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7話 乱戦にて

7話まで来ました! 


お読み下さりありがとうございます!


まだまだ続きますー!

宜しくお願いいたします〜


土埃にあたりが覆われる中あちこちから聞こえる剣戟と怒号。

そして何かが倒れる音や魔の風切り音。


誰かが魔法を唱え誰かが咆哮と共に走り出す。


俺の周りにももうもうと上がった土煙で状況が分からない。


「お前達! お互いに背を向けカバーし合え」


すぐ側にいるであろう新人達にそう叫ぶ!

返事を確認する間もなく土埃を割って巨大な剣が降ってきた!


咄嗟に身を躱し……身体のすぐ横を掠めた刃が地面へと突き刺さる!


(ちっ、オークかよ)


ゴブリンよりも数倍でかい巨体の魔物が姿を現した。

豚を潰したような醜悪な顔を持つが巨体から繰り出される力はかなりの破壊力を持つ。


再び剣を振り上げようとしたその持ち手にメイスを思い切り振り下ろした!!


指が潰れる感触と共にオークが不気味な悲鳴を上げる!

しかし直ぐにこちらに怒りのこもった目を向けると両手で掴みかかってきた!


身体を低くし両の手をかいくぐる!

オークは咄嗟に金髪を掴もうとしたがそれは軽やかに隙間を抜けていく。


そして後ろに回り込んだ俺はオークの腰部分を踏み台に跳躍すると、


「暫く寝てろ!」


その頭部にメイスを振り下ろす!!

今度は悲鳴を上げることなくその巨体が地面へと沈み込んだ。


着地と同時に目の前を矢が通り過ぎる!


(この視界はやばいな)


俺は新人の中に魔術師がいることを思い出し、


「魔法で土埃を吹きとばせ!」


「は、はい!」


可愛らしい少女の返事が聞こえ、すぐ後に風が巻き起こり始める。

風は徐々に強さを増していき、やがて土埃を吹き飛ばした!


「うぁ……」


新人の一人がうめきとも悲鳴ともつかない声を漏らした。

視界が戻ったそこには敵味方問わず多くの死体が倒れている。

そこかしこも血が流れており、破壊された門は大きく口を空け今でも魔物や魔獣が雪崩込んできていた。

それを食い止めるように衛兵と冒険者達が一団となって抑え込んでいる。


「お前達は怪我人を探して後方に下げろ!」


俺は新人達にそう叫ぶと前線に向かって駆け出す。

と、合流しようとした目の前で冒険者の一人が狼型の魔獣に顔を爪で切り裂かれ悲鳴と共に地面を転げ回る。


「こいつ!」


更に追いすがる魔獣を横薙ぎに払い吹っ飛ばした!


「大丈夫か!?」


急いで振り返ったが既にその冒険者はこと切れていた。

顔から喉にかけ切り裂かれておりゴポゴポと泡立った血が溢れ出ている。


(死んだら……流石に回復魔法でも無理だ)


その冒険者も見覚えがあり俺に求婚してきた一人だ。

もっと鍛えられてたら死ななかったかもしれない。


俺は首を振って感傷を払うと次の冒険者に襲いかかろうとした魔獣を打ち据える!


(後悔や感傷は後だ! 今はここを切り抜ける)


俺は仲間達に向かって、


「せめて壊れた門まで押し戻せ! その後は俺が何とかする!」


その声に「おおっ!」と沸き立つ声が上がる。


衛兵の槍が兎型の魔獣を貫き、冒険者の斧がゴブリンを兜ごと断ち割る。

魔術師の魔法が敵の後方で炸裂し味方の弓がオーク達を矢の雨で沈めていく。


門の爆発と視界が遮られたせいで苦戦はしたが、元々は下級の魔物と魔獣の寄せ集め。

立て直すにつれ戦況はこちらに傾き始める。


俺もみんなと一緒にゴブリンや魔獣をメイスで沈めていく。

そして遂に門があった場所の外にまで押し戻した!


(ここまで来たら……いける)


「少し耐えててくれ!」


そう言って戦線を離脱すると破壊された門の前で信力を集中させる。


小さければ直ぐに出来るが……かなり大きめなサイズだ。

ある程度の信力を注がなくてはならない。


そして……


『聖域(サンクチュアリ)』


魔法を唱えると門があった場所……残った両脇の塀を繋ぐように光の壁が現れた。

光り輝く壁にはよく分からない図形や文字がうっすらと浮かんでは消えてを繰り返している。


神聖魔法に属する結界魔法……俺が唯一得意とする魔法だ。

その中でもこの魔法は魔の力を帯びた者達を遮断する。


まぁつまりはこれで魔物や魔獣は入ってこれないって訳だ


「結界を張ったからとりあえずは安心だ。 後は残りを掃討してくれ」


周りから歓声が上がり、それと同時に全員が鬨の声をあげて敵に襲いかかって行く。

それを見届けると俺は倒れ込みそうになるのを必死に抑えゆっくり腰を下ろし膝を付いた


信力は自然界にある魔素と違って自分の中から出る力だ。

だから神聖魔法は精神力や体力を使う事になる。


流石の俺もこれだけデカい結界を張ったことで動けなくなっていた。

額の汗を拭い「ふぅ」とゆっくり息をする。


いつの間にか止めていた髪がほどけておりパラリと顔に掛かった。

しかしそれをかき上げる力もなくそのまま身体を休める。


(つ、疲れたぜ。 だが、これで何とか町は守られた……)


疲労はあるがそう安堵した時だった!


巨大な火球がいきなり飛んできたかと思うと空中で大きな爆発を引き起こした!

巨大な爆音と熱風か巻き起こり思わず腕で顔を覆う。


「な、なんだ!?」


すぐに目を向けると空中でいつくかの火の粉を撒き散らし消えていく炎。

どうやら火球は結界に当たって空中爆発したようだ。

周りの人や建物も無事で結界自体も未だ機能している。


(これってもしかして……さっき門を破壊したあれか?)


爆発の威力を見るにさっき門を破ったのと似ていた気がする。

しかし一体あれは何なんだ?


魔獣はもちろんゴブリンやオークと言った魔物達にもあんな芸当は出来ないと思うが……


何が起こったのか火球が来た方向に目を走らせる。

そしてそ(・)れ(・)を(・)見(・)つ(・)け(・)た(・)


離れた空中に浮かぶ黒い影。

それはまるで人の様にも見えるが違う様にも見える。


(くそっ、遠くていまいち分かんねー)


サッと戦況に目を向ける。

もうほとんど敵は残っておらず散発的に戦いが起こっているぐらいだ。

それもあと少しで落ち着くだろう。


立ち上がると魔法による疲労は幾分かは治まっていた。

これなら動きに支障はなさそうだ。


「ちょっと後を頼む」


俺は残っているメンバーに声を掛けると破れた門から飛び出した。

目的は先程の黒い影。


(アイツが何かしてやがる)


俺はそんな直感を信じて足を速めたのだった。

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