ぶの長くない?」


 返事はない。


「装具……」


 何か堅い。


「ベルト」


 青い光が。


 ピカッ。


「…………」


 俺は止まった。


「今、光った?」


 返事はない。


「ベルト?」


 ピカッ。


「…………」


 もう一度。


「ベルト」


 ピカッ。


「反応してる!?」


 俺は《勇者装具》を持ち上げた。


「お前、ベルトって分かるの?」


 …………。


「ベルトさん?」


 ピカッ。


「ベルト様?」


 …………。


「ベルトちゃん?」


 ピカッ。


「そこ反応するの!?」


 偶然だ。


 たぶん。


 光ることくらいある。


 五百年前の謎の装具だし。


「…………」


 でも。


 何だか気になった。


 昨日。


 蒼龍と戦った時。


 こいつは俺の腰にあった。


 俺が青の勇者として認証されたのも、こいつを受け取った時だ。


「なあ」


 俺は装具を見る。


「昨日さ」


 青い部分が、淡く光っている。


「俺が青の勇者になったのって、お前のおかげなのか?」


 …………。


「いや、違うか。蒼龍が俺を認めたから、お前を渡されたんだよな」


 …………。


「それとも、お前が俺を認めたの?」


 …………。


「まあ、答えるわけないよな」


 俺は笑った。


「装備だもんな」


 その時だった。


 頭の奥へ。


 何かが触れた。


《――肯定》


「…………」


 俺は動きを止めた。


「…………え?」


 部屋を見る。


 誰もいない。


「今……」


 声?


 違う。


 耳から聞こえたわけじゃない。


 頭の中へ。


 直接。


 何かの意味が入ってきた。


「…………」


 恐る恐る。


 腰を見る。


「お前?」


 少し間があって。


《――肯定》


「…………」


《…………》


「え、喋るの?」


《――肯定》


「喋れるの!?」


 思わず立ち上がった。


「ちょっと待って! お前、喋れるの!?」


《――肯定》


「昨日言えよ!」


《――回答不能》


「なんで!?」


《――同調不足》


「どうちょう?」


《――肯定》


「いや、肯定じゃなくて! 同調って何!?」


《…………》


「…………」


《――回答困難》


「自分で言っといて!?」


 何だこいつ。


 俺はベッドに座り直した。


 心臓が、やたら速い。


 でも。


 怖いというより。


「すげえ……」


 何だこれ。


 面白い。


「もう一回喋って」


《…………》


「何でもいいから」


《…………》


「俺の名前分かる?」


《――ニール・レイン》


「おおおおっ!」


 立ち上がる。


「俺の名前言った!」


《――肯定》


「すげえ! お前すげえ!」


《…………》


「ハリトは?」


《――ハリト・ヴェール》


「分かるの!?」


《――肯定》


「父さんは?」


《――不明》


「母さんは?」


《――不明》


「トーマは?」


《――不明》


「バルドさんは?」


《――不明》


「何でハリトだけ分かるんだ?」


《…………》


《――記録》


「記録?」


《――肯定》


 俺は考える。


 ハリトは、蒼天遺跡の地下に一緒にいた。


 俺が認証された時も。


 蒼龍との試練の時も。


「もしかして、昨日から周りのこと見てた?」


《――肯定》


「じゃあ、エマさんも?」


《――エマ》


「おおっ!」


 何だ。


 ちょっと楽しくなってきた。


「レイヴさん!」


《――レイヴ・アルディス》


「そこまで分かるの!?」


《――肯定》


「じゃあ銀髪の子!」


《――不明》


「そりゃ会ってないもんな」


《――肯定》


「なるほど!」


 会話。


 できてる。


 ものすごく片言だけど。


 ちゃんと俺の言ってることを理解してる。


「じゃあさ」


 俺は装具を持ち上げた。


「お前は蒼龍なの?」


《――否定》


「違うんだ!」


 やっぱり。


 昨日、地下で聞いた蒼龍の声とは違う。


 あっちは部屋全体に響くような声だった。


 今のこれは。


 もっと近い。


 俺の頭の中へ、直接意味が入ってくる。


「じゃあ、お前は誰?」


《…………》


《――青の勇者装具》


「それは知ってる」


《――肯定》


「名前は?」


《――不明》


「自分の名前なのに!?」


《――不明》


「じゃあ俺がつけてもいい?」


《…………》


 少し。


 間があった。


《――回答不能》


「そこ回答不能なの!?」


 難しい。


 こいつ。


 かなり難しい。


 でも。


 さっき。


 ベルトちゃんで光った。


「じゃあ、とりあえずベルトちゃんで」


 ピカッ。


「気に入ってるだろ!」


《――否定》


「今の速かったな!?」


 否定だけ異様に速かった。


「じゃあベルトさん」


《――否定》


「ベルト様」


《――否定》


「装具くん」


《――否定》


「青ちゃん」


《――否定》


「全部嫌なの!?」


《――肯定》


「そこは肯定するんだ!?」


 ……名前をつけるのは、もう少し後にしよう。


     ◇ ◇ ◇


「あ!」


 俺は思い出した。


「そうだ!」


《――?》


「今、ハテナ出した!?」


《――不明》


「まあいいや!」


 聞きたいことがある。


「俺さ。昨日LEVEL上がったんだよ」


《――肯定》


「それも知ってる?」


《――肯定》


「じゃあ教えて!」


 俺は身を乗り出す。


「俺、昨日魔物を一匹も倒してないのに、なんでLEVEL三になったの?」


《…………》


「知ってる?」


 少し間があって。


《――肯定》


「知ってるの!?」


《――肯定》


「じゃあ何で!?」


《…………》


 青い部分が、一度明滅した。


《――回答制限》


「そこは教えてくれないのかよ!」


《――肯定》


「何で!?」


《――記録領域》


《――制限》


「記録……?」


《――肯定》


 また。


 知らない言葉が出てきた。


「じゃあLEVELについての記録はある?」


《――肯定》


「見せて」


《――不可》


「なんで!?」


《――制限》


「解除できる?」


《――肯定》


「どうやって?」


《…………》


《――同調》


「またそれ!」


 同調。


 さっきも言っていた。


「同調すれば、もっと色々分かるようになる?」


《――肯定》


「じゃあ同調ってどうやるの?」


《…………》


《――回答困難》


「そこ一番大事だろ!」


 俺は頭を抱えた。


 こいつ。


 知ってる。


 でも。


 教えられない。


 喋れる。


 でも。


 上手く喋れない。


 何なんだ。


「……同調って、今どれくらいなの?」


 今度は少し長く沈黙した。


 やがて。


 頭の中に意味が届く。


《同調段階――一》


「一?」


《――肯定》


「じゃあ二とか三もある?」


《――肯定》


「上がったらもっと喋れる?」


《――肯定》


「おお!」


 俄然やる気が出てきた。


「どうやったら上がる!?」


《…………》


「…………」


《――回答困難》


「だからそこを教えてよ!」


     ◇ ◇ ◇


 それから。


 俺は色々聞いた。


「五大勇者について知ってる?」


《――肯定》


「五百年前の?」


《――肯定》


「アズール・セインって誰?」


《…………》


 反応が止まった。


「……知ってる?」


《――肯定》


 やっぱり。


「どんな人?」


《――記録領域――制限》


「またそれかぁ……」


 昨日。


 俺が見たもの。


 青い剣。


 赤い誰か。


 そして。


『――アズール!』


 あれが誰かの記憶なら。


 こいつは、何か知っている。


「じゃあ他の勇者は?」


《――探索中》


「探してるの?」


《――肯定》


「赤は?」


《――探索中》


「緑」


《――探索中》


「黄色」


《――探索中》


「白」


《――探索中》


「全員探索中じゃん!」


《――肯定》


「見つかってない?」


《…………》


 少し。


 長い沈黙。


《――確定情報――不足》


「……?」


 何だ。


 今。


 ちょっとだけ。


 返事が違った気がした。


「何か反応してる?」


《――肯定》


「どの色?」


《…………》


《――回答――制限》


「また!?」


 俺はベッドへ倒れ込んだ。


「お前、肝心なところ全然教えてくれないな!」


《――肯定》


「そこ肯定するなよ!」


     ◇ ◇ ◇


 どれくらい話していたんだろう。


 気づけば。


 窓の外はすっかり暗くなっていた。


「……寝るか」


 明日も。


 冒険者の仕事を探したい。


 ハリトにも。


 こいつのことを話さないと。


「でも、ハリトには聞こえるのかな?」


《――否定》


「え?」


 俺は起き上がった。


「聞こえないの?」


《――肯定》


「俺だけ?」


《――肯定》


「なんで?」


《――認証》


「俺が認証されてるから?」


《――肯定》


「なるほど……」


 つまり。


 今の会話は。


 俺にしか聞こえていない。


「……明日ハリトの前で喋ったら、俺一人で装具と会話してるように見える?」


《――肯定》


「嫌だな、それ!」


 絶対。


 変な目で見られる。


 いや。


 ハリトなら。


『ニールだからね』


 で終わりそうだ。


「…………」


 それはそれで嫌だ。


 俺は《勇者装具》を外し、椅子の上へ置いた。


「まあいいや」


 布団へ入る。


「明日、また色々聞くからな」


《――肯定》


「そのうち、ちゃんと喋れるようになれよ」


《――肯定》


「あと名前も考えよう」


《――否定》


「なんでだよ!」


 こいつ。


 名前つけられるの、本当に嫌なのか?


 俺は笑いながら布団をかぶった。


「じゃ、おやすみ」


 返事はない。


「…………」


 まあ。


 さすがに。


 おやすみまでは分からないか。


 目を閉じる。


 少しして。


 頭の中へ。


 何かが届いた。


《――オヤスミ》


「…………」


 目を開ける。


「今、おやすみって言った?」


《――肯定》


「覚えたの!?」


《――学習》


「学習してんの!?」


《――肯定》


「…………」


 俺は椅子の上の《勇者装具》を見る。


 青い光が。


 ほんの少し。


 明滅した。


「……何だよ」


 思わず。


 笑ってしまった。


「ちょっと可愛いじゃん」


《――否定》


「そこは聞こえてるのかよ!」


 青の《勇者装具》。


 五百年前から残る。


 勇者の力。


 世界のどこにもない素材で造られた、謎の装備。


 そして。


 今日。


 新しく分かったことが一つ。


 こいつ。


 喋る。


 しかも――。


 たぶん。


 これからもっと。


「おやすみ。ベルトちゃん」


《――否定》


「はいはい」


 目を閉じる。


 今度こそ。


 返事はなかった。


 ただ。


 俺が眠りにつく直前。


 椅子の上で。


 青い光が。


 小さく。


 一度だけ瞬いた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!


喋っとるベルト…


まるで某仮面ドライバーの話すアレを彷彿とさせますね笑


ということで今回、青の《勇者装具》が初めてニールへ返事をしました。


とはいえ、まだ、


《肯定》

《否定》

《不明》

《回答困難》


くらい。


しかも肝心なことを聞くと、


《記録領域――制限》


便利なようで、全然便利じゃない。


そして「ベルトちゃん」と呼ばれるのは、どうやら嫌らしいです汗


某仮面ドライバーなら、『ベルトさん』


と呼ぶと、気さくに答えてくれたものです。


でも今回、かなり重要なのが、


《同調段階――一》


という言葉。


ニールと《勇者装具》の関係は、まだ始まったばかりです。


今はまともに会話することすらできません。


それでもニールの言葉を聞き、少しずつ覚えていく。


最初はただの「装備」だったものが、この先どんな存在になっていくのか。


そして、


魔物を倒していないのに、なぜLEVELが上がったのか。


《勇者装具》は、その理由をどうやら知っている。


けれど今はまだ教えてくれません。


五大勇者。


五百年前。


アズール・セイン。


LEVEL。


そして、他の四色の勇者。


分からないことだらけですが――それも冒険ということで。


ちなみに作者としては、もうベルトちゃん呼びが気に入っています。


本人は全力で、


《――否定》


していますが


START YOUR ENGIEN!


続きも気になると思っていただけたら、ぜひブックマークや評価で応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。