↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/41

31話 アルデバランにて


(城塞都市とはよく言ったもんだぜ……)


アルデバランに着いた俺はその巨大な壁を見上げる。

王都エルクルドも大きな塀で囲まれていたが、ここはそれよりもさらに高い……正に壁。


「塀のアチコチにあるあの穴ってなんすかね?」


「あれはアローリットと言って、敵が来たらあそこから矢を射るんですよ」


アルデバランは国境沿いにあると聞いていたが……国境はこの川で分かたれてんのか?


アルデバランの向こう側を流れる川、そしてそれには巨大な橋が架かっていた。


「さすが俺様の国だけある。 城塞都市アルデバランの荘厳さとアルデバラン大橋の壮観さ!」


作った本人でもないトノニ王子が胸を張り誇らしげだ。


まぁその感想は認めるけどな

しかし建物は凄いとしても……こりゃ酷いな


改めてアルデバランの門付近に目を向ける。


そこには数え切れないほどのテントが設置されており、レグルスから逃げてきたと思われる人達が暗い顔で座り込んだり話し合ったりしている。


「避難民っすよ。 俺も別なとこでフォローしてたっすけど……ここまでじゃなかったっすね」


いつの間にか隣に来たクルサが何とも言えない表情をしている。


「衛兵も冒険者もいるっすね。 やっぱり人手たんないのかぁ」


衛兵や冒険者らしき人達が配給品を配ったり怪我人を見て回ったりしてるが、何処も長い行列が出来ており間に合ってないように見える。


先程村を襲っていた奴らを突きだしてきたが……衛兵達もドタバタしていたしなぁ

村を襲ったアイツらも元レグルスの兵士って事だし、兵士があれなら治安相当やべぇのかもしんねーな


「おい! いつまでここに居るつもりだ? 俺様はもう疲れた、サッサと中に入るぞ!」


トノニ王子がそう言ってズンズン門へ歩き出したのをきっかけに俺達も街の中へと足を踏み入れた。



(ここはまた王都と違った一面があんな)


街に入ると派手さより武骨さが目立つ建物が多く見受けられた。

また、王都と違いアチコチに細道や曲がりくねった道が見える。


「戦に備えた造りになっているのですよ」


「ああ、それでこんな迷路みたいなんだな」


俺の疑問にシャムが丁寧に教えてくれる。


色々物知りで助かるぜ

たまにさり気なくドヤ顔してるのは……まぁ許してやろう


「プププ! なんだ、お前そんな事も知らなかったのか? 」


振り返って小馬鹿にした笑いを浮かべる、このデブに比べりゃ全然マシだしな


「あ、ここにもこれがあるんすね」


少し広めの広場らしきところに出た俺達の目にいつぞや見た天使の像が映る。

前見たやつとは少しポーズが違うものの羽根にに身を包み悲しそうな顔をしている。


「ここは昔から紛争や戦争などが絶えないので、それを嘆き悲しんでいる天使……と言う意味らしいです」


シャムの説明はあまり耳に入ってこなかった。


なんだ? この痛いような……この悲しげな像と同じ様に俺も辛く思えちまう



「……大丈夫?」


クイクイと裾を引かれ我に返るとアルが不思議そうにこちらを見上げている。


「あ、ああ。 大丈夫……だ」


再び像を見るが先程の感じはもうなかった。


なんだったんだ? 今のは……


「あ、あの角を曲がればもうすぐっすよ!」


クルサが通りの向こうを指さし、


「あっちにあるのがアルデバランの冒険者ギルドっす」




「遠路はるばるようこそ! 私がこのギルドを担当しているメンカルだ」


ガッシリした体躯にあったデカい手が差し出される。


「俺はアノンだ」


同様に手を出し握手をすると……こいつ!? 

めちゃくちゃ力入れやがって!

このぉ〜~!


俺も負けじと力を入れて握り返す!


メンカルは『ほぅ』と感心した表情を浮かべると、


「ずいぶん見た目と違うお嬢ちゃんだ、ガハハ!」


豪快に笑いだし……ってぇ! 背中をバンバン叩くな!!


「あいからわずっすね」

「豪傑ってやつですね」

「……」


冒険者三人組は見慣れてるのかやれやれと言った態度だ。


「おい! ここに茶菓子はないのか!? 俺様は腹が減ったんだが?」


「ああ、すまないな。 ギルドの受け付けに聞いてきてくれ」


「俺様がか!? ふざけるな! 持参しろ! 本来俺様が言う前に持ってくるのが……」


丸い顔を赤くしてプンプンなんて効果音で出そうなほど叫ぶデブ。


なんて言うか……俺恥ずかしいんだが

コイツどうやったらこんな生き物に育つんだよ……


「大体ここはーーぐぇっ!!」


なんだろう? カエル潰れた?みたいな声を出してトノニ王子の身体が脱力して床に倒れる。

と、トノニ王子の後ろからメンカルが現れ、


「彼はお疲れの様だから眠ってもらったよ! 長旅だったからかな? ガハハ!」


ウレンとは別ベクトルで眠らせ(?)やがった!

コイツもコイツでなかなかやべぇな


「さて! 静かになった所で……」


(空気が……変わりやがった!)


「本題といこうか」


先程までとは打って変わった低い声。

空気がピリつき下手すれば殺気まで出てるのでは?と思わせる。


「アルデバランの様子は君達も見てきたとおりだ。 レグルス国からの避難民が押し寄せている。 それはまぁいい」


そ(・)れ(・)は(・)?


「ここからはまだ一部の者にしか言っていないがーー」


低い声を更に落とすと、


「避難民を追って大量の魔物達がこのアルデバランを目指していると情報が入った」


「!?」


あまりの事に全員が息を呑む。


「進軍は速くはないが……どうやらあちらさんは生き残りを逃したくないようだ」


「いつ頃アルデバランに?」


「1週間後と見ている。 こちらからも偵察を放って逐一報告はさせている」


メンカルは指を二つ出すと、


「取れる方法は二つ……一つはアルニタク橋を落とす」


「は、橋っすか!」


「これならば魔物達が来ることはない……だが、未だ残る避難民もこちらには逃げられないし、何よりこちらから支援にもいけない。 だからこれは最悪の手だ」


「もう一つは……」


「無論」


フッと空気が緩み、メンカルが腕を叩く!


「戦って勝つ! それだけだ」


お疲れ様でございます〜。


楽しんで下さると幸いです。


ありがとうございました〜。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。