33話 アルニタク大橋の戦いにて
3000のアンデッドに対してこちらの戦力は800程度。
(だけど押しているのはこっちだ!)
手にしたメイスで目の前の骸骨を殴りつけると乾いた音と共に砕け散る!
しかし倒した側から次々と骨が押し寄せてくる!
すぐにそいつにもメイスで殴りつけるが、今度はドスッ!という音だった。
メイスがめり込んだのは幼い男の子の遺体……骨が盾にした……
「ふっざけんじゃねーぞ!!!」
それを見た瞬間すぐさまメイスを抜き取り改めてそいつの頭蓋骨にめり込ませる!
天頂部に穴を空け骸骨が崩れ落ちた。
(くそっ! くそっ! くそっぉ!!)
さっきの感触が手から離れない
それを振り払うように俺はメイスを振りまくる!
「よくも! どうしてお前たちは!!」
農作業に使う様なつなぎを着た骨、破れたスカートを着た骨、そして同じ服を着た親子の様な骨が子供の骨を盾にしている。
「なんでこんな事!!」
酷いでは言い表せられず、この気持ちを何と言えばいいか!
怒りと悲しみとで訳が分からない!
もはや反射的だった
殴り、躱し、叩き、防ぎ、砕き……次々来る骨に対してメイスはただ黙々と応えてくれて次々粉砕していく。
突き出された棍棒をメイスで打ち払い、がら空きの胴体を殴りつける!
パキパキとした快音と共にアバラが吹っ飛び骨盤を破壊して骨が倒れる。
横から草刈り鎌で切りつけてきた骨の腕ごと鎌を叩き落とし、頭蓋骨をかっ飛ばす!
俺と同じなのか周りからも、
「おのれ!」「骨が!」「ゆるさん!」
と言った声が溢れている。
中にはやられたらしい悲鳴も上がるが、どちらかと言うと聞こえてくるのは怒号の声だった。
そして気がつけば骨は一体残らず崩れ落ちていた。
立っているのは味方だけ……だがその誰もが喜びを浮かべていない。
(……くそっ!)
空を仰ぎ見る。
風が抜けて……崩れた骨がサラサラと風に飛ばされていく。
皆がノロノロと動き出した時だった。
「敵襲!! 二陣目です!! 先程と同じく数3000!!」
アルデバランの見張り塔から鋭い声が飛ぶ!
全員がそちらに目を向け……その異様さに息を呑んだ。
ザッザッ……揃った足並み
軍靴の音を綺麗に合わせ一糸乱れぬ動きを見せる。
兜、鎧、盾、そして剣や槍、斧、弓……数々の武器を携えて現れたのは……
「骨の……軍隊」
誰かが言葉を漏らした。
……ピッタリだ
そうだ、さっきまでの奴等とは違う
「……くっ! あの紋章……レグルス国の兵達だ」
苦しげに出された声。
つまりこの国の兵達をアンデッドにして?
そうしてこの国の人々を襲わせてるっていうのか!!
「民を守るべき兵士を虐殺の手下にするなんて……」
そう口々に言うもののこちらは疲労困憊、あちらは統制された軍隊。
先程のようにはいかないだろう。
ザッザッと足を進め進行してくるアンデッド達
黒く窪んだ眼窩の不気味さに誰もが後ずさる
が、俺は……
「アノンさん!?」
「え?」
何処からかクルサとシャムの声が聞こえたが俺は足を止めず……味方をかき分け……一番前に出る
ザッザッ……進んでいた骨が……
俺と対峙し……一定の距離をとって足を止めた。
「……何処かで見てんのか? 魔族」
俺は静かに一言一言噛み締めるように話す。
そうでもしないと叫びだしそうだ。
「魔族が人を滅ぼそうとしてんのは別の魔族に聞いた、だからそれは理解した……けどなぁ?」
俺はメイスをゆっくり持ち上げアンデッドの軍隊に向けると、
「お前がやっているのは滅ぼすとかじゃねー……これはただの人の命を使った遊戯だ」
「どこかで聞いてるなら覚悟しておけよ? 俺は絶対にお前を許さないぜ?」
そしてゆっくりメイスを持ち上げると……
「お前にだけは慈悲はないと思え!!」
駆け出す!
同時にアンデッド達も動き出す!
そして両者がぶつかる寸前!!
「食らってろ!! 渾身の……『聖域』だぁーー!!」
両手を広げ思いっきり信力を放つ!
大陸同士をつなぐ巨大な橋に輝く光の壁
いや、柱だろうか……天にも届くかと思うような光の柱が広がりアンデッド達を吹き飛ばしていく!!
(くっ……力が……)
身体中から力が抜け思わず膝をつく……が視線はアンデッド達から外さない
(チっ……やっぱり一筋縄じゃいかねーか)
先程の様にただ突っ込んでくるだけの骨じゃねーか
半分近く後退して躱したな?
光が消えるなり残った骨が走り出す!
ガチャガチャという鎧の音とザッザッという二つの音が綺麗に重なりながら俺に迫る!
「はぁーーはぁーー」
(まだ……息が……ちくしょうめ!)
先頭の骨が俺まで辿り着きその剣が振り上げられる!!
メイスが重くて上がらねぇ!!
受けようとしたが腕が上がらなかった。
「っ!?」
風が駆け抜けた。
「させないっすよ!」
「やらせません」
「『火炎弾』」
アンデッドの剣が矢で弾かれ、盾は剣で逸らされ……がら空きの胴体に激しく燃える火炎の塊が叩き込まれる!!
そして俺の前に三人の影。
「アノンさんは休んでてくださいっすよ!」
「遅くなってすみません」
「ん……任せて」
と同時に他の兵士や冒険者達が俺達の横を駆け抜けアンデッド達に斬り掛かっていく!
「いけぇ!」
「負けるかぁ!」
「やってやる!」
口々に叫びながら乱戦へと化していく。
「はぁ、はぁ、お、おまえら、……はぁ」
「よくぞ……やってくれた! 敵の大部分を消し飛ばし士気まで上げるとは」
身体中掠り傷だらけのメンカルが斧を担いで現れる。
俺を見て、
「あれだけの魔法だ、しばらく休んでいろ」
そう言って前に歩いていく。
「ここからは私達の時間だ!」
そう言って斧を構えた。
メンカルさんは冒険者ギルドマスター兼アルデバランの防御隊隊長としております。
アルセフィナもですが冒険者ギルドと衛兵は、町の防衛時は共闘しますがモンスター相手だと冒険者ギルドの方が詳しく指揮をとる感じです。
本文無しでしたのでこちらに記載です。
すみませんが、よろしくお願いしますー&今回もありがとうございましたー




